(承前)
中心部では次のギャラリーを回った。
アートスペース201
→HOKUSEN GALLERY ivory
→札幌時計台ギャラリー
→大同ギャラリー
→ギャラリー大通美術館
→らいらっく・ぎゃらりい
アートスペース201では、北海道科学大(以前の北海道工大)写真部の、今春卒業する3人の展覧会。みのまわりの人々や旅先でのスナップなど。
下のフロアでは、「exhibition OPERA vol.3」。
vol.2から実に8年ぶりで、メンバーは5人。廣島経明さん以外、全員が入れ替わった。
廣島さんは案外変わっていなくて、花や花火の写真を、カンバスにプリントしている。絵の具の盛り上がりのような凹凸もあるので、パッと見では、油絵のようである。
思わぬ見もの? は、森山大道さんから出品者の黒澤真一郎さん充てに届いた、個展の案内が壁にはってあることだろう。
そこには「展覧会の成功をお祈り致します」と添え書きされている。
いやはや、森山大道といえば日本の写真界を代表する大家なのに、なんという丁寧な方だ。
黒澤さんの写真はモノクロ17点。おそらく銀塩だろう。札幌の都心部や北24条界隈などのスナップが多い。大道さんほど、粒子が粗くないしコントラストもきつくないが、人がいようがいまいが街並みをばしゃばしゃと撮るスタイルは、大道さんと似ているかもしれない。右側の数枚だけは、郊外の川や、工事現場の写真となり、どこを撮ったのか見当がつかなかった。
いずれも24日まで。
アートスペース201を出たら、旧ラルズプラザの改装工事が始まっていた。
札幌時計台ギャラリーの3階では「青空の会展」。
水彩画家、小堀清純さんの教室展である。
小堀さんは2点を賛助出品していたが、「札幌資料館」は、信号機の柱が傾いていたり、いつになくラフで動的なタッチ。白日会の支部展や道彩展で見る写実的かつ静的な画風とはちょっと異なっていた。
時計台ギャラリー2階と大同ギャラリーは、札幌大谷大の学生の展覧会。
札幌市民ギャラリーが工事のため長期休館しているためか、最近は街中のギャラリーで大谷関連の展覧会がとても多い。しかし、一般にアピールするという意味では、これは悪くないと思う。
時計台はメディアアート学科。酒井さんと今さんが写真と映像を教えているのだ。
酒井さんは、大谷大が短大だったころから学生に写真を教える授業をもっていたが、その頃はまだコースとしては存在しなかった。
今回、会場には、モノクロ(銀塩)とカラーの巨大なプリントがいくつも並び、迫力があった。
興味深かったのは学生3人の合作「かつてあったであろうものを想起する」(7点組み)。
空き地の前に、その近くの住民に立ってもらって写真を撮り、住民が記憶にしたがって、かつてそこにあった建物を白いペンで透明シートに描いたものを、プリントの前側に提示している。人の記憶がいかにあてにならないものか、あらためてよくわかるのだ。同じアパートのはずなのに、人によって2階建てだったり3階建てだったり…。
映像では、15秒コマーシャルを作るという課題を、学生たちが競作しているのが楽しい。
ツイッターでも書いたけれど、大学写真部(とビジュアルアーツ専門学校)を軸にまわってきた札幌の若手写真シーンが、大谷大の登場で変わり始めるかもしれないと感じた。
時計台ギャラリーは21日で終了。
大同ギャラリーでは、指導教官の松隈康夫さんが「笑うかどには」という小品2点を出していた。
1点はレリーフ、もう1点は木彫で、ラグビーボールのような形状から横向きに芽のようなものが突き出て、さらにそこから別の芽が垂直に伸びているような作品。
松隈さんは全道展を退会してからほとんど作品を見る機会がなかった(ハルカヤマなどのグループ展にも参加していない)から、これは貴重だ。
もうひとり、藤本和彦さんは「煩悩」という壁掛け型の作品を出品。
学生では、USBやカセットテープなど廃品を、白いハンバーガー型の石膏に挟み込んで、高さ2メートル以上の塔のように積み上げた「飽食」が目を引いた。
24日まで。
中心部では次のギャラリーを回った。
アートスペース201
→HOKUSEN GALLERY ivory
→札幌時計台ギャラリー
→大同ギャラリー
→ギャラリー大通美術館
→らいらっく・ぎゃらりい
アートスペース201では、北海道科学大(以前の北海道工大)写真部の、今春卒業する3人の展覧会。みのまわりの人々や旅先でのスナップなど。
下のフロアでは、「exhibition OPERA vol.3」。
vol.2から実に8年ぶりで、メンバーは5人。廣島経明さん以外、全員が入れ替わった。
廣島さんは案外変わっていなくて、花や花火の写真を、カンバスにプリントしている。絵の具の盛り上がりのような凹凸もあるので、パッと見では、油絵のようである。
思わぬ見もの? は、森山大道さんから出品者の黒澤真一郎さん充てに届いた、個展の案内が壁にはってあることだろう。
そこには「展覧会の成功をお祈り致します」と添え書きされている。
いやはや、森山大道といえば日本の写真界を代表する大家なのに、なんという丁寧な方だ。
黒澤さんの写真はモノクロ17点。おそらく銀塩だろう。札幌の都心部や北24条界隈などのスナップが多い。大道さんほど、粒子が粗くないしコントラストもきつくないが、人がいようがいまいが街並みをばしゃばしゃと撮るスタイルは、大道さんと似ているかもしれない。右側の数枚だけは、郊外の川や、工事現場の写真となり、どこを撮ったのか見当がつかなかった。
いずれも24日まで。
アートスペース201を出たら、旧ラルズプラザの改装工事が始まっていた。
札幌時計台ギャラリーの3階では「青空の会展」。
水彩画家、小堀清純さんの教室展である。
小堀さんは2点を賛助出品していたが、「札幌資料館」は、信号機の柱が傾いていたり、いつになくラフで動的なタッチ。白日会の支部展や道彩展で見る写実的かつ静的な画風とはちょっと異なっていた。
時計台ギャラリー2階と大同ギャラリーは、札幌大谷大の学生の展覧会。
札幌市民ギャラリーが工事のため長期休館しているためか、最近は街中のギャラリーで大谷関連の展覧会がとても多い。しかし、一般にアピールするという意味では、これは悪くないと思う。
時計台はメディアアート学科。酒井さんと今さんが写真と映像を教えているのだ。
酒井さんは、大谷大が短大だったころから学生に写真を教える授業をもっていたが、その頃はまだコースとしては存在しなかった。
今回、会場には、モノクロ(銀塩)とカラーの巨大なプリントがいくつも並び、迫力があった。
興味深かったのは学生3人の合作「かつてあったであろうものを想起する」(7点組み)。
空き地の前に、その近くの住民に立ってもらって写真を撮り、住民が記憶にしたがって、かつてそこにあった建物を白いペンで透明シートに描いたものを、プリントの前側に提示している。人の記憶がいかにあてにならないものか、あらためてよくわかるのだ。同じアパートのはずなのに、人によって2階建てだったり3階建てだったり…。
映像では、15秒コマーシャルを作るという課題を、学生たちが競作しているのが楽しい。
ツイッターでも書いたけれど、大学写真部(とビジュアルアーツ専門学校)を軸にまわってきた札幌の若手写真シーンが、大谷大の登場で変わり始めるかもしれないと感じた。
時計台ギャラリーは21日で終了。
大同ギャラリーでは、指導教官の松隈康夫さんが「笑うかどには」という小品2点を出していた。
1点はレリーフ、もう1点は木彫で、ラグビーボールのような形状から横向きに芽のようなものが突き出て、さらにそこから別の芽が垂直に伸びているような作品。
松隈さんは全道展を退会してからほとんど作品を見る機会がなかった(ハルカヤマなどのグループ展にも参加していない)から、これは貴重だ。
もうひとり、藤本和彦さんは「煩悩」という壁掛け型の作品を出品。
学生では、USBやカセットテープなど廃品を、白いハンバーガー型の石膏に挟み込んで、高さ2メートル以上の塔のように積み上げた「飽食」が目を引いた。
24日まで。
(この項続く)