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■置戸コンテンポラリーアート(5) 吉野隆幸「『心象覚』 心象風景を呼び起こす感覚 VOL.2」 

2012年08月27日 22時03分10秒 | 展覧会の紹介-現代美術
承前)

 今回、置戸コンテンポラリーアートでは、とくにテーマなどを設定しなかったため、作品のタイプ、質ともさまざまな作品が並んで、それがかえっておもしろかったと思うが、その中で筆者の目を奪ったのは、吉野隆幸さん(帯広)のインスタレーション「『心象覚』 心象風景を呼び起こす感覚 VOL.2」と、田丸忠さん(北見)の「第Q建屋」であった。

 吉野さんは、昨年も「真正閣の100日」で真鍋庭園内にリンゴ箱を使ったインスタレーションを発表していた。
 今回の作品は、外観はそれとよく似ているが、内部にビデオモニターを取り付けるなど、パワーアップしている。

 じつは、この直前まで、上川管内音威子府村で作品を展示しており、3度にわけてトラックで運んできて、設置しなおしたというから、たいへんな労作なのだ。 
 


 内部に設けられたモニターには、吉野さんが自ら撮影したという日の出の場面が写っている。
 人間の精神によい影響があるのでは、という思いがあったようだ。

 リンゴ箱は、帯広でも古い建物の中から見つかったものを再利用しているそうだ。
 発見されたのはなんと4000個。

 リンゴ箱は、昔は若い人が下宿で机や本箱の代わりにしたり、ある世代以上にとっては、郷愁を誘うものであるだろう。



 木で制作したリンゴが随所に置かれている。



 小さな教室? をまるごと使っており、黒板には、コンセプトなどが書いてある。これはいいアイデア。

 メーンの作品以外にも、奥に小部屋? があって、その中にガラス板が重ねられていたり、周囲に木のリンゴが転がっていたり、もともとあった棚の中にも小品が並んでいたり、いろいろ「仕掛け」の多い展示だ。

 


 




 閉校跡という会場にふさわしい作品だと思う。

 いわば、作品が、見る人の記憶に働きかける装置になっているのだ。


2012年8月3日(金)~13日(日)
旧秋田小学校(オホーツク管内置戸町秋田)



関連記事へのリンク
真鍋庭園で (2011年)

参考
□筬島の風 原始の森林、揺らめいて http://bikkyatre3moa.blog.so-net.ne.jp/2012-06-21




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