北海道美術ネット別館

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■OPERA Exhibition vol.2 (11月11日まで)

2007年11月11日 10時00分54秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 
 足立成亮、石川ひと、置田貴代美、友岡幸代、林玲二、廣島経明、松原成樹、山岸せいじ(五十音順)の8氏によるグループ展。
 昨年につづき第2回ですが、若干メンバーが入れ替わっています。
 それにともない、昨年は写真だけだったのですが、林さんと山岸さんが絵画に転じ、松原さんが陶の立体を出品して、幅がひろがっています。まあ、写真がメーンであることにはかわりありませんが。
 若手を中心に、アーティスティックな写真があつまっています。

 冒頭の画像で、天井からハンモックのように垂れ下がっている大きな作品が、山岸さんの「目覚めの記憶たち」です。
 ここ数年、写真あるいは写真を使った現代アート作品を出品することが多かった山岸さんとしては、ひさしぶりの絵画作品だと思います。おびただしい水色などの点が、オールオーバーにひろがっています。
 
 
          

 会場に入ってすぐの壁面は、ことしも廣島さんが占めています。
 作品数が多いため、いちいち題名は記しませんが、幻想的で、見ていてうっとりとするような写真の数々。
 すべて銀塩のフィルムカラー写真です。
 なんだか、ハッブル宇宙望遠鏡の撮影した写真を思わせます。


          


 置田さんはモノクロ11枚に「生キユクコト」という題をつけています。
 インクジェット出力ですが、黒がはっきり出ているので、貧弱な感じはありません。
 夜の池に咲く睡蓮、水面の波紋、手を描いたノートブックと机上の血(?)など、心象風景の表現に、ますますみがきがかかっているようです(それは、彼女がもともとの得意領域であった星景や空の写真からますます遠ざかっていることを意味しますが)。
 なかでも筆者が強い印象を受けたのが、砂時計をとらえた1枚。
 砂は密閉空間の中で落下しているのに、風に吹かれたように、わずかに曲がりながら落ちています。
 置田さんの、ひいては人間の、つかみどころのない精神を、反映させたかのように、見ごたえのある写真群です。



          



          

 昨年は写真を出品した林さんは、今回はここ10年ほどつづけている連画ドローイングのシリーズをならべています。題は「Now-here,No-where」。
 いまはあまりつかわれなくなったパソコンのプリンタ用紙(ロールになっていて、両端に丸い穴が等間隔であいているやつ)を支持体に、金属粉などを塗っています。

 林さんはタブローっぽい作品に取り組むことが少ないので、どうも実力にくらべて注目される度合いが足りないような気がしてならない(生意気な言い方ですいません)のですが、この種の抽象画を描いたら、ほんとうにうまいです。
 時の積み重ねのような、重厚な世界がひろがります。しかも、帯のように長い支持体なので、それがとてもワイドに感じられるのです。

(長くなってきたので、後半は別項)


07年10月31日(水)-11月11日(日)10:00-18:00(最終日-17:00)、火曜休み
茶廊法邑(東区本町1の1)


■06年(vol.1)

□足立さんのblog http://dogsam.seesaa.net/
□石川さんのサイト http://www13.ocn.ne.jp/~hito/index.htm
□置田さんのサイト http://home.att.ne.jp/omega/hiyo4/

山岸さんの個展「景」 (07年3月)=くわしいプロフィルと、過去の展覧会へのリンクあり

廣島さんの07年4月の個展の予告記事=くわしいプロフィルと、過去の展覧会へのリンクあり

置田貴代美写真展「ISHIKI-意識」(06年11月)
東川町フォトフェスタ(06年7月)

第26回存在派展
第25回存在派展
林玲二個展(04年)
富田知子・林雅治・林玲二3人展(01年)
林玲二個展(01年)
=以上は、林さんの過去記事のうち、画像のあるもののみ


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
とても楽しめました (sue)
2007-11-11 12:54:56
今年の展もかなり楽しめました。昨年はドキュメンタリーっぽい作品もありましたが、今年はかなりアート系でした。置田さんは一枚一枚実験的な取り組みをされていて、以前の空の写真とはかなり作風が変化しています。ピンホールカメラを使ったダブルイメージ、地球の動きを表すような砂時計の砂の動き、下水トンネルの中にうごめく異形の生物のような葱の接写などその発想が実にユニークで楽しめました。石川さんは昨年以来1年ぶりの出品ではないでしょうか。ボールということでは、かつてポラロイドを用いた白岩登三靖さんの「ボールの日々」やオノデラユキさんの書棚の前に浮かぶ球体を想起しましたが、石川さんのはボールが動き回ったり並んだりして生きているようです。夜空にライトで「HITO」と描いていた頃の遊び心が戻ってきたようです。ほかもじっくり見せてくれる作品ばかりでした。
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OPERA展おもしろかったですね (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-11-11 21:28:49
 sueさん、的確なコメントありがとうございます。
 置田さん、ピンホールを使っていたのですね。
 ひとさんの「HITO」の写真は、いまもサイトの表紙につかわれています。
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Unknown (hito)
2007-11-11 22:48:36
お世話になっております。石川です。
ヤナイさん、会場ではお会いできませんでしたが、ご来場いただきましてありがとうございました!
とってもお会いしたかったです~
本日最終日でしたが、おかげさまで、とてもあたたかい気持ちで展覧会を終えることが出来ました。
またチャンスに恵まれた時に、作品をお見せできるようにがんばります!
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ひとさん、ひさしぶり! (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-11-12 20:23:41
お元気そうで、なによりです。
会場に、2001年の札幌市写真ライブラリーでの個展のファイルがあって、とってもなつかしかったです。
社会人をしながらモノクロを撮るのは大変だと思いますが、無理をせず、がんばってください。
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ありがとうございます! (hito)
2007-11-12 21:10:41
ヤナイさん、本当にお久しぶりです。

いつもサイトを拝見させていただいています。いつも、いつも、内容の濃い情報を発信してらっしゃって、脱帽しております。そのパワーは本当に大変なことだと思います。

私ごとですが、今回の展覧会で、いろんな刺激を受けて、本当に楽しかったです。
社会人になり、仕事にパワーが傾いてしまい、スローペースになってしまいましたが、実は、10月から仕事を辞め、家庭に入りました。
また学生の頃のようなパワーを取り戻すのは、難しいと思いますが、社会人より、少し時間ができそうなので、面白いものを作り出せるよう頑張ります!

またお会いできるのを楽しみにしています!
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 (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-11-12 22:40:06
あ、「石川」じゃなくなったんですか、それはおめでとうございます。
それはそれで大変なこともあるとは思いますが、無理せずやってください。

いつも見てくださってうれしいです。
リアルでのわたしを知る前からネット上でヤナイを知っていた人は、たしかひとさんが第1号ですよ。

これからもよろしくおねがいしますね。
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それはうれしいです! (hito)
2007-11-13 11:53:26
私が一号だったんですねーー!
それは嬉しいです!

これからも楽しみにしています♪
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-11-13 23:20:31
「北海道美術ネット」は、山岸さんから聞いて、読んでます―と言われたんですよ、札幌市写真ライブラリーで。
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