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アサヒカメラ08年2月号は小平町が表紙だった

2008年02月06日 00時54分07秒 | つれづれ読書録
 本屋さんで、老舗写真雑誌「アサヒカメラ」の表紙を見てビビビッと反応してしまった。

 毎年冬に北海道の日本海側を訪れている瀬尾明男さん(横浜広島県福山市)の写真だ。

 今回は2007年2月、マニュアル操作のオリンパスOM-1とOM-1Nにコダクロームをつめて2週間も歩いたという。

 留萌管内小平町の市街地。
 マチの北側を流れる小平蘂(おびらしべ)川のほとりにある「望洋台」から南を望んだ風景。

 重い色の波が打ち寄せる海岸で、小さな町並みが吹雪にこごえている。
 国道を走る車は少ない。

 瀬尾さんは表紙のほかにも「ルモイ ユキノフルマチヲ」と題して、巻頭にカラー作品8枚を掲載している。
 田沼武能(たけよし)や水越武といった大御所よりも前のページなのだからすごい。

 筆者は1988年から90年まで留萌に住んでいたから、留萌、増毛、小平の1市2町の風景はとてもなつかしい(今回瀬尾さんは羽幌も行ったようだけど)。
 と同時に、もうかなりむかしのことだから、写真を見ても、どの場所か思い出せないことが多い。ただ漠とした既視感だけが脳裡をよぎる。

 瀬尾さんの視線は、そこに住んでいる人のものではなくて、旅人のものだ。
 だから、演歌とまではいかなくても、古いフォークソングみたいな、どこか垢抜けしない感じがする。
 しかし、それはそれでいいのだと思う。けっして、旅人だから無責任とかゆきずりということではなくて、むしろ出不精の地元民よりもずっとこまめに街角を歩きまわって、全力で風景を自らのなかにとりこもうとしているのは、画面からでもわかるのだから。
 歩いて歩いて、歩き回るうちに、まるで二日酔いがさめて酒がぬけるように、出来合いの感傷性はどこかへ行ってしまい、むき出しの風景の厳しさが画面にじんわりと刻印されていくのだ。




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4 コメント

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小平町 (KITA)
2008-02-06 10:39:50
東京都に小平市(こだいらし)という所があって、以前の仕事の関係でよく知っているのですが、こちらは小平町(おびらちょう)と読むんですよね。読み方を知ったのは、冬の行事に「ほっぺまっ赤っかまつり」というのがあるという、10年ほど前の北海道新聞の記事でした。
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おびらです (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-02-07 00:04:15
KITAさん、コメントありがとうございます。

アイヌ語起源だと思います。
いま手元に参考書がないのですが、「ビラ」「ピラ」はたいてい「がけ」の意味ですから、おそらく小平も、小平蘂川の河口にある望洋台のがけに由来した地名でしょう。

小平市は、じつは「同名」のよしみで、姉妹都市の提携をむすんでいます。
姉妹都市というと、ふつうはおなじ規模のマチどうしがなることが多いのですが、この場合はおもしろいケースです。
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アサヒカメラ (アルコ・ルガール)
2008-02-07 19:47:43
妻の故郷が写っていたので、神田駅前の書店で
購入しました。望洋台の眼下に小平市街、その
南端から臼谷市街(表紙写真では見えませんが)
まで国道が片道2車線になっています。このあ
たりは、地吹雪でもまだ運転可能なのですが、
望洋台の下のトンネル(新しくなりました)を
抜けると、本当にホワイトアウトして恐怖のド
ライブを経験することができます。鬼鹿地区の
花田家番屋付近の照明が見えたときの幸せとい
ったら…。
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ホワイトアウト (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-02-07 23:16:49
アルコ・ルガールさん、奥様が小平のご出身なんですか!
小学校でバレーボールとか、高校で新聞とか作ってませんでしたか、奥様。

それはそうと、わたしも日本海側の地吹雪にはエライめにあいました。
あれは、札幌に住んでいては、理解できない事態だと思います。
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