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■菅定 新作展 vol.2 (8月28日まで)

2010年08月26日 22時28分04秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 菅定かんさだむさんは北見在住の美術家である。

 北見、オホーツク管内のアートの現状はまだよく分からないのだけど、六創りくそう会に代表される大ベテランたちよりも下の世代の姿がどうも見えてこない。来月、この地域の団体公募展である全オホーツク展を北網圏北見文化センターへ見に行けば、すこしはつかめるのだろうけど。
 そんな中で、札幌でも精力的な発表をしてきたほとんど唯一の若手が菅さん。
 いまは道新文化センターでも美術関係の多くを担当している。

 その菅さんが地元北見のカフェで個展を開いているということを、週2回宅配されるフリーペーパー「みんと」で知り、仕事帰りに出かけていった。

 サムホール程度の小さな作品が10点ほど、飲食店の内壁に並んでいる。1点だけ、すこし大きい。3号程度か。
 すべて縦位置で、抽象作品である。

 よく見ると、斜めの格子模様(ピエロの衣装みたいなやつ)を描いた絵は平面だが、たわんだオニオンリングを二つ描いたような絵や、縦横の格子模様の作品は、それぞれの模様が浮き出ている。「浮き出ているように見える」んじゃなくて、わざわざ輪のかたちに切った木片かなにかを貼りつけているのだ。レリーフに近いともいえる。

 あらためて考えると、絵というのはもともと、立体の現実世界を、平面の上に移し替えたものである。
 当然そこには、なにがしかのムリが生じるわけで、古来いろいろな画家が立体感や奥行き感を出すために苦心を重ねてきた。
 そして、近現代絵画とは、その立体感とか奥行き感をいったんチャラにしたところからスタートしたものだともいえる。

 立体感というのは、立体を貼りつければ得られるというような、簡単なものではない。
 また、透視図法を使って描けばいいというものでもないだろう。
 立体を貼りつけても、やり方がまずければ、リアリティよりも、ミニチュアっぽさが出てきてしまう。

 もちろん、抽象画だとまた事情は変わってくる。
 菅さんが、全くの平面で、ある種の奥行き感・立体感を出している作品と、実際に画面に凹凸をつけて立体っぽくしている作品の両方を出している、ということは、この
「絵画そのものの持つアポリア(むつかしさ)」
に自覚的だということなんだろう。

 なーんて、小ムツカシイことを考えなくても、ポップでなんだか楽しい絵です。


 ところで、話はまったく変わるのだが、会場となっている「トンデン・アンド・カフェ」、コーヒーがすばらしい。
 札幌で言えば、宮の森のWAKE Cafe級のうまさである。

 28日のイベントのフライヤーなども発見。富樫幹さんが北見でライブペインティングやるみたいだな~。


2010年7月28日(水)~8月28日(土)11:00am~11:00pm、日曜休み
TONDEN CAFE AND(北見市とん田西町320-5 辻ビル)



・北海道北見バス小泉三輪線「とん田仲通」から徒歩4分



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