北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■絹谷幸二展(1月22日終了) 絹谷幸二の絵は「日本画」である!?

2007年01月27日 00時00分52秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 絹谷幸二である。日本の洋画壇の最高峰である。
 勢いこんで見に行った。でも、素人の悲しさ、どこがいいのかよくわからない。
 じーっと見ているうちに、ひらめいた。

 これは日本画ではないか!

 急いでつけくわえると、これが「ア...コ」だということは知っております。

 しかし。

・輪郭線の強調
・陰影にとぼしい、平面的な描写
・独特のマティエール
・東山魁夷を思わせる澄んだ青
・(とくに地で)金箔の大胆な使用
・文字の導入

 …これはどうみても、日本画の特徴ではないか
(最後は、むしろマンガの特徴かもしれない)。

 ヴェネツィアを題材にした一連の絵なぞ、「洛中洛外図」みたいなもんである(だいぶ派手だけど)。あるいは、鳥瞰図か。
 いずれにせよ、透視図法的な視点による絵とは違う。

 もちろん、いわゆる日本画とちがう点もたくさんある。
 でも、絹谷幸二は「日本人が洋画を描くとは、どういうことか」について、とても意識的な画家にちがいない。

 それにしても、すごいエネルギーである。
 絵柄もそうだけど、2006年作の100号クラス以上の絵が16点もある!
 とくにすごいのが、さしわたし10メートルを超すであろう、6枚からなる「時の舟・慈愛」。古代ローマやエジプトなどの意匠、星座絵などが、ふんだんにちりばめられている。

 ほかにも、青海波のような表現で海を表した「カナル・クラッチ」、
 ヒトラーなどを思わせるモティーフで古代や現代の戦争を表現した「時よ紅蓮に染まれ」
 大きな顔の周囲にガスマスクをつけた人物像やナマズをちりばめた「漆黒の自画像」
 3大テノールを大きくあしらった「魅惑のアリア 野外劇場にて」…
 争うサッカーのサポーターが題材の絵もあったし、すごい勢いで食事をする女性を描いたものもあった。

 下のフロアのギャラリーも絹谷幸二展で、ここにも100号大の近作「イタリア天空の調べ」が展示されていた。
 ほかにも売り絵がたくさんある。
 6号で780万円である。
 そういう絵の題名を記した紙に、「売約済み」を示す赤いシールが、いくつも貼られている。
 お金のあるところにはあるんだなあ。


 ところで、絹谷幸二の年譜などには、フレスコを学んだとはけっして書かれず、かならず「ア...コ」と表記されている。
 このふたつ、よく似ているけれども、どうちがうのか。
 ネットで検索しても、よくわからない。

 こういうときは、やっぱり本だ。
 大野彩「フレスコ画への招待」(岩波アクティブ新書)にこうあった。
「フレスコ<fresco>」という言葉は英語の<fresh>に当たるイタリア語で、「新鮮な」とか「爽やかな」という意味で、また「フレスコ画」「フレスコ画法」という意味もあります。これに<a>をつけて「ア-p..コ<affresco>」というと「フレスコ画」とか「フレスコ壁画」という意味になります。

 なるほどね。

 せっかく調べたのに、ほかの人が、何の苦労もなくわかってしまうのがシャクなので、検索エンジンにひっかからないよう、ちょっとした小細工をしてみました。(追記:ケータイからだと、余計な文字が入ってしまいます) 

1月16日(火)-22日(月)10:00-20:00(日曜-19:30、最終日-18:30)、入場は閉場30分前まで
三越札幌店(中央区南1西3)10階特別会場
一般・大学生700円、高校生以下無料


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。