毎年書いていることだが、漢字が中心で、かながすくない。近代詩文もすくなく、篆刻はゼロ。
はたと気がついたのだが、道内に女性かな書家があまりいないわけではもちろんなくて、この展覧会に参加してない人がけっこう多いのだ。
出品者はつぎのとおり。「臨書」と記していないものは「創作」。
▼漢字
秋森麗子(札幌) 「回帰」
勢いを殺した、ぼくとつとした味わい。
阿部華雪(岩見沢) 「褒」
簡素な中にも動感があって、佳作だと思う。
雨宮百合子(札幌)「疾風」
荒野紫陽(後志管内倶知安町)「悦」
安藤小芳(札幌)「慈」
淡墨。墨象とも篆書ともとれる、ふしぎな古拙の味わい。筆の渇潤が独特のリズムを生んでいる。
石井眞弓(札幌)「花心」
ゆっくりとした運筆。にじみがおもしろい。
糸藤紅陽(札幌)「宇宙」
糸藤さんはなお闘病中なのだろうか。それを感じさせない、おおらかな筆の運び。
猪俣春柯(室蘭)「稀」
井幡郁子(札幌)臨書「甲骨文」(古文くさぐさ)
岩崎雅祥(滝川)臨書「金文」
右近灯香(札幌)「叢」
内田永子(札幌)「雲龍」
江副圭舟(札幌)「陽明」
ほとんど非文字作品。鷹揚にして、知的に構成されていると思う。
海老沙邦(札幌)臨書「受禅表」
大澤玉翠(苫小牧)「洛陽道」
太田欽舟(札幌)「跳」
大竹秀華(室蘭)「崖」
越智星渚(札幌)臨書「王獻之尺牘」
加藤東虹(北見)「和顔」
金子青峰(小樽)「中国の風土を読む」武田禅次 華北なる風神夜も黄砂吐く
工藤菁穂(札幌)「游神」
久保田彩荷(札幌)「鳥象」甲骨文
小西広恵(小樽)「明珠在掌」
小林耿舟(北広島)「撼」
酒井精舟(札幌)「讖趨」
笹川秀華(十勝管内広尾町)臨書「好太王碑」
椎名恵舟(札幌)「鳳」
白井恵子(小樽)「落花流水」
神内青雪(札幌)「聲」
鈴木北央(旭川)臨書「張黒女墓誌銘」
関桂舟(札幌)臨書「牛〓造像記」
〓は「蹶」のへんが木偏
滝内秋櫻(江別)「森羅萬象」
寺島春代(札幌)「無垢」
長嶋幸子(札幌)「彗」
浪田美芳(札幌)「遊曠林」
西野晴翠(札幌)臨書「西狭頌」
則包雅芳(札幌)「漢詩二首」池草不成夢涼夜… 向晩金牛道寒林…
濱本蘇玄(札幌)「因」
個人的にはいちばん好きだった作品。余白がきれいだし、下へと落ちていく線の動きがユニーク。妙な比喩を使わせてもらえば、アニメで、撃たれたロボットの破片が落下していくような感じなのだ。とても「因」とは読めないけど。
原田静香(札幌)「雪花月」
いちおう漢字に分類するが、トンパ文字。
原田青琴(夕張)臨書 良寛
ひじょうにやわらかい線の運び。そして、ぜんぜん読めない。
三上禮子(千歳)「一塵不染」
今回の展覧会では、めずらしく、パワーいっぱいの作品。
三品恵泉(旭川)「長安春望」金文
皆嶋桂香(室蘭)「庭」
望月香雪(登別)「好古」
山下青楓(札幌)「夢」
山道秀華(札幌)「風華」
吉田瑤林(小樽)「山青花欲燃」杜甫
渡辺逸花(石狩)臨書「木簡」
左はらいに特徴がある。
渡辺京子(石狩)「傳」
渡辺煌花(札幌)臨書「白玉井銘」
漢字の美を十全に表現していると思った。
▼かな
楳湲燈春(小樽)「新古今集」夕づく日さすや庵の芝の戸にさびしくあるか…
梶原一翠(札幌)窪田空穂「青丹よしならのみやこのかねの音のすみて鳴…」
塚原純子(札幌)「古今和歌集」待つ人にあらぬものから初雁の今朝鳴く声…
滑志田方〓(札幌)「こころの中」与謝野晶子 夏まつりよき帯むすび舞姫に似しやと思ふ…
〓はくさかんむりに「必」
松本光彗(札幌)窪田空穂「朝もやや一本ゆりにまつはりて露とむすぶを…」
▼近代詩文
足利雅子(滝川) 「智恵子抄」高村光太郎
亀岡芳扇(札幌)窪田空穂「老桜張りて垂れたる低き枝をりおりこぼすその花びらを」
どうして、窪田空穂がこんなに多いんだろう。
岸幸牛(伊達)「夏の思い出」江間章子
有名な歌曲「夏が来れば思い出す遙かな尾瀬遠い空」の全文。カキカキした、細い直線を、淡墨で書き、あちこちににじみが生じている。特徴ある作品。
近藤敏子(札幌)エミリー・ディキンソン 草原をつくるにはクローバーと蜜蜂がいる そして夢もいる もし蜜蜂がいないなら夢だけでもいい
乾いた筆が特徴的。
津山和恵(札幌)「ラベンダーの波」自作 花の海風に揺れてラベンダーの波
▼墨象
阿部洋子(札幌)「恵」
川本和子(小樽)「援」
菊地彰子(札幌)「馬」
熊谷由加里(江別)「柔」
斉藤靖子(旭川)「峯」
林維子(札幌)「閑」
黄色い紙に淡墨で書いている。
横山純江(札幌)「望」
▼前衛
竹下青蘭(札幌)「伸」
会場の掉尾をかざる小品。さらりとした味わい。
07年9月4日(火)-9日(日)10:00-18:00(最終日-17:00)
スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階 地図B)
■第32回(以下いずれも画像なし)
■第29回
■第28回
■第27回
はたと気がついたのだが、道内に女性かな書家があまりいないわけではもちろんなくて、この展覧会に参加してない人がけっこう多いのだ。
出品者はつぎのとおり。「臨書」と記していないものは「創作」。
▼漢字
秋森麗子(札幌) 「回帰」
勢いを殺した、ぼくとつとした味わい。
阿部華雪(岩見沢) 「褒」
簡素な中にも動感があって、佳作だと思う。
雨宮百合子(札幌)「疾風」
荒野紫陽(後志管内倶知安町)「悦」
安藤小芳(札幌)「慈」
淡墨。墨象とも篆書ともとれる、ふしぎな古拙の味わい。筆の渇潤が独特のリズムを生んでいる。
石井眞弓(札幌)「花心」
ゆっくりとした運筆。にじみがおもしろい。
糸藤紅陽(札幌)「宇宙」
糸藤さんはなお闘病中なのだろうか。それを感じさせない、おおらかな筆の運び。
猪俣春柯(室蘭)「稀」
井幡郁子(札幌)臨書「甲骨文」(古文くさぐさ)
岩崎雅祥(滝川)臨書「金文」
右近灯香(札幌)「叢」
内田永子(札幌)「雲龍」
江副圭舟(札幌)「陽明」
ほとんど非文字作品。鷹揚にして、知的に構成されていると思う。
海老沙邦(札幌)臨書「受禅表」
大澤玉翠(苫小牧)「洛陽道」
太田欽舟(札幌)「跳」
大竹秀華(室蘭)「崖」
越智星渚(札幌)臨書「王獻之尺牘」
加藤東虹(北見)「和顔」
金子青峰(小樽)「中国の風土を読む」武田禅次 華北なる風神夜も黄砂吐く
工藤菁穂(札幌)「游神」
久保田彩荷(札幌)「鳥象」甲骨文
小西広恵(小樽)「明珠在掌」
小林耿舟(北広島)「撼」
酒井精舟(札幌)「讖趨」
笹川秀華(十勝管内広尾町)臨書「好太王碑」
椎名恵舟(札幌)「鳳」
白井恵子(小樽)「落花流水」
神内青雪(札幌)「聲」
鈴木北央(旭川)臨書「張黒女墓誌銘」
関桂舟(札幌)臨書「牛〓造像記」
〓は「蹶」のへんが木偏
滝内秋櫻(江別)「森羅萬象」
寺島春代(札幌)「無垢」
長嶋幸子(札幌)「彗」
浪田美芳(札幌)「遊曠林」
西野晴翠(札幌)臨書「西狭頌」
則包雅芳(札幌)「漢詩二首」池草不成夢涼夜… 向晩金牛道寒林…
濱本蘇玄(札幌)「因」
個人的にはいちばん好きだった作品。余白がきれいだし、下へと落ちていく線の動きがユニーク。妙な比喩を使わせてもらえば、アニメで、撃たれたロボットの破片が落下していくような感じなのだ。とても「因」とは読めないけど。
原田静香(札幌)「雪花月」
いちおう漢字に分類するが、トンパ文字。
原田青琴(夕張)臨書 良寛
ひじょうにやわらかい線の運び。そして、ぜんぜん読めない。
三上禮子(千歳)「一塵不染」
今回の展覧会では、めずらしく、パワーいっぱいの作品。
三品恵泉(旭川)「長安春望」金文
皆嶋桂香(室蘭)「庭」
望月香雪(登別)「好古」
山下青楓(札幌)「夢」
山道秀華(札幌)「風華」
吉田瑤林(小樽)「山青花欲燃」杜甫
渡辺逸花(石狩)臨書「木簡」
左はらいに特徴がある。
渡辺京子(石狩)「傳」
渡辺煌花(札幌)臨書「白玉井銘」
漢字の美を十全に表現していると思った。
▼かな
楳湲燈春(小樽)「新古今集」夕づく日さすや庵の芝の戸にさびしくあるか…
梶原一翠(札幌)窪田空穂「青丹よしならのみやこのかねの音のすみて鳴…」
塚原純子(札幌)「古今和歌集」待つ人にあらぬものから初雁の今朝鳴く声…
滑志田方〓(札幌)「こころの中」与謝野晶子 夏まつりよき帯むすび舞姫に似しやと思ふ…
〓はくさかんむりに「必」
松本光彗(札幌)窪田空穂「朝もやや一本ゆりにまつはりて露とむすぶを…」
▼近代詩文
足利雅子(滝川) 「智恵子抄」高村光太郎
亀岡芳扇(札幌)窪田空穂「老桜張りて垂れたる低き枝をりおりこぼすその花びらを」
どうして、窪田空穂がこんなに多いんだろう。
岸幸牛(伊達)「夏の思い出」江間章子
有名な歌曲「夏が来れば思い出す遙かな尾瀬遠い空」の全文。カキカキした、細い直線を、淡墨で書き、あちこちににじみが生じている。特徴ある作品。
近藤敏子(札幌)エミリー・ディキンソン 草原をつくるにはクローバーと蜜蜂がいる そして夢もいる もし蜜蜂がいないなら夢だけでもいい
乾いた筆が特徴的。
津山和恵(札幌)「ラベンダーの波」自作 花の海風に揺れてラベンダーの波
▼墨象
阿部洋子(札幌)「恵」
川本和子(小樽)「援」
菊地彰子(札幌)「馬」
熊谷由加里(江別)「柔」
斉藤靖子(旭川)「峯」
林維子(札幌)「閑」
黄色い紙に淡墨で書いている。
横山純江(札幌)「望」
▼前衛
竹下青蘭(札幌)「伸」
会場の掉尾をかざる小品。さらりとした味わい。
07年9月4日(火)-9日(日)10:00-18:00(最終日-17:00)
スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階 地図B)
■第32回(以下いずれも画像なし)
■第29回
■第28回
■第27回