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■北海道文化奨励賞受賞記念/澁谷俊彦個展「White Collection Black Series」(2017年10月17~29日、札幌) 10月27日(5)

2017年10月28日 12時10分21秒 | 展覧会の紹介-現代美術
Toshihiko Shibuya is an artist lived in Sapporo city,Japan.
His installations have a harmony with nature in northern land of Japan.
He thinks about climate, plants, snow, and water of Hokkaido through his art works that are full of originality.

(承前)

 インチキくさい英語ですみません。
 札幌の現代美術家、澁谷俊彦さんが「ホワイトコレクション」シリーズの個展を開いています。
 まずは、本人のステイトメントを引用します。

「ホワイトコレクション」とは、生命循環を主題とした、環境との媒介となるための一種の標本作品です。今回モチーフはコウゾリナ、チョウノスケソウ、ブタナなどの綿毛、アザミの冠毛、オオハナウドの種子などです。
全ては、早春から晩秋までに、自らの手によって採集されたものです。形状を維持するための加工以外は自然のままの姿を保持させています。今回は、白き形状を象徴的に表出させるためのブラックボックスシリーズです。


 ごらんの通り、このシリーズは、植物の標本に似ています。今回、エゾリスの小さな頭骨をおさめた箱もありますが、計16個の箱が並んでいます。

 植物学の標本と異なるのは、それぞれが何という種であるかが問題なのではなく、美しい形状そのものに着目してほしいという作者の意図が感じられるところです。

 いま「作者」と書きました。
 作者は折を見て、自宅から遠くないところにある藻岩山を散策し、作品の素材となる種子や綿毛を拾い集めています。
 基本的にはそれらの自然物に手を加えてはいませんから、「どこがアートなのか」という疑問を抱く人もいるかもしれません。
 ただし、現代美術が、単なる便器にサインをして提示したところから出発したということを思えば、或る素材を選択し提示するというプロセスは、じゅうぶんアートになっているといえるのではないでしょうか。
 もちろん、たとえばタンポポの綿毛をまるい形のまま集めて保存させるという行為じたい、けっこうな手間とくふうを必要とするものなのですが…。
 澁谷さんの箱は、そういう苦労をみじんも感じさせない、スタイリッシュでスマートな作品に仕上がっていて、そこらへんはいかにもこの作者らしいと思います。


 澁谷さんは1960年生まれ。
 版画から出発し、近年はインスタレーションなどに作品の幅を広げています。代表的シリーズは「Snow Pallet」で、海外のメディアで何度も紹介されています。
 札幌デザイナー学院の校長にこの春就任し、本年度の北海道文化奨励賞を受けるなど、多忙さに拍車がかかっています。


2017年10月17日(火)~29日(日)午前10:30~午後10:00(日曜~午後8:00)、会期中無休
ト・オン・カフェ(札幌市中央区南9西3 マジソンハイツ)


公式サイト
(リンクを張り替えました)


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