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■特別展 三岸黄太郎 もう一人のミギシコウタロウと節子と (2012年3月25日まで、札幌)

2012年03月24日 22時36分35秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 個人美術館の展覧会の企画は難しい。
 代表作を目当てに全国から来る人がいる以上、常設展示のすべてを外すわけにはいかないからだ。
 しかし、いつも常設展だと
「代わり映えしない」
などと難癖をつけられる。
 そこで、代表作は残しつつ、くだんの美術家とゆかりのある人の作品を並べる作戦に出るしかない。
 今回のテーマは、三岸黄太郎こう た ろう。好太郎と節子の長男である。
 ゆかりの深さでは申し分ない。
 好太郎の「オーケストラ」「蝶」など数点、さらに節子の作品も何点か並べ、しかしあくまで黄太郎の作品をメーンにした展示になっている。美術館側の苦心がうかがえる構成だと思う。

 珍しいのは、浜松市美術館が所蔵する黄太郎の作品のほか、好太郎「アトリエの庭」という作も借りてきていること。
 好太郎のアトリエは東京・中野に現存しているらしく、いつか見てみたいものだ。

 さて、黄太郎の絵画であるが、引き算に引き算を重ねた構図と、数を抑えた色彩で、見ているうちに、静かな夜に散歩しているような、何だかしんとした心もちになるようであった。
 色彩が簡素といっても、実際に使っている色が少ないわけではもちろんない。きっちりと絵の具の層が重ねられている。そうしないと、絵が薄っぺらいものになってしまう。ただ、おもてに出ている色は、あまり多くない。

 ただ、美術館の所蔵作ということで、30号とか50号ぐらいの絵が多いのかもしれないが、あるいは、もっと小さな作品のほうが、より良さを実感できるのではないかという気がした。パウル・クレーがそうであるように。
 おそらく、黄太郎の資質がマイナーポエット的なのではないかと思う。
 そして、そういうひそやかな絵は、この三岸好太郎美術館の建物によく似合うのだ。
 とくに、静まりかえった冬の美術館に。


2012年1月21日(土)~3月25日(日)9:30~5:00(入場~4:30)、月曜休み
道立三岸好太郎美術館(札幌市中央区北2西15)

告知の記事 三岸黄太郎 もう一人のミギシコウタロウと節子と



・地下鉄東西線「西18丁目」4番出口から750メートル、徒歩9分
・中央バス、ジェイアール北海道バス「道立近代美術館前」から500メートル、徒歩6分(札幌駅や北1西4から乗って、手稲、小樽方面へ行く大半のバスが停車します。ただし、北大経由は除く)
・市電「西15丁目」から770メートル、徒歩10分


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