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■川井彩奈個展「視線」(2024年10月16~21日、札幌)●10月17日その4

2024年10月21日 09時58分38秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(承前)

 札幌大谷大3年の油彩画の個展。
 昨年秋に同じ会場で、ことし5月にビストロカフェ+ギャラリー・オマージュで個展を開いているほか、昨年暮れのグループ展「未完の大器」にも出品しています。
 2022年には道展で新人賞を受賞しています。

 人物の肌の質感などの描写に、学生とは思えないほどの高い技倆ぎりょうを発揮してきました。とにかくうまい。
 
 
 なので、今回の個展で一番大きな作品「おもあふれて」(F30、画像右)には正直びっくりしました。
 
 人物像の上に原色の絵の具がぶちまけられ、ティッシュペーパーや、細く切り裂いた赤い紙が貼り付けられているからです。
 否定的な衝動のようなものが伝わってきます。

 よく見ると左側の「その瞬間確かに貴方は見ていた」(F4)も、ふつうの肖像画と違います。
 白目をむいた顔が宙に浮かんでいて、まるで幽霊のようです。 
 
 
 この画像中央の「春をまとう」のように、和装の女性の後ろ姿をモノトーンで描いた、穏やかな作品もあります。

 ですが、その右側の「私の人生は 私のもの」、左側の「気付くと貴方を目で追っていた」(いずれもF6)。

 うまく言えないんですが何かがヘンな感じがしてならないんです。
 ただならぬ気配というか、不穏というか、どんな言葉も当てはまらないのですが…。
 
 
 会場の手前には抽象画が6点並んでいます。
 これを見ると、「想い溢れて」などは、画面に奥行き感、立体感を持ち込もうという試みとしてとらえることができなくもありません。
 鑑賞中に作者本人が来店して
「身の回りの人を描いています」
と話す口ぶりはいたってふつうでしたので、筆者の考えすぎなような気もしました。

 はたち前後の若者が悩んだり考え込んだりするのはむしろ当然のことなので、今後の川井彩奈さんの画業がどう展開していくか、見守りたいと思います。

 作品はほかに
貴方をただ想っていた(F20)
気付くと貴方を目で追っていた(F6)
待ち合わせ(F6)
もしも心通じ合えたなら(P6)
雨音の響く部屋(31×18)
しなやかに美しく(10×30.3)
貴方が振り向くのを待って(F3)
愛して(サムホール)
覗く(同)
真夜中の訪れ(同)
雨上がり(F0)
貴方が見る世界を今日も知らずに(F0)
はらりはらり(F0)
もどかしくて甘酸っぱい(F0)
mixture(F0)
秘          


 10月17日はほかに、ギャラリー門馬で「長田 沙央梨 個展「きえないともしび かぜのまぶた」」を見ました。愛知県の作家で、動物や鳥の絵画や陶の立体。
 27日まで(火・水曜休み)。


 同日訪れたギャラリーなどは6カ所。
 10月になってから行ったギャラリーなど美術展会場は計57カ所になりました。
 

2024年10月16日(水)~21日(月)午前10時~午後7時(最終日~5時)
カフェ北都館ギャラリー(札幌市西区琴似1の3)



・地下鉄東西線の琴似駅5番出口かエレベーターから約270メートル、徒歩4分
・JR琴似駅から約740メートル、徒歩10分

・ジェイアール北海道バス「山の手一条通」から約920メートル、徒歩12分(快速、都市間高速バスは通過)
・ジェイアール北海道バス、中央バス「西区役所前」から約960メートル、徒歩13分


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