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■外山欽平油絵個展(4月7日で終了)

2007年04月25日 23時57分47秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 道内第三の都市、函館にも多くの美術家がいるが、函館以外で定期的に個展を開いている人はわずかである。毎年、となると、外山さんひとりではないだろうか。
 「北海道抽象派作家協会」の同人としても年2回発表しているから、札幌の人にもおなじみの画家だと思う。
 外山さんは、10年ほど前から、毎年の絵のテーマをアルファベットにしている。ことしのテーマは「J」。
 こう書くと、事情を知らない人はなんのことかと思うかもしれないけれど、毎年、筆記体にしたり、キャンバスを横にしたり、いろんなアルファベットを描いている。もちろん、カリグラフィをやっているのではなく、アルファベットはあくまで素材であり、純粋な色と線、かたちのせめぎあいが主眼である。
 いま「描いている」と言ったけど、キャンバス上を縦横にかけめぐっているレモンイエローの細い線は、じつは「描いている」のではない。100号の画布を持っていろんな方向にかたむけ、絵の具を走らせているのである。
 その走った跡の、線と線のあいだを、赤や青でうめていく。
 作品によって、赤や青には微妙な違いがある。たとえば、青は、コバルトブルーマイカ、ターコイズブルー、コバルトマリーンを組み合わせているという。

         

 地の色は緑(モナストラルグリーン)だが、表面を雨粒がながれた跡のような細い線が、びっしりと表面を覆っている。これは、キャンバスをかたむけると、絵の具分と油分が分離して生じる文様なんだそうだ。
 もちろん、この緑の下には、きっちりと下塗りがなされていて、それが微妙に表の緑側に反映しているという。

         

 C室には小品がならんでいた。
 「遊び心で、ときには子どもと一緒に」
ということらしい。
 木枠がなく、ラフにきりとったキャンバス片を直接壁に貼っているものもあり
「こういうのが、銀座で売れてるんだって」
と外山さん。

         

 筆者がこれまで外山さんから聞いた話のなかで、いちばん印象にのこっているのは
「抽象表現主義に落とし前をつけたい」
ということばだった。
 色も、構成要素も、必要最小限に抑えて、なおのこる絵画のバリエーションとは。
 そういう問題意識が、外山さんの絵には通底していると思う。


4月2日(月)-7日(土)10:00-18:00
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A

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