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■ヴェネツィアガラスの生き物展(2023年6月13日~8月28日、小樽)2023年7月16日(5)

2023年07月20日 11時17分45秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
(承前)

 堺町通と運河沿いの道路に挟まれた「北一ヴェネツィア美術館」は、小樽を代表する観光スポットのひとつです。
 設立された1988年は、小樽運河戦争の記憶が生々しい時代だったと思います。今でこそすっかり観光都市になっている小樽ですが、当時はまだ観光地としては「かけだし」だったのではないでしょうか。小樽がさびれた商都から脱皮して多くの旅行客を集めるようになるにあたって、北一硝子の果たした役割は大きなものがあったと思います。

 とはいえ、あまりに観光スポットの色濃いところに、地元民が足を向けないという傾向は確かにあるのではないでしょうか。
 筆者も、北一ヴェネツィア美術館に入るのはこれが初めて。
 「なんで小樽でベネチアなんだよ」
という人もいるかもしれませんが、それはもちろん、ガラスがつないだ縁なのです。

 ただ、同美術館は、1階のおみやげコーナーこそガラス製品がいっぱいですが、2、3階はかならずしもガラスで埋まっているわけではありません。
 全体から受ける印象としては、かつてのベネチア貴族の邸宅を再現した部屋が多いです。居間、書斎、食堂、寝室などがあります。
 ベネチアって、共和国なのに、貴族はずいぶん派手な暮らしをしていたんだなあと思います。
 フランスの「ロココ」そっくりです。
 なので、これはちょっと斜めな見方かもしれませんが、「シークレット歌劇團 0931」が好きな人はめっちゃ楽しめるような気がします。仮装カーニバルをイメージした衣装を着て記念撮影ができるコーナーもあるし。

 家具は古く貴重なものが置かれていましたが、絵画はすべて、16~18世紀のものを20世紀になって複製したものでした。まあ、これは仕方ないか。

 3階奥がその都度内容が変わるコーナーになっていて、ルチオ・ブバッコやバルビーニといった、名前は聞いたことがある作家たちによる、虫や魚介類の置物がたくさん並んでいました。
 ガラス製とは思えないほどリアルで、実物大のテントウムシなど、どこかに飛んでいきそうです。
 1階のショップに行くと、類似の品が販売されており、展示物が総額いくらになるかを考えてもアタマがクラクラしてきます。

 4階は開かずの間で、エレベーターで5階に行きます。
 現在は、ゴッホの代表作をガラスのモザイクで再現した12点が展示されています。
 色彩の鮮烈なゴッホの絵はガラスによく似合います。これが水墨画だったら、あまり意味はないでしょうね。


2023年 6月13日(火)~8月28日(月)午前9時~午後5時半(最終入場~5時、最終日~午後4時)
北一ヴェネツィア美術館(小樽市堺町)



・JR南小樽駅から約790メートル、徒歩10分
・都市間高速バスなど「住吉神社前」から約1.25キロ、徒歩16分




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