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小寺真知子さん死去(彫刻家、函館出身、ローマ在住) Machiko Kodera,sclupter Died.Age 62

2012年06月12日 23時37分03秒 | 新聞などのニュースから
 けさ(2012年6月12日)の北海道新聞に、函館出身でローマ在住の彫刻家小寺真知子さんの訃報が載っていて、驚いた。
 まだ62歳なのだ。記事には、膀胱ぼうこうがんとある。



 小寺真知子さんは2002年、札幌彫刻美術館と函館市芸術ホールで個展を開いている。
 「これぞ具象彫刻」
とでもいうべき、健康的でのびやかな裸婦像などが会場に展示されていた。
 当時のテキストは、北海道美術ネットの
小寺真知子彫刻展
をお読みいただければ幸いである。

 作品に感銘を受けた筆者は、会期中2度も会場に足を運んでいる(これは、筆者にとってはかなりめずらしいことである)。
 2度目は、イタリアの彫刻事情などを詳しくお聞きすることができた。
 しかし、悲しいかな、筆者は話の内容をまったくと言っていいほど覚えていない。



 小寺さんは、函館東高校から道教大函館校を経て、函館の高校で美術の講師を務めていた。
 1979年、東京の画廊でイタリア具象彫刻の巨匠クロチェッティの作品と出会い、翌年イタリアに留学、クロチェッテイとグレコに師事したという。

 アカデミーで学んだためか、古代ギリシャ・ローマからの伝統を継ぐ、具象の王道ともいえる人体彫刻を制作していた。



 道内には、次の野外彫刻がある。(公式サイトによる)

・太陽の讃歌(洞爺湖ぐるっと彫刻公園)
・イリス(いわみざわ公園)
・青・海・テティス(函館市シーポートプラザ)
・小さなトリトン(函館市保健所)
・土方歳三立像(五稜郭タワー)
・土方歳三座像(五稜郭タワー)
・ハーモニー(函館市中央図書館)
・北天の竪琴(函館空港)
・赤い靴(函館市・西波止場美術館前)

 「青・海・テティス」が2000年の設置なので、故郷・函館の仕事が近年増えていたことがわかる。
(したがって、20世紀末に札幌彫刻美術館が編さんした「北海道の野外彫刻」にはほとんどが掲載されていない)

 このうち「ハーモニー」は、小寺さんが函館市の奨学金を受けた第1号の学生であったことから、お返しの感謝を込めて、市に寄贈したものという。

 ほかに、立待岬に「ペリー提督」の像があるはずだ。

(道立函館美術館で回顧展を開いてほしいなあ)


 すばらしい作品を作る彫刻家の逝去が惜しまれてならない。
 ご冥福をお祈りします。
 



http://kodera.cc/

関連記事へのリンク
小寺真知子さんがローマの宮殿で彫刻展
「赤い靴」女の子像 函館にも 来年6月設置(2009年)
函館空港ビルに小寺真知子さんのモニュメント
土方歳三像
小寺真知子彫刻展(2002年)

参考
「おけもとネット」の中のHakodate Art Scene(小寺さんの野外彫刻の写真あり)


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2 コメント

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端正で美しい作品 (怜な)
2012-06-13 07:56:09
おはようございます。
「いわみざわ公園」の「イリス」の立ち姿は、本当に美しいですね。
人体を浮き上がらせた流れる衣服のひだ、しばし、眺めていました。

この度の悲報は残念ですね。
洞爺湖、函館に行く機会がありますので、
観たいと思います。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2012-06-14 11:54:58
怜なさん、いつもありがとうございます。
具象彫刻というのは、一見どれも似たもののように見えますが、小寺さんの作品はほんとうに生命の感覚にあふれていたと思います。

それにしても、そういう感覚的な表現でしか具象彫刻を語ることができないですよね。少なくても自分はそうなので…。
もっと語彙と表現をみがきたいです。
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