示現会は、戦争直後に発足した日展系の団体公募展で、部門は洋画だけです。
創立時の会員には楢原健三や奈良岡正夫、鶴田吾郎らがいます。
日展系ということもあって、穏便な具象絵画が中心のようです。
北海道支部展は、近年は毎年、北海道新聞社の1階にある道新ぎゃらりーでひらかれています。
本展入選者でもこちらには出品していない人がいる一方で、すでに中央の会員を退いた米澤榮吉さんが出品しているなど、かならずしも本展出品者に限定しない、ゆるやかな集まりとなっています。
先ごろ、札幌で「最後の個展」と称した個展をひらいた草刈喜一郎さんの「斜陽」です。元炭鉱マンらしく、炭鉱施設が題材です。
毎度書いていますが、小品も含め草刈さんの作品は、光や影に対する感受性の鋭さが感じられます。写真のように明暗を強調するのではなく、といって固有色を漫然と塗り分けるのでもなく、ほんとうに太陽光線がさし込んでいる感じが出ていると思います。
石川孝司さんはオホーツク地方の冬景色をテーマにしており、昨年に続いて網走市内の藻琴駅を描いています。
この駅は、オホーツク海のそばにあり、ごらんのように木造の渋い駅舎です。
流氷の来る海の、冬の厳しさが丹念に描かれています。
網走市内の釧網線は、味のある駅舎がいくつかあります。
先日、札幌のNHKギャラリーで、英国で最も美しい村々といわれるコッツウォルズ地方を描いた水彩作品の個展をひらいたばかりの下田敏泰さんの作品。
下田さんは、看板も信号もないこの地方の田園風景に魅せられて、英国を再訪。レンタカーのハンドルを握ってスケッチに取り組んできました。
今回は油彩です。題名は、コッツウォルズの意味が「羊小屋のある丘」というに由来します。この絵には登場していませんが、一帯では羊がたくさん飼われているそうです。
横長のおだやかな風景からは、下田さんがこの地方に寄せる思いが伝わってくるようです。
右端は、ことし90歳をむかえる米澤榮吉さんの「薔薇」です。
健筆をふるっておられることに安心しました。
出品作は次の通り。すべて油彩です。
石川孝司 駅(F80)
岩佐邦夫 定山渓豊平峡の秋(F80) モデルに向って(F30) 夕映えの江別王子(F10)
河越幸子 壺と赤いサリーの女(F80) 春近し(F8) 人形(F10)
菊池孝子 小春日(F80)
草刈喜一郎 斜陽(P100) 倉庫(F8) 古い農家(P6) 白い家(F4)
下田敏泰 早春の漁川(F100) 羊ケ丘(コッツウォルズ)(変形20)
多田美智子 浜小屋(F80)
中村昭夫 たそがれのプラハ(F80) サンポール遠望(F8) 石廊崎海岸(F10) 豊平公園の菖蒲(F15)
藤田敏次 積丹の海(F80) 晩秋の大地(P10) 山麓秋日(P10)
米澤榮吉 ライラック(F3) 薔薇(F6) 冬の樹林(F2)
2009年10月1日(木)-6日(火)午前10:00-午後7:00(最終日-午後5:00)
道新ぎゃらりー(中央区北1西3 北海道新聞本社・道新プラザ内 地図A)
□示現会 http://shigenkai.jp/
■第9回(2008年、画像なし)
■第8回
■2006年(画像なし)
■2003年(画像なし)
■2002年の小品展(12月20日の項、画像なし)
■2001年(画像なし)
■草刈喜一郎 最後の個展(2009年8月)