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■道都大学中島ゼミ 版's SEVEN (2月7日まで)

2008年02月06日 23時57分27秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 昨年夏に第3回がひらかれた茶廊法邑ギャラリー大賞展で奨励賞に輝いた道都大中島ゼミの学生、石井誠さんが、同ギャラリーから展覧会の開催を持ちかけられ、仲間や先輩に声をかけて実現した7人展。
 「北海道美術ネット」の予告記事には

道内の版画界に新風を巻き起こしている中島ゼミの犬養康太、松本直也、柚原一仁、関谷修平、大泉力也、川口巧海、石井誠の7氏が出品

と書きましたが、これは正確ではなく、川口さんだけは、内藤克人さん、鳴海伸一さんに銅版画を習っているのです。
 ほかの6人は、中島ゼミでシルクスクリーンを勉強しています。

 まず、2006年の第7回BHARAT BHAVEN 国際版画ビエンナーレ(インド)でグランプリを獲得、昨年のNBC国際シルクスクリーン版画ビエンナーレ(日本)では大賞に輝くなど、活躍めざましい関谷修平さん。
 道都大を卒業後、倉敷芸術工科大の大学院(通信制)に在籍して版画の腕に磨きをかけています。
 関谷さんの作品は、あえてモアレを表現しているので、写真になかなかきれいに写ってくれないのが悩ましいところです。

      

 以前は垂直線や平行線が多かったのが、今回は放射線で、この画像の「虜」は、わずか3版しか使っていません。
 「シンプルに、引き算でいこうと考えたんです。これからまた、色を加えて、線の密度も高めていくと思います」
 線と線のわずかなズレが、色の微妙な濃淡を生み、浮遊感とも運動感ともつかぬ独特の世界を広げています。
 線だけで構成されていながら、いわゆる幾何学的抽象とも異なる、まったく独自の作風といえるでしょう。

 今回の出品4点のうち3点は、会場を見てから制作した由。
「アクリル板を入れない方がかえってチカチカしていいかなとか、いろいろ考えました」


 石井誠さんも、2年生ながらじつに活動的に発表をつづけています。
 画像は「ASTRONOMY」。



 明快な色もさることながら、画面のあちこちに躍る黒っぽい線の粗密のリズムが絶妙!
 ここには具象的なものはまったく描かれていないのに、広大な風景のような空間が広がっているようです。これは、なかなかできることではありません。




 川口巧海さんも2年生。
 今回の出品者で唯一の銅版画。
 人体に着想を得たような画風です。




 大泉力也さんも2年生。
 四角形が浮遊する画面はどこかマーク・ロスコを思わせます。


 右側の壁には、先ごろさいとうギャラリーで「三猿展」をひらいた3人が偶然ならびました。




 柚原一仁さんは3年生。
 大小の正方形をさまざまに配置し、「刷るごとに要素を減らしていく」という、簡素な画面づくりです。
 「GAME」は、テレビゲームをしている2人の様子から着想したとのことですが、写実的な要素はほとんど影を潜め、四角形が生むリズム感が強調されているようです。 




 松本直也さんは、地の白い部分が多い、スマートでポップな画風です。題材は人物が多いようです。
 3点中1点はおなじ作品が、時計台ギャラリーにも、土曜まで展示されています。


 最後は犬養康太さん。

       

 黒っぽい画面は、暴力的で原始的な力を感じさせます。
 画像は、昨年の中島ゼミ展でも出品された「焼けた妻か子」です。
 そのときも書いたけれど、すごい題だなあ。


 出品作は次のとおり。
犬養康太「ツインオブドラゴン」「それではみなさんさようなら」「焼けた妻か子」
松本直也「DAY DREAM」「STAR CHILD」「TOKYO」
柚原一仁「あなたへ‥」「…ちりちり」「GAME」
関谷修平「拍」「ふ」「虜」「扉」
大泉力也「別の行列」「緑の庭のある風景」「命」
川口巧海「Torso」「心電図」「無限の象徴」「蜘蛛の糸」「化石」「かすみ草」
石井誠 「幾重にも」「ここにいること」「ASTRONOMY」「sputnik」


08年1月30日(水)-2月7日(木)10:00-18:00、火曜休み、茶廊法邑(東区本町1の2)




□中島ゼミのサイト http://www.geocities.jp/nakajima_zemi/

□under hippos.(石井さんのサイト) http://members.jcom.home.ne.jp/3716975201/

第44回道都大学中島ゼミ展(07年8月)
第42回道都大学中島ゼミ展(06年、画像なし)
第40回道都大学中島ゼミ展(05年)

関谷修平さんが第1回NBC国際シルクスクリーン版画ビエンナーレでグランプリ(07年11月)
関谷修平個展(06年)

第3回茶廊法邑ギャラリー大賞展(07年7月、画像なし、石井さんが入賞)
House展 華やかな作家たち(07年5月、画像なし、石井さんが出品)
第4回学生STEP(06年、石井さんが出品)

□「ギャラリー通信」の関聨ページ http://gallery-tuusin.seesaa.net/article/81739716.html


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12 コメント

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Unknown (shino)
2008-02-07 22:59:20
道都大の皆さんの作品には、なんともいえぬ軽やかさと、今の時代の気分を感じて、注目しております。
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shinoさん、お久しぶりです (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-02-07 23:19:23

>なんともいえぬ軽やかさと、今の時代の気分

道都大の魅力の本質を鋭く言い当てていると思います。さすが!

中島先生の指導がすぐれているのでしょうが、そのわりには学生の作品が相互にあまり似ていないのは、ほんとにすごいことだと感じています。
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エントリありがとうございます。 (石井 誠)
2008-02-07 23:48:51
もったいないくらいのお言葉いただき光栄です。

幅広い傾向、手法の作品を認めてくれる先生の指導あってのゼミですが、それに甘んじることなく、今回の展示で得たもの、反省した点を次々と外に出し、改善してゆけるよう今後も精進していきます!

ありがとうございました。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-02-08 21:13:24
石井さん、いつもありがとうございます。
リアル石井さんにはなかなかお会いできないですね。
また「妖怪展」、がんばってください。
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Unknown (一仁)
2008-02-10 22:37:21
掲載ありがとうございます。
今後も活発に活動していきたいと思います。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-02-11 21:27:10
一仁さん、ここでははじめまして。
会場ではどうもありがとうございました。
また機会があったら作品を見せてくださいね。
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遅ればせながら (松本)
2008-02-26 05:20:42
初めまして
お礼を言うのが遅れてしまいました
掲載して頂きありがとうございます
これからもよろしくお願いします
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松本さま (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-02-27 00:04:51
わざわざご丁寧に恐縮です。
こんどお会いしてお話したいですね。
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アクリル (関谷修平)
2008-02-29 02:36:25
掲載有り難うございます、勉強になるお言葉を戴いて更に制作意欲が湧いた様に感じています。作品の写真を素敵に撮っていただいて嬉しかったです。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-02-29 23:02:50
関谷さん、ご丁寧にありがとうございます。
また、さいとうギャラリーでやるそうですね。
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