日本工芸会東日本支部が主催するこの展覧会、ことしから題名が変わりました。
題は変わっても、陶芸、染織、漆芸、金工、木工・竹工、人形、諸工芸(主に七宝、ガラス)の各分野で、きわめて高い質の作品が出品されていることは、従来と同じです。
ことしは712点が搬入され、入選した403点と遺作2点が展示されています。以前も書いているが、正会員・準会員の作品も審査され、とくに出品者の多い陶芸分野では落選する人もめずらしくありません。
道内からのことしの入選者は次のとおり。
陶芸 大野耕太郎(滝川市江部乙町)黄瓷壺
尾形香三夫(石狩管内新篠津村)練上縞壺
北川智浩(江別)白磁鉢
西村和(札幌)網代麻葉文六角鉢
染織 塩澤啓成(恵庭)友禅訪問着「水紋」
野口幸子(札幌)刺繍名古屋帯「小さな春」
木竹工 村木昭彦(札幌)神代〓造凍文小箱
諸工芸 長谷川房代(函館)有線七宝蓋物「花衣」
降籏ゆみ(江別)被硝子蔦文様水指
(〓は木へんに「弗」で、「タモ」)
昨年の7点よりは多いですが、2004年の11点にはおよびません。
13日まで大同ギャラリーで個展をひらいている辻徹さん(茨城県、札幌出身)も入選していました。
昨年、みごと日本工芸会賞を受けた村木さんは、ことしもおちついた造形に、北の風土を反映した文様をほどこしています。
伝統と北国の抒情を両立させた稀有な作品だと思います。
降籏ゆみさんは、筆者が見落とした2006年のこの展覧会で新人賞にかがやいています。
宙吹きではなく、加飾という技法で、ガラスを飾る降籏さんの作品は、ミントグリーンがさわやかです。
野口さんも、2006年に入選していました。華麗な友禅などが並ぶ中、むしろ素朴なデザインが異彩を放っています。
なにせ「伝統」を掲げる展覧会ですから、モダンな意匠のものはあまり目につきません。
道内勢では、年を追うごとに精緻(せいち)さを増す尾形さんの陶芸が、現代的な装いの範疇(はんちゅう)に入るでしょうか。
道外の作品では、三好かがり「彩切貝小箱『星降る夜』」が、横浜・みなとみらい地区の夜景をあしらって、おしゃれな感じです。
友禅は、昔ながらの意匠を引き継ぐ傾向の強い分野だと思いますが、池田寛「万華鏡」は、シャープな文様で抽象画のような構成が特徴的です。
朝日新聞社賞を受けた井戸川豊「銀泥彩磁かいわれ文組鉢」。現代の食卓に合いそうな、軽みのデザイン。こんなのが受賞?と思いましたが、いま求められている陶芸は、こういうものなのでしょう。
人形では、岩瀬なほみ「春」が、和・洋の区別を超えた存在感をただよわせています。
また、日本工芸会東日本支部長賞を受けた鳥毛清「沈金栗鼠図飾箱」は、リスの姿をきわめてリアルにとらえた異色の作品。画壇ではハイパーリアリズムが盛んですが、金工伝統工芸の世界にもその波がきたということでしょうか。
08年5月6日(火)-11日(日)10:00-20:00(日曜-19:30、最終日-18:00)
三越札幌店(中央区南1西3 催事場)
すでに東京展は4月15-20日に終わり、札幌のあとは、新潟(5月14-19日)、仙台(21-26日)、盛岡(29日-6月3日)に巡回する。
■第47回伝統工芸新作展(07年)
■第45回(05年)
題は変わっても、陶芸、染織、漆芸、金工、木工・竹工、人形、諸工芸(主に七宝、ガラス)の各分野で、きわめて高い質の作品が出品されていることは、従来と同じです。
ことしは712点が搬入され、入選した403点と遺作2点が展示されています。以前も書いているが、正会員・準会員の作品も審査され、とくに出品者の多い陶芸分野では落選する人もめずらしくありません。
道内からのことしの入選者は次のとおり。
陶芸 大野耕太郎(滝川市江部乙町)黄瓷壺
尾形香三夫(石狩管内新篠津村)練上縞壺
北川智浩(江別)白磁鉢
西村和(札幌)網代麻葉文六角鉢
染織 塩澤啓成(恵庭)友禅訪問着「水紋」
野口幸子(札幌)刺繍名古屋帯「小さな春」
木竹工 村木昭彦(札幌)神代〓造凍文小箱
諸工芸 長谷川房代(函館)有線七宝蓋物「花衣」
降籏ゆみ(江別)被硝子蔦文様水指
(〓は木へんに「弗」で、「タモ」)
昨年の7点よりは多いですが、2004年の11点にはおよびません。
13日まで大同ギャラリーで個展をひらいている辻徹さん(茨城県、札幌出身)も入選していました。
昨年、みごと日本工芸会賞を受けた村木さんは、ことしもおちついた造形に、北の風土を反映した文様をほどこしています。
伝統と北国の抒情を両立させた稀有な作品だと思います。
降籏ゆみさんは、筆者が見落とした2006年のこの展覧会で新人賞にかがやいています。
宙吹きではなく、加飾という技法で、ガラスを飾る降籏さんの作品は、ミントグリーンがさわやかです。
野口さんも、2006年に入選していました。華麗な友禅などが並ぶ中、むしろ素朴なデザインが異彩を放っています。
なにせ「伝統」を掲げる展覧会ですから、モダンな意匠のものはあまり目につきません。
道内勢では、年を追うごとに精緻(せいち)さを増す尾形さんの陶芸が、現代的な装いの範疇(はんちゅう)に入るでしょうか。
道外の作品では、三好かがり「彩切貝小箱『星降る夜』」が、横浜・みなとみらい地区の夜景をあしらって、おしゃれな感じです。
友禅は、昔ながらの意匠を引き継ぐ傾向の強い分野だと思いますが、池田寛「万華鏡」は、シャープな文様で抽象画のような構成が特徴的です。
朝日新聞社賞を受けた井戸川豊「銀泥彩磁かいわれ文組鉢」。現代の食卓に合いそうな、軽みのデザイン。こんなのが受賞?と思いましたが、いま求められている陶芸は、こういうものなのでしょう。
人形では、岩瀬なほみ「春」が、和・洋の区別を超えた存在感をただよわせています。
また、日本工芸会東日本支部長賞を受けた鳥毛清「沈金栗鼠図飾箱」は、リスの姿をきわめてリアルにとらえた異色の作品。画壇ではハイパーリアリズムが盛んですが、
08年5月6日(火)-11日(日)10:00-20:00(日曜-19:30、最終日-18:00)
三越札幌店(中央区南1西3 催事場)
すでに東京展は4月15-20日に終わり、札幌のあとは、新潟(5月14-19日)、仙台(21-26日)、盛岡(29日-6月3日)に巡回する。
■第47回伝統工芸新作展(07年)
■第45回(05年)
直しておきました。