![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/ff/e090e0f970adcf00ed4035df91c3b1b8.jpg)
(承前)
さて、話が横道にそれてしまいましたが、今回の「白老文化芸術共創」でいちばん展示の多い会場である「しらおい創造空間「蔵」」(本町1)に行ってみました。
1階には四辻藍美さんのアイヌ衣装がたくさん飾ってありました。
また、画像はあげていませんが、曽我英子さんが二風谷に滞在したのを機に手がけた、サケの皮で靴をつくる過程を20分ほどの映像に収めたものも上映していました。
サケをさばくところから始まっています。
目を引いたのが、香川軍男さんのコーナー。
道内外で活躍する現存作家が並ぶなかで、唯一の故人。しかも、生涯を北見などオホーツク地方で過ごした版画家なので、白老とはあまり縁がないはず。
ただ、彼が私淑し、また彼を激賞した版画家の川上澄生は、一時苫小牧などに疎開しており、全道展の旗揚げにも参加しています。
このブログでも何度か紹介してきたのでご存じの方も多いと思いますが、香川さんの作品は薯版画です。
ジャガイモの段面を彫って、墨やインクをつけて紙に押しつける、年賀状などで昔はよくつかわれた技法です。
一見稚拙に見えますが、その素朴な風合いは、とうていかんたんにまねられるものではありません。
なお、説明パネルの文章はほとんどが北見叢書の「薯上遊神―海内無双の薯版画家香川軍男」(小川清人著)からの引用でした。
香川軍男といえば、この簡明なモノグラフ以外に、まとまった資料はなかなか見当たりません。
小川清人さんは北見在住の美術家ですが、一冊の書物にまとめておくことの大切さを、あらためて思いました。
さて、2階の展示「糸と布と物語」のアーティストの名義は
「iruinai/四辻藍美/是恒さくら」
になっています。
ただし、イルイナイさんが作ったというよりは、北極圏カナダの先住民イヌイットの壁掛け類であり、網走の北方民族博物館がたくさん所蔵しているタイプのものです。
これは、ちょっとモヤっとしました。
公式サイトには次のように記されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/9a/9405caabcb82fe4c95d1350c61a9db64.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/52/1f8435f4d978377ea66d7bf6da704ae6.jpg)
三者は、それぞれ固まって展示されていましたが、とくに明示されているわけではなかったです。
2022年8月27日(土) ~ 10月10日(月)
□ ROOTS & ARTS SHIRAOI 白老文化芸術共創 https://www.shi-ra-oi.jp/
過去の関連記事へのリンク
高架橋にあった香川軍男さんの薯版画
福村書店と香川軍男の薯版
香川軍男「薯版 北見昔々」を、ギャラリーたぴおで買った (2009)
福村書店のカレンダー 2008年版
香川軍男薯版画 北見・福村書店カレンダー展 (2002)
□SAKURA KORETSUNE https://www.sakurakoretsune.com/
■ NITTAN ART FILE 4 土地の記憶~結晶化する表象(2022)
■「せんと、らせんと、」6人のアーティスト、4人のキュレーター (2021~22)
■是恒さくら「石の知る辺―本・刺繍・写真展 アメリカ・ニューヨーク州ロングアイランド先住民シネコックに鯨の物語をたずねて」(2021、網走)
リボーンアート・フェスティバル 山形藝術界隈。 2019年秋の旅(24)
さて、話が横道にそれてしまいましたが、今回の「白老文化芸術共創」でいちばん展示の多い会場である「しらおい創造空間「蔵」」(本町1)に行ってみました。
1階には四辻藍美さんのアイヌ衣装がたくさん飾ってありました。
また、画像はあげていませんが、曽我英子さんが二風谷に滞在したのを機に手がけた、サケの皮で靴をつくる過程を20分ほどの映像に収めたものも上映していました。
サケをさばくところから始まっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/22/4a16b5aa7f237e70adc9655a83237341.jpg)
道内外で活躍する現存作家が並ぶなかで、唯一の故人。しかも、生涯を北見などオホーツク地方で過ごした版画家なので、白老とはあまり縁がないはず。
ただ、彼が私淑し、また彼を激賞した版画家の川上澄生は、一時苫小牧などに疎開しており、全道展の旗揚げにも参加しています。
このブログでも何度か紹介してきたのでご存じの方も多いと思いますが、香川さんの作品は薯版画です。
ジャガイモの段面を彫って、墨やインクをつけて紙に押しつける、年賀状などで昔はよくつかわれた技法です。
一見稚拙に見えますが、その素朴な風合いは、とうていかんたんにまねられるものではありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/6f/0b4511748be4f361dfd6d25c5efc7ea3.jpg)
なお、説明パネルの文章はほとんどが北見叢書の「薯上遊神―海内無双の薯版画家香川軍男」(小川清人著)からの引用でした。
香川軍男といえば、この簡明なモノグラフ以外に、まとまった資料はなかなか見当たりません。
小川清人さんは北見在住の美術家ですが、一冊の書物にまとめておくことの大切さを、あらためて思いました。
さて、2階の展示「糸と布と物語」のアーティストの名義は
「iruinai/四辻藍美/是恒さくら」
になっています。
ただし、イルイナイさんが作ったというよりは、北極圏カナダの先住民イヌイットの壁掛け類であり、網走の北方民族博物館がたくさん所蔵しているタイプのものです。
これは、ちょっとモヤっとしました。
公式サイトには次のように記されています。
糸と針で布の上に多彩な文様をつくりだすことができる刺繍。カナダの北極圏に暮らす先住民イヌイットの女性たちが制作した壁かけには、刺繍とアップリケで雪と氷の上での伝統的な生活や、獲物である海や陸の動物たち、狩りの様子、伝説などが表現されています。アイヌ刺繍家・四辻藍美はオーストラリアの先住民アボリジニのアートをアイヌ刺繍の技法で表し、美術家・是恒さくらはアメリカ・ニューヨーク州ロングアイランドの先住民シネコックや日本各地を訪ね、鯨にまつわるエピソードに着想を得た刺繍作品を制作しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/9a/9405caabcb82fe4c95d1350c61a9db64.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/52/1f8435f4d978377ea66d7bf6da704ae6.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/11/500fd58aa6efcc9c2535d2ad896b861c.jpg)
三者は、それぞれ固まって展示されていましたが、とくに明示されているわけではなかったです。
2022年8月27日(土) ~ 10月10日(月)
□ ROOTS & ARTS SHIRAOI 白老文化芸術共創 https://www.shi-ra-oi.jp/
過去の関連記事へのリンク
高架橋にあった香川軍男さんの薯版画
福村書店と香川軍男の薯版
香川軍男「薯版 北見昔々」を、ギャラリーたぴおで買った (2009)
福村書店のカレンダー 2008年版
香川軍男薯版画 北見・福村書店カレンダー展 (2002)
□SAKURA KORETSUNE https://www.sakurakoretsune.com/
■ NITTAN ART FILE 4 土地の記憶~結晶化する表象(2022)
■「せんと、らせんと、」6人のアーティスト、4人のキュレーター (2021~22)
■是恒さくら「石の知る辺―本・刺繍・写真展 アメリカ・ニューヨーク州ロングアイランド先住民シネコックに鯨の物語をたずねて」(2021、網走)
リボーンアート・フェスティバル 山形藝術界隈。 2019年秋の旅(24)
(この項続く)