Ten-ei Abe Retrospective
2012 April 7 (Sat.)- May 6(Sun.) 9:30am - 5:00pm(enter till 4:30pm)
at Hokkaido modern art museum
(N1W17,Chuo-ku,Sapporo-city,JAPAN)
1939年生まれ、北海道を代表する美術家のひとりとして今なお精力的に制作を続ける阿部典英さんの回顧展。
とにかく楽しいので、おすすめ。
この楽しさは、なんだろうと考えていた。
ユーモラスな作品はたしかに多いのだが、けっして、お気楽なものばかりではない。
人間の生と死に正面から切り込んでいる大作も、いくつもある。
この問いには、ブログ「散歩日記 X」のSHさんが見事な答えを出していた。
それは
「作家の「もの造りが大好き」という感じが伝わってくるんですよね。」
というもの。
筆者もそのとおりだと思う。
冒頭の画像は
「ネエ ダンナサン あるいは 静・緩・歩」。
黒鉛を表面に塗り込んだこのシリーズ中でも、最大の1点だ。
巨大な昆虫を思わせてどこかユーモアが漂う。同時に、黒光りする表面は重厚で、時代の虚飾や戦争を撃つかのようでもある。
この、楽しさと重々しさの同居こそが、阿部典英さんの作品の最大のポイントではないかと、今回感じたのだった。
以下、この展覧会の大きな特徴をふたつ挙げておく。
ひとつは「すべて」と、わざわざ銘打っていることについて。
じつは、美術館の企画による「阿部典英展」は、2003年に札幌芸術の森美術館でも開かれている。
このときは、出品作はすべて立体であった。
しかし、今回は、ほんとうに多彩である。立体のほかに、
・高校時代の書
・初期の絵画
・デザインしたスキー靴
・表紙にイラストを描いた雑誌
などまで展示している。「すべて」というのは、誇張ではない。
なお、美術家にとって、公立や大きな私立の美術館が企画して個展を開くというのは、最大の名誉のひとつといっていい。
生前に複数回の個展が開かれた北海道ゆかりの美術家は、これまで、一原有徳、難波田龍起、鎌田俳捺子の3人しかいないはずである。
もうひとつは、全作品、写真撮影がオーケーだということ。
むろん、三脚やストロボの使用はだめなのだが。
これについては、作者が以前、北見にいらしたとき、この意向を漏らしていたので、筆者が
「釧路芸術館で池田緑さんの個展をしたときも、撮影可だったので、美術館に話してみては」
と言ったことがある。
もちろん、自分のおかげだと言うつもりはないが、日本の美術館は欧米に比べると撮影不可のことが多すぎるので、今回の展覧会がその風潮に風穴を開けてくれればいいと思う。
長くなってきたので、続きは別項で。
2012年4月7日(土)~5月6日(日)午前9:30~午後5:00(入場~4:30)、月曜休み(ただし4月30日は開館し、翌5月1日休み)
道立近代美術館(札幌市中央区北1西17 地図D)
一般1000円(790円)、高大生600円(480円)、小中生300円(200円)
※かっこ内はリピーター割引、前売りなど
・中央バス、ジェイアール北海道バス「道立近代美術館」から約160メートル、徒歩2分
(手稲、小樽方面行きは、北大経由以外は、すべてのバスがとまります。本数も地下鉄より多く、とくに札幌駅方面からは、この方法がおすすめ)
・地下鉄東西線「西18丁目」から約380メートル、徒歩5分
・市電「西15丁目」から約700メートル、徒歩9分
ほかに、ジェイアール北海道バスが「ぶらりさっぽろ観光バス」を運行しています
★オープニング・トーク
4月7日(土)9:30~(約40分)
トーク/阿部典英
会場/特別展示室 (観覧券が必要です)
★トーク&ジョーク・ショー「走るブリキ男と工作少年、大いに語る」
4月14日(土)午後2~4時
トーク/秋山祐徳太子(美術家)、阿部典英
会場/講堂(240席・先着順) 参加無料
★ワークショップ(募集制)「自由に、グランブルー!~深海を想像して描く~」
4月28日(土)午後1:30~4:30
講師/阿部典英
会場/特別展示室と当館造形室(観覧券が必要です)
展覧会を作家や学芸員と一緒に観覧した後、海の底のようすや生き物を自由に想像して全員で描くワークショップ。大人も子どもも参加できます。定員50人。4月10日(火)募集開始。
★ギャラリー・ツアー(作品解説)
4月7日(土)、5月5日(土)、各日午後3:00~(約40分)
解説/当館学芸員
会場・特別展示室 (観覧券が必要です)
★ギャラリー・トーク
4月21日(土)午後3:00~(約40分)
トーク/当館学芸員
会場/特別展示室 (観覧券が必要です)
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【告知】第7回 2011新春特別企画展 阿部典英展 TEN-EI ABE EXHIBITION(2011年1~3月)
■北海道立体表現展(2010年、執筆中)
■交差する視点とかたち vol.3 阿部典英 加藤委 川上りえ 下沢敏也(2009年)
■阿部典英 Ten-ei Abe Exhibition(2009年)
■さいとうgallery企画 第15回夏まつり「星・star」展 (2009年)
■SAPPORO ART PLANETS展 (2009年5月)
■見えるもの⇔見えないもの-イマジネーションのちから- (2009年1-3月)
■交差する視点とかたち vol.2 (2008年7月)
■交差する視点とかたち 川上力三・阿部典英・下沢敏也(07年7月)
■SCAN DO SCAN(07年10-12月)
■企画展「07→08」(画像なし)
■WAVE NOW 06(阿部さんが参加)
■北海道立体表現展(06年、画像なし)
冬の定山渓(「ミスカッパ」の画像あり)
■阿部典英個展(2002年)
■北方圏美術展(2002年、阿部さんが参加)
2012 April 7 (Sat.)- May 6(Sun.) 9:30am - 5:00pm(enter till 4:30pm)
at Hokkaido modern art museum
(N1W17,Chuo-ku,Sapporo-city,JAPAN)
1939年生まれ、北海道を代表する美術家のひとりとして今なお精力的に制作を続ける阿部典英さんの回顧展。
とにかく楽しいので、おすすめ。
この楽しさは、なんだろうと考えていた。
ユーモラスな作品はたしかに多いのだが、けっして、お気楽なものばかりではない。
人間の生と死に正面から切り込んでいる大作も、いくつもある。
この問いには、ブログ「散歩日記 X」のSHさんが見事な答えを出していた。
それは
「作家の「もの造りが大好き」という感じが伝わってくるんですよね。」
というもの。
筆者もそのとおりだと思う。
冒頭の画像は
「ネエ ダンナサン あるいは 静・緩・歩」。
黒鉛を表面に塗り込んだこのシリーズ中でも、最大の1点だ。
巨大な昆虫を思わせてどこかユーモアが漂う。同時に、黒光りする表面は重厚で、時代の虚飾や戦争を撃つかのようでもある。
この、楽しさと重々しさの同居こそが、阿部典英さんの作品の最大のポイントではないかと、今回感じたのだった。
以下、この展覧会の大きな特徴をふたつ挙げておく。
ひとつは「すべて」と、わざわざ銘打っていることについて。
じつは、美術館の企画による「阿部典英展」は、2003年に札幌芸術の森美術館でも開かれている。
このときは、出品作はすべて立体であった。
しかし、今回は、ほんとうに多彩である。立体のほかに、
・高校時代の書
・初期の絵画
・デザインしたスキー靴
・表紙にイラストを描いた雑誌
などまで展示している。「すべて」というのは、誇張ではない。
なお、美術家にとって、公立や大きな私立の美術館が企画して個展を開くというのは、最大の名誉のひとつといっていい。
生前に複数回の個展が開かれた北海道ゆかりの美術家は、これまで、一原有徳、難波田龍起、鎌田俳捺子の3人しかいないはずである。
もうひとつは、全作品、写真撮影がオーケーだということ。
むろん、三脚やストロボの使用はだめなのだが。
これについては、作者が以前、北見にいらしたとき、この意向を漏らしていたので、筆者が
「釧路芸術館で池田緑さんの個展をしたときも、撮影可だったので、美術館に話してみては」
と言ったことがある。
もちろん、自分のおかげだと言うつもりはないが、日本の美術館は欧米に比べると撮影不可のことが多すぎるので、今回の展覧会がその風潮に風穴を開けてくれればいいと思う。
長くなってきたので、続きは別項で。
2012年4月7日(土)~5月6日(日)午前9:30~午後5:00(入場~4:30)、月曜休み(ただし4月30日は開館し、翌5月1日休み)
道立近代美術館(札幌市中央区北1西17 地図D)
一般1000円(790円)、高大生600円(480円)、小中生300円(200円)
※かっこ内はリピーター割引、前売りなど
・中央バス、ジェイアール北海道バス「道立近代美術館」から約160メートル、徒歩2分
(手稲、小樽方面行きは、北大経由以外は、すべてのバスがとまります。本数も地下鉄より多く、とくに札幌駅方面からは、この方法がおすすめ)
・地下鉄東西線「西18丁目」から約380メートル、徒歩5分
・市電「西15丁目」から約700メートル、徒歩9分
ほかに、ジェイアール北海道バスが「ぶらりさっぽろ観光バス」を運行しています
★オープニング・トーク
4月7日(土)9:30~(約40分)
トーク/阿部典英
会場/特別展示室 (観覧券が必要です)
★トーク&ジョーク・ショー「走るブリキ男と工作少年、大いに語る」
4月14日(土)午後2~4時
トーク/秋山祐徳太子(美術家)、阿部典英
会場/講堂(240席・先着順) 参加無料
★ワークショップ(募集制)「自由に、グランブルー!~深海を想像して描く~」
4月28日(土)午後1:30~4:30
講師/阿部典英
会場/特別展示室と当館造形室(観覧券が必要です)
展覧会を作家や学芸員と一緒に観覧した後、海の底のようすや生き物を自由に想像して全員で描くワークショップ。大人も子どもも参加できます。定員50人。4月10日(火)募集開始。
★ギャラリー・ツアー(作品解説)
4月7日(土)、5月5日(土)、各日午後3:00~(約40分)
解説/当館学芸員
会場・特別展示室 (観覧券が必要です)
★ギャラリー・トーク
4月21日(土)午後3:00~(約40分)
トーク/当館学芸員
会場/特別展示室 (観覧券が必要です)
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■ハルカヤマ藝術要塞(2011年。執筆中)
■ 「札幌作家グループ展」阿部典英+柿崎熙+下沢敏也 帯広コンテンポラリーアート-真正閣の100日(2011)
【告知】第7回 2011新春特別企画展 阿部典英展 TEN-EI ABE EXHIBITION(2011年1~3月)
■北海道立体表現展(2010年、執筆中)
■交差する視点とかたち vol.3 阿部典英 加藤委 川上りえ 下沢敏也(2009年)
■阿部典英 Ten-ei Abe Exhibition(2009年)
■さいとうgallery企画 第15回夏まつり「星・star」展 (2009年)
■SAPPORO ART PLANETS展 (2009年5月)
■見えるもの⇔見えないもの-イマジネーションのちから- (2009年1-3月)
■交差する視点とかたち vol.2 (2008年7月)
■交差する視点とかたち 川上力三・阿部典英・下沢敏也(07年7月)
■SCAN DO SCAN(07年10-12月)
■企画展「07→08」(画像なし)
■WAVE NOW 06(阿部さんが参加)
■北海道立体表現展(06年、画像なし)
冬の定山渓(「ミスカッパ」の画像あり)
■阿部典英個展(2002年)
■北方圏美術展(2002年、阿部さんが参加)
そういえば、撮影可能というのも、意味ありそうですね。
自分なりにどの角度から見るのが良いのか、考えたように思います。
わわっ、またしても鋭いですね。
私見では、現代の彫刻(立体)の大きな特徴は、台座と正面性の喪失ですからね。
「阿部典英のすべて」の紹介をまとめていますが、ヤナイさんの記事はとても分かり易いのです。
阿部さんの作品を、より深めていただくために、総論のアドレスをご紹介したいのですが・・。
可能かどうか、お聞きしたくてご訪問させていただきました。よろしくお願いいたします。
ただし、後段の趣旨がよくわかりません。この記事が総論というタイトルですが…w
総論~4までの記事のURLをコピーさせていただき、読みたい方がクリックしてこちらの記事を読めるようにと思いました。
もし、難しいようでしたら、検索で記事にたどりつけるような方法の紹介も考えました。
あまり、詳しくないものですから趣旨がはっきりせずに申し訳ありません。
友達に読んでもらうようにします。
私のブログでは、詳細でとても良い記事がある旨の紹介にしたいと思います。
これからもよろしくお願いいたします。
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