江別の工藤悦子さん(主体美術会員、新道展会員)は隔年で個展をひらいています。
筆者が絵を見始めた1996年にはすでに、花や生命体を思わせる曲線のものを深い青で描く画風になっていましたが、ついに今回の個展で、作風に変化があらわれました。暖色が主調色になったのです。
もっとも、メーンのモティーフはあまり変わりません。
冒頭の画像の「悠久の華」では、花の茎にあたる部分が黒い直線の棒になっているのが、目を引きます。
「直線がないと画面がしまらなくて」
と工藤さんはおっしゃっていましたが、彼女の絵に直線が登場すること自体、非常にめずらしいといえます。
目をこらすと、花びらのような部分にはピンクがさされ、下地には緑が用いられるなど、すぐには見えにくい部分でさまざまな苦心がかさねられているようです。
こちらも題は「悠久の華」。
130号キャンバス4枚と120号キャンバス1枚をつなげた超大作の新作で、さしわたし8メートル近くもあります。
「青い絵の集大成みたいなものですか」
と聞くと、そういう意識はなくて、暖色の絵も青系の絵も、これからも描いていきたいとのこと。
塗っては削り-を繰り返しており、マティエールはますます深みが増しているようです。
絵の一部分を拡大してみました。
ひとくちに「青」といっても、単純に塗ったのではこういう深みがでないのが、わかると思います。
工藤さんの絵は、個別具体的ではない、普遍的ないのちというものに、迫っているように感じるのです。
出品作は次のとおり。
「悠久の華」194×778.5センチ、194×225センチ、F4、F4、F30、F6、F3
「初華」F4、44×14センチ
「華」F10、F15
「夜の華」F3(3点)
08年6月23日(月)-28日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
■06年の個展
■04年の個展
■02年の個展
■01年の主体美術8人展
■00-01展(2000年末)