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■中村善策の全貌展 (7月21日まで)

2008年07月20日 22時32分41秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 市立小樽美術館で入場者を観察していると、1階を素通りしてまっすぐ2階で受付をしている人が多い。
 じつにもったいないと思う。
「1階は中村善策ホールで、常設だから」
と決めてかかっている人がいたら、ぜひその姿勢は改めてほしい。
 というのは、同館の中村善策コレクションは相当なもので、1階ホールも時々展示替えをしているからだ。筆者も、足を運ぶたびに
「これは未見だな」
という絵に出合う。
 とりわけ今回は、同館の所蔵品だけではなく、小樽商大や個人などあちこちから借りてきた作品も含めての一大展覧会。これを機会に「1階から見る」ことを習慣づけてほしい(大きなお世話かもしれないが)。

 もうひとつ特筆すべきは、図録の安さである。
 この中村善策展にひきつづいてひらかれる伊藤正展の図録とセットで1000円(だったと思う…)!
 同館の事業をさまざまなかたちで支援している佐野力さん(白樺文学館長)のおかげではないかと思われる。

 作品については、すでにいろいろなかたちで論じられているので、ここでは詳述しない。以前も書いたけれど、一言で言うと、中村善策は、風景の構築の強度が、他の画家とは違うのだ。目の前の自然を尊重しつつも、しばられていない。
 筆者が感激したのは、1階の入り口附近に展示されていた初期作品である。
 ここには、美術雑誌のモノクロ図版を見ながら「未来派とは? フォーブとは?」と模索していた若き日の画家の熱意が結晶している。ほほえましい若さだと思う。


http://www6.ocn.ne.jp/~otarubij/


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