(承前)
市立小樽美術館と文学館が入っている建物の1階突き当たりにある「市立小樽美術館市民ギャラリー」は、その名の通り、小樽の絵画サークルや「市展」などが借用して展示を行うスペースであり、ここで展覧会を開いたからといって美術館で展覧会が開催されたということにはならないのが通例であるが、今回は主催が市立小樽美術館であり、チラシに同館のロゴが大きく印刷されているので、いつもとは異なる扱いとみるべきだろう。
1966年小樽生まれ、在住の上嶋秀俊さんが2022年度の北海道文化奨励賞を受けたことを記念して、同館が主催した個展である。
上嶋さんがこれまで個展を開いた会場は、ギャラリーミヤシタ、道銀らいらっく・ぎゃらりぃ、ギャラリーレタラなので、今回は過去最大の広さである。北海道弁で「あずましい」個展である。
とはいえ、全体の4分の1ほどは異動壁で仕切って、使用していないのだが、それにしても解放感のある個展になった。
こういうことを書くと語弊があるかもしれないが、上嶋さんの平面インスタレーションは要するに抽象絵画であると思う。
今回も、150~300号クラスの超大作がばーん、ばーんと壁面を覆っている迫力というか、壮大さがある。
矩形のキャンバスではなく、平面インスタレーションであるから、運搬や収納が容易で、大きさも可変。会場・壁の広さに合わせて、部材の組み合わせを自由に変えることができるのだ。
これは「水のもり」(2019)。
今回の展示で最大の作品だ。
リストに「アクリル、シナベニヤ、ラワンベニヤ、樹皮」とある。
樹皮のごつごつしたマチエールは、他には見られない特徴である。
「水のきおく」(2018)。
18のパーツを組み合わせた大作。
「いつか見た光のこと」(2021)。
ギャラリーミヤシタ(現存せず)で発表したときと、ほとんど同じパーツの配置になっている。
こうして見ると、抽象といいながら、意外と「描写的」というか、ロマン主義的に自然を描いている側面があるのが、上嶋さんの作品と言えるかもしれない。
大作がどーんと並ぶ右側と奥の壁に対し、手前と左側は小品が並ぶ。
画像は最新作「光の中へ」(2023)。15片が点在する。
ほかに
「闇がなければ光はなかった」(2021)
「光の中へ」(2022)(2021)~同題が計3点
「闇と光の出会う場所」(2021)
「Blind Water」(2022)
「闇と光…」はボックスシアター的な形状の作品。
入り口からはいって右手の別室には「あしもとを見つめて」(2022)が床の上に展開されていた。
これはさすがに記憶がある。昨年5月の第2回 朝里川 桜咲く現代アート展で屋外の草の中に点在していたインスタレーション。
パーツが32個というのは、そのときと同じだ。
屋外で見ると、ちょっとキノコっぽいが、室内だとだいぶ雰囲気が違う。
というか、矩形のキャンバスの作品だとホワイトキューブがよく似合うが、上嶋さんの作品は、そのときどきの会場の空気と一体で見てしまう。
今回も静かな会場で耳を澄ますとカモメの鳴き声が聞こえていた。
筆者は今後、上嶋さんの作品を見るたびに、カモメを思い出すことになるかもしれない。
いくつかのパーツが、まるで会場の外側へ抜け出すような場所に配置されているのがおもしろかった。
2023年4月5日(水)~9日(日)午前10時~午後5時(最終日~4時)
市立小樽美術館 市民ギャラリー(小樽市色内1)
□HIDETOSHI UESHIMA official site www.flatfield.info/UES/
過去の関連記事へのリンク
■第2回 朝里川 桜咲く現代アート展 (2022)
■上嶋秀俊展 いつか見た光のこと (2021)
■New Point vol.15 (2019)
■上嶋秀俊展―見えない水を探して (2018)
■つながろう2016 Hard/Soft
上嶋秀俊「living seeds」 ハルカヤマ藝術要塞 (2012)
市立小樽美術館と文学館が入っている建物の1階突き当たりにある「市立小樽美術館市民ギャラリー」は、その名の通り、小樽の絵画サークルや「市展」などが借用して展示を行うスペースであり、ここで展覧会を開いたからといって美術館で展覧会が開催されたということにはならないのが通例であるが、今回は主催が市立小樽美術館であり、チラシに同館のロゴが大きく印刷されているので、いつもとは異なる扱いとみるべきだろう。
1966年小樽生まれ、在住の上嶋秀俊さんが2022年度の北海道文化奨励賞を受けたことを記念して、同館が主催した個展である。
上嶋さんがこれまで個展を開いた会場は、ギャラリーミヤシタ、道銀らいらっく・ぎゃらりぃ、ギャラリーレタラなので、今回は過去最大の広さである。北海道弁で「あずましい」個展である。
とはいえ、全体の4分の1ほどは異動壁で仕切って、使用していないのだが、それにしても解放感のある個展になった。
こういうことを書くと語弊があるかもしれないが、上嶋さんの平面インスタレーションは要するに抽象絵画であると思う。
今回も、150~300号クラスの超大作がばーん、ばーんと壁面を覆っている迫力というか、壮大さがある。
矩形のキャンバスではなく、平面インスタレーションであるから、運搬や収納が容易で、大きさも可変。会場・壁の広さに合わせて、部材の組み合わせを自由に変えることができるのだ。
これは「水のもり」(2019)。
今回の展示で最大の作品だ。
リストに「アクリル、シナベニヤ、ラワンベニヤ、樹皮」とある。
樹皮のごつごつしたマチエールは、他には見られない特徴である。
「水のきおく」(2018)。
18のパーツを組み合わせた大作。
「いつか見た光のこと」(2021)。
ギャラリーミヤシタ(現存せず)で発表したときと、ほとんど同じパーツの配置になっている。
こうして見ると、抽象といいながら、意外と「描写的」というか、ロマン主義的に自然を描いている側面があるのが、上嶋さんの作品と言えるかもしれない。
大作がどーんと並ぶ右側と奥の壁に対し、手前と左側は小品が並ぶ。
画像は最新作「光の中へ」(2023)。15片が点在する。
ほかに
「闇がなければ光はなかった」(2021)
「光の中へ」(2022)(2021)~同題が計3点
「闇と光の出会う場所」(2021)
「Blind Water」(2022)
「闇と光…」はボックスシアター的な形状の作品。
入り口からはいって右手の別室には「あしもとを見つめて」(2022)が床の上に展開されていた。
これはさすがに記憶がある。昨年5月の第2回 朝里川 桜咲く現代アート展で屋外の草の中に点在していたインスタレーション。
パーツが32個というのは、そのときと同じだ。
屋外で見ると、ちょっとキノコっぽいが、室内だとだいぶ雰囲気が違う。
というか、矩形のキャンバスの作品だとホワイトキューブがよく似合うが、上嶋さんの作品は、そのときどきの会場の空気と一体で見てしまう。
今回も静かな会場で耳を澄ますとカモメの鳴き声が聞こえていた。
筆者は今後、上嶋さんの作品を見るたびに、カモメを思い出すことになるかもしれない。
いくつかのパーツが、まるで会場の外側へ抜け出すような場所に配置されているのがおもしろかった。
2023年4月5日(水)~9日(日)午前10時~午後5時(最終日~4時)
市立小樽美術館 市民ギャラリー(小樽市色内1)
□HIDETOSHI UESHIMA official site www.flatfield.info/UES/
過去の関連記事へのリンク
■第2回 朝里川 桜咲く現代アート展 (2022)
■上嶋秀俊展 いつか見た光のこと (2021)
■New Point vol.15 (2019)
■上嶋秀俊展―見えない水を探して (2018)
■つながろう2016 Hard/Soft
上嶋秀俊「living seeds」 ハルカヤマ藝術要塞 (2012)
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