(9月13日小樽行きの承前)
行きは、高速バスに乗る。
当初予定していたよりも1時間半遅れである。
札幌・小樽間は、日中は快速列車が多く走っているが、朝の時間帯はほとんどが各駅停車で、所要時間も1時間ほどかかる。バスとほとんど変わらない。しかも、バスは5~10分間隔という頻度なので、便利である。
ESTAの下のバス乗り場から小樽行きに乗ったら、北大経由だった。
小樽駅に着いて、駅前通をまっすぐに海のほうへとくだる。
右手の長崎屋は1970年代から基本的に変わっていないが、左手のホテルは高層のビルに建て替えられた。道路も拡幅された。小樽では、いちばん新しくて、そのせいで小樽らしさのいちばん感じられない道路ではある。
あたりまえだが、歴史的な建造物は全くない。
手宮線は、南小樽駅から北に分かれ、色内を経て手宮に至る結ぶ短い路線である。
筆者がものごころついたときには、すでに旅客営業は行っておらず、貨物専用線だった。
しかし、手宮―札幌間こそ、北海道で最も古く開通した鉄道である(国鉄線として全国で、新橋―品川などに次いで3番目に古い)。
貨物線としても廃止されたのち、
「運河観光などに活用を考えるべきだ」
という声も根強くあったことから、レールははがさないまま残されてきた。小樽市はようやく再整備に踏み切り、それが最近終わったのである。
小樽・鉄路・写真展は、その旧手宮線の跡で毎年9月前半のあたりに開催されてきた。
昨年は、再整備工事のために中止となったが、今年、復活した。
「24時間、屋外」という、写真展としてはユニークなスタイル。
参加者は、雨にぬれないよう、作品をパウチで挟んだり、棚のようなものを持ち込んだりしている。それらの工夫も、回を重ねるごとに、スマートになってきたように見受けられる。
一方で、再整備が終わった旧手宮線の会場は、どこかよそよそしい雰囲気が漂う。周りにあった古い家などもだんだん減って、ノスタルジックな小樽のたたずまいは姿を消しつつある。
住んでいるわけでもない人間が、横からあれこれ口を挟む筋合いのものではないことは承知しているのだが、それでも、残念だ。
作品では、「坂本」さんとおっしゃる方のものが目を引いた。
小川に沿った木造校舎、ひとけのないプラットフォームでスーツケースの上にもたれかかる女性、雨にぬれた夜の町と舗道(留萌管内羽幌町?)、小鳥、夕闇の迫る駅…。個々の写真もさることながら、組み合わせ方がうまいのだ。
N Shirahama さん。
筆者は猫写真にあまり興味はないのだが、このそば屋「藪半」をバックにした1枚は、いいなあと思う。
M.Iwanami さんは、一貫して、道内の海岸などに残るトーチカを被写体にしている(N Shirahama さんの背後に設置してあるのも彼女の作品)。
今回はカラー8点と例年より多く、雪の中のタンクなどの写真もある。いずれも、アンダー気味なのが心象風景のようである。横長の大作は、落石の旧通信所に見えるのだが…。
藤川弘毅さんは、先日のチャオでの3人展と同じときに撮ったもののようで、今回は羽のようなものが女性の背後にないショット。
物置の壁を利用したテーマ展。ことしのテーマは「小樽」。
行きは、高速バスに乗る。
当初予定していたよりも1時間半遅れである。
札幌・小樽間は、日中は快速列車が多く走っているが、朝の時間帯はほとんどが各駅停車で、所要時間も1時間ほどかかる。バスとほとんど変わらない。しかも、バスは5~10分間隔という頻度なので、便利である。
ESTAの下のバス乗り場から小樽行きに乗ったら、北大経由だった。
小樽駅に着いて、駅前通をまっすぐに海のほうへとくだる。
右手の長崎屋は1970年代から基本的に変わっていないが、左手のホテルは高層のビルに建て替えられた。道路も拡幅された。小樽では、いちばん新しくて、そのせいで小樽らしさのいちばん感じられない道路ではある。
あたりまえだが、歴史的な建造物は全くない。
手宮線は、南小樽駅から北に分かれ、色内を経て手宮に至る結ぶ短い路線である。
筆者がものごころついたときには、すでに旅客営業は行っておらず、貨物専用線だった。
しかし、手宮―札幌間こそ、北海道で最も古く開通した鉄道である(国鉄線として全国で、新橋―品川などに次いで3番目に古い)。
貨物線としても廃止されたのち、
「運河観光などに活用を考えるべきだ」
という声も根強くあったことから、レールははがさないまま残されてきた。小樽市はようやく再整備に踏み切り、それが最近終わったのである。
小樽・鉄路・写真展は、その旧手宮線の跡で毎年9月前半のあたりに開催されてきた。
昨年は、再整備工事のために中止となったが、今年、復活した。
参加者は、雨にぬれないよう、作品をパウチで挟んだり、棚のようなものを持ち込んだりしている。それらの工夫も、回を重ねるごとに、スマートになってきたように見受けられる。
一方で、再整備が終わった旧手宮線の会場は、どこかよそよそしい雰囲気が漂う。周りにあった古い家などもだんだん減って、ノスタルジックな小樽のたたずまいは姿を消しつつある。
住んでいるわけでもない人間が、横からあれこれ口を挟む筋合いのものではないことは承知しているのだが、それでも、残念だ。
作品では、「坂本」さんとおっしゃる方のものが目を引いた。
小川に沿った木造校舎、ひとけのないプラットフォームでスーツケースの上にもたれかかる女性、雨にぬれた夜の町と舗道(留萌管内羽幌町?)、小鳥、夕闇の迫る駅…。個々の写真もさることながら、組み合わせ方がうまいのだ。
N Shirahama さん。
筆者は猫写真にあまり興味はないのだが、このそば屋「藪半」をバックにした1枚は、いいなあと思う。
M.Iwanami さんは、一貫して、道内の海岸などに残るトーチカを被写体にしている(N Shirahama さんの背後に設置してあるのも彼女の作品)。
今回はカラー8点と例年より多く、雪の中のタンクなどの写真もある。いずれも、アンダー気味なのが心象風景のようである。横長の大作は、落石の旧通信所に見えるのだが…。
藤川弘毅さんは、先日のチャオでの3人展と同じときに撮ったもののようで、今回は羽のようなものが女性の背後にないショット。
物置の壁を利用したテーマ展。ことしのテーマは「小樽」。
(この項続く)