道教育大の大学院に在学中の若手、吉成翔子さんの初個展。
個展は初めてでも、これまでグループ展や道展で印象に残る作品を発表してきました。
グループ展では、矩形や階段を組み合わせたような、複雑な構造の大作が筆者の記憶に強く残っているのだけど、今回は、曲線が主体です。
さすが、すべて新作とあって、この広い法邑の空間を、統一感を持たせるにはいいか考えた結果なんでしょう。
今回の大きな特徴は、題の表示がないこと。
ご本人によれば、キャプションは用意してきたそうなのですが、つけるのがいいのかどうか迷っているうちに、数日が過ぎてしまったそうです。
筆者としては、題がないのもいいと思います。
手前の作品群は、これまでの吉成さんと異なり、複数の独立した部品からなるけれど、題がないので、これらでまとめて1点なのか、あるいは、ひとつひとつが作品なのかわからない。
それがかえって、おもしろく感じられます。
右の壁には、牛の顔のかたちをした壁掛け作品が5点ならんでいます。
さすが、幌加内町の牧場で育っただけある。みんなおなじ顔に見える牛も、親しくしてきた人から見れば、1頭1頭個性があるように感じられるのでしょうね。
同様の作品は昨年の3人展にもあったが、これは新作の由。
「ことしの夏は暑くて、溶接とか大変でした」
と笑う吉成さん。
力仕事にもめげず、がんばっています。
曲線の多い立体作品はとくに、見ていると心がほこほこしてきます。
鑑賞者の気持ちをほっとなごませる作品だと思います。
デッサンしているうちに生まれる、ほわほわとしたかたちは、大自然の中で育った吉成さんから、湧き出てくるものなんでしょうね。
年末、北広島で毎年松原茂樹さんの企画でひらいているグループ展にも出品する予定とのこと。
2010年9月15日(水)~23日(木)10:00am~6:00pm(最終日~5:00pm)、火曜休み
茶廊法邑ギャラリー(札幌市東区本町1の1)
関聨ファイル
■遠くを聴く この言葉で繋がる7人の世界 (2009年11月)
■金工時間 金属造形作家3人による展覧会 松田郁美・町嶋真寿・吉成翔子(2009年9-10月)
■金工展(2008年)=画像なし
・地下鉄東豊線「環状通東駅」から750メートル、徒歩9分
・中央バス「本町2条1丁目」から350メートル、徒歩5分
再度、ゆっくり観に行きます。
若い作家さんに、活躍して欲しいですね。