(長文です)
G.A.A.Lは
GEOMETRIC ABSTRACT ART LABORATORY
の略称。札幌の美術家、伊賀信さんによるユニットです。
今回、展覧会名からも伊賀さんの名前が消えてしまいましたが
「ぼくの名前よりもG.A.A.Lで有名になってくれた方がいい」
と伊賀さんは話しています。
ロシア構成主義やミニマルアートに通じる構成的、幾何学的な美をめざしているように、筆者には見受けられます。
会場を斜めに貫くのは全長8.4メートルという大作「To tomorrow」。
5本の白い柱の上を、赤いレールのように規則的に加工がほどこされた板がわたされています。
「この会場に負けないようにっていうのと、いつか橋をつくりたかったんです」
と伊賀さん。
おなじパターンの連続に感動を覚えるという、伊賀さんらしい大作です。
会場の右側の壁には、72×105センチの壁掛け型作品がならんでいます。いずれも、マッチ棒よりも細い木片をはり付けたり植え付けたもので、その精緻さにはおどろかされます。
「Galaxy3」は、格子状の上に、ランダムに細い木の棒を植え込むように配置しています。
星雲の画像などを参考にしたわけではないとのこと。
「無題 2008 W/B」は、白い地に1センチ間隔で、細い木の棒を埋め込んだというか、はりつけたもの。棒の高さはランダムになっています。
「Jさん、こんにちは」は、厚さ1ミリという薄い木片をはり付けています。
この図柄からわかるように、ミニマルアートの巨匠ドナルド・ジャッドへのオマージュ的作品です。
もちろん、ジャッドの本物とはちがい、角度を変えて見ても作品の四角形の角度は変わりません(あたりまえか)。
筆者は、ジャッドというと、1999年に埼玉県立近代美術館でひらかれた回顧展を見て「とりつく島のない人だなー」という印象が強いので、いくら精密といってもやはりわずかな間隔のズレなどがあるG.A.A.Lの作品のほうが親しみやすいのですが、伊賀さんは「職人に発注するのも有りだと思います」と話して、工業製品的な作品への志向を隠しません。
なるほどなー。徹底してるんですね。
「ジャッドみたいに、大地に強く置かれている作品にあこがれます」
伊賀さんは、米国(おそらくチナティ財団)に収蔵されている立体作品のことを話しておられました。
「無題」。
ふだんは、店舗設計で名高い「アトリエテンマ」にあります。
きちっと消失点を計算した、厳密な透視図法で描かれて(=小さな木の棒を配置して)います。
地平線に近い方の棒は低く、手前の棒は高くしてあります。ミリ単位の細かな作業ぶりには脱帽です。
さらに、棒の側面にも、色が塗られています。
背景の緑も、丁寧に着彩が施され、作品に深みを与えています。
会場の左側の壁には、伊賀さんの作品を素材にして制作されたポスターが並んでいます。
これらは、G.A.A.LのメンバーであるデザイナーのAさんが撮影し、デザインしたもので、基本的に伊賀さんは口出ししていないそうです。
「g.a.a.l 010」と題されたポスターは、「galaxy 3」の拡大写真の上に「Interstellar Overdrive」という文字があしらわれています。
これは、英国の大物ロックバンド、ピンク・フロイドの初期の名曲「星空のドライブ」の原題です。
ま、もとの作品がピンクなので、こういう聯想になったのか、と(笑)。
というわけで、ジャッド、ピンク・フロイド、さらにロトチェンコなどにも思いは飛ぶ、ユニークな展覧会でした!
08年7月16日(水)-24日(木)10:00-18:00(最終日-17:00)
茶廊法邑ギャラリー(東区本町1の1)
□G.A.A.L http://www.ragpath.com/G.A.A.L/G.A.A.L_WEB_SITE.html
■伊賀信個展(07年7月)
■05年の個展
■03年の個展(画像なし)
■02年の個展(画像なし)
G.A.A.Lは
GEOMETRIC ABSTRACT ART LABORATORY
の略称。札幌の美術家、伊賀信さんによるユニットです。
今回、展覧会名からも伊賀さんの名前が消えてしまいましたが
「ぼくの名前よりもG.A.A.Lで有名になってくれた方がいい」
と伊賀さんは話しています。
ロシア構成主義やミニマルアートに通じる構成的、幾何学的な美をめざしているように、筆者には見受けられます。
会場を斜めに貫くのは全長8.4メートルという大作「To tomorrow」。
5本の白い柱の上を、赤いレールのように規則的に加工がほどこされた板がわたされています。
「この会場に負けないようにっていうのと、いつか橋をつくりたかったんです」
と伊賀さん。
おなじパターンの連続に感動を覚えるという、伊賀さんらしい大作です。
会場の右側の壁には、72×105センチの壁掛け型作品がならんでいます。いずれも、マッチ棒よりも細い木片をはり付けたり植え付けたもので、その精緻さにはおどろかされます。
「Galaxy3」は、格子状の上に、ランダムに細い木の棒を植え込むように配置しています。
星雲の画像などを参考にしたわけではないとのこと。
「無題 2008 W/B」は、白い地に1センチ間隔で、細い木の棒を埋め込んだというか、はりつけたもの。棒の高さはランダムになっています。
「Jさん、こんにちは」は、厚さ1ミリという薄い木片をはり付けています。
この図柄からわかるように、ミニマルアートの巨匠ドナルド・ジャッドへのオマージュ的作品です。
もちろん、ジャッドの本物とはちがい、角度を変えて見ても作品の四角形の角度は変わりません(あたりまえか)。
筆者は、ジャッドというと、1999年に埼玉県立近代美術館でひらかれた回顧展を見て「とりつく島のない人だなー」という印象が強いので、いくら精密といってもやはりわずかな間隔のズレなどがあるG.A.A.Lの作品のほうが親しみやすいのですが、伊賀さんは「職人に発注するのも有りだと思います」と話して、工業製品的な作品への志向を隠しません。
なるほどなー。徹底してるんですね。
「ジャッドみたいに、大地に強く置かれている作品にあこがれます」
伊賀さんは、米国(おそらくチナティ財団)に収蔵されている立体作品のことを話しておられました。
「無題」。
ふだんは、店舗設計で名高い「アトリエテンマ」にあります。
きちっと消失点を計算した、厳密な透視図法で描かれて(=小さな木の棒を配置して)います。
地平線に近い方の棒は低く、手前の棒は高くしてあります。ミリ単位の細かな作業ぶりには脱帽です。
さらに、棒の側面にも、色が塗られています。
背景の緑も、丁寧に着彩が施され、作品に深みを与えています。
会場の左側の壁には、伊賀さんの作品を素材にして制作されたポスターが並んでいます。
これらは、G.A.A.LのメンバーであるデザイナーのAさんが撮影し、デザインしたもので、基本的に伊賀さんは口出ししていないそうです。
「g.a.a.l 010」と題されたポスターは、「galaxy 3」の拡大写真の上に「Interstellar Overdrive」という文字があしらわれています。
これは、英国の大物ロックバンド、ピンク・フロイドの初期の名曲「星空のドライブ」の原題です。
ま、もとの作品がピンクなので、こういう聯想になったのか、と(笑)。
というわけで、ジャッド、ピンク・フロイド、さらにロトチェンコなどにも思いは飛ぶ、ユニークな展覧会でした!
08年7月16日(水)-24日(木)10:00-18:00(最終日-17:00)
茶廊法邑ギャラリー(東区本町1の1)
□G.A.A.L http://www.ragpath.com/G.A.A.L/G.A.A.L_WEB_SITE.html
■伊賀信個展(07年7月)
■05年の個展
■03年の個展(画像なし)
■02年の個展(画像なし)
いがしんさん(まことさんですけど勝手にこう呼んでます・・)の個展、見せてくださってありがとうございます。ご案内頂いていたのですが、この期間は道外に居るので、梁井様、たくさん写真撮って掲載してくださらないかなーーーと密かに期待しておりました。
案内状の赤い作品は、この橋なのですね?壁に展示されていると思っていましたので、意外でした。
伊賀さんの個展、というか、G.A.A.Lの展覧会は、なかなかほかではみられない幾何学的な美を展開していて、興味深いものでした。
赤の作品は、橋です。会場の中央を斜めにつらぬいていました。
juniさんはもしかしてWさんですか?どうも、ごぶさたしております。今回はこんな感じです。
今後もよろしくお願いいたします。
少なくても道内にはこういうアプローチをしてる人はいないと思うので興味深いです。
また、よろしくおねがいします!