道立函館美術館(函館市五稜郭町37の6)から年3回、広報誌「ハコビニュース」を贈っていただいています。ありがとうございます。
4ページと小粒ですが、中味はぎっしり詰まっています。
今号の所蔵品紹介コーナーに、鵜川五郎さんの作品について書かれていました。
鵜川さんは北斗市にお住まいの、1919年生まれのベテラン画家です。
道内に住んでいて、全国的に知られてもいい力量を持ちながら、ほとんど無名という美術家の方は、たくさんいらっしゃいますが、あえてひとりだけ挙げよ-と言われれば、筆者は鵜川さんの名を答えたいと思います。
2004年に同館でひらかれた回顧展は、それほどまでに衝撃的なものでした。
戦争。そして、いつ終わるとも知れぬ人間の愚行…
たしかに、浜田知明の初等兵シリーズや、丸木位里・俊の「原爆の図」もすごい。
しかし、北方ルネサンスの絵画形式を借り、写実的に人間や風景を描く鵜川さんの絵画は、声高な告発調でないぶん、よけいに“凄み”を感じさせるのです。
残念なのは、鵜川さんの絵にふれる機会があまり多くないこと。
以前、渡島管内大野町教委のサイトに、鵜川さんが同町に寄贈した絵を紹介するコーナーがあったのですが、大野町と上磯町が合併して北斗市が誕生したときに、どこかへ行ってしまいました。
いまは公募展には所属していないし、札幌で個展を開くこともめったにありません(地元では近年にひらいたようですが)。
あと、地元の「せせらぎ温泉」のロビーに架かっているという話をききました(未確認)。
北斗市教委には、ぜひ先のサイトを復活していただくとともに、常設のギャラリーを造っていただきたいと切に希望します。
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.jp/hk-hakmu/contents/special/h15/ukawa.html
(現在、ネット上ではほぼ唯一の情報源のページです)
描法もさることながら、戦争と時代への批判的精神の鋭さは、なまなかなものではないと思います。
全道展会員をやめてからかなりたつので、札幌の人でも知らない人が多いかもしれません。
もっともっと知られてほしい人です。
世の中には、すごい人がいるもんですねえ。
もったいないなあ。どんどん紹介してほしいです。
絵をみると、本当に北海道のブリューゲル
って感じです。空も雲の描き方も委細です。