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■半谷学展 さしがさ花の花さくころ(2020年2月22日~3月29日、網走)

2020年03月27日 12時34分31秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 帯広と群馬を拠点に、活発な創作・発表を続けている半谷学はんがいまなぶさんの、網走市立美術館では2度目となる個展。
 捨てられていた傘の柄を再利用した、という点では、昨年の苫小牧市美術博物館の中庭展示と同様だが、苫小牧が上下に細長い空間を利用していたのに対して、網走市立美術館では、縦長の、奥へと広がっている展示空間が特徴。手前側の傘を、人の腰の高さぐらいにつるし、1列に4~6本ずつ並べて、だんだんと高さを上げていって、いちばん奥側の列は、床から2メートルぐらいにつるされている。

 この「つるされているものが、奥に向かって少しずつ高くなっている」という構成は、昨年東京の森美術館で開かれた塩田千春展とちょっとだけ似ているが、半谷さんの場合は、横一列に並んでいるかさの高さがそろっているし、見た目はまったく異なる。

 傘は計112本。

 柄からぽっと開いているのは、白い花だ。

 形状はさまざま。色は、ところどころ薄い桃色や黄色などがまじっている場合もあるが、おおむね白が基調だ。

 柄は、安いビニール傘の白色だったり、黒や茶色だったりと、色も大きさもランダムに並んでいる。 
 
 会場の両端の壁には、大きな紙が一面に貼ってある。
 会場には説明がなかったけれど、これまでの作品を踏まえると、宮城県気仙沼市で漁業の邪魔者とされてきた海藻で漉いた紙だと思われる。
 目の粗い網のように、向こう側が透けて見える。


 ことばにしてしまうとつまらないけれど、放射能の雨をふせぐ傘に代わって、希望の象徴を咲かせていると、いえるのではないだろうか。

(いや、ほんとに、ことばにすると、だいじなものがこぼれおちてしまうようだなあ…)


 新型コロナウイルス感染防止対策で、全国的に美術館が閉まり、道内でも公立館の大半が臨時休業となる中で、網走市立美術館は全く休まなかった。
 ワークショップなどは中止になったが。
 3月にコロナウイルス関連で全く休まなかった主要美術館は、筆者が知る限りでは、同館と釧路市立美術館だけだ。

 筆者が訪れたときも、他に客はいなかった。
 繰り返しになるけれど、冬期間はもともと来客が非常に少ないのだから、一律に休館しなくても良かったのではないかと、思う。
 おそらく、4月に入れば、各美術館とも再開へ向けた動きが出てくるのではないかと思うが、4月下旬からは大型連休を控えて人の動きが活発になり、力の入った企画展も始まる。
 むしろ、これからが、休館すべきかどうかを、真剣に考える時期なのではないかという気もする。


2020年2月22日(土)~3月29日(日)午前10時~午後4時、月曜・祝日休み
網走市立美術館(網走市南6西1)
https://www.city.abashiri.hokkaido.jp/270kyoiku/040bizyutukan/


http://www.hangais.com/art.htm

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・JR網走駅から約1.2キロ、徒歩16分
・網走バスターミナルから約330メートル、徒歩5分
(札幌・旭川発の特急列車、札幌発の都市間高速バス「ドリーミントオホーツク」、いずれも終点です)

・JR釧網線「桂台駅」から約800メートル、徒歩11分

・網走駅から網走バスに乗り「西2丁目」降車、


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