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■佐藤仁敬展 (2022年4月25日~5月29日、札幌)

2022年05月29日 08時42分16秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 ほぼ月替わりで行われている「北海道の画家を応援するプロジェクト」。
 今回の佐藤仁敬さんは札幌の画家で、独立展や全道展でも活躍しています。昨春に札幌・北都館で個展を、秋に深川のアートホール東洲館で2人展を開いているので、さすがに今回は旧作を交えたインターバル的な展示ではないかと、なんとなく予想していました。
 甘かった。
 11点すべてが新作のようです。
 このうちパステル画が5点、油彩は6点。
 9点が「portrait」、2点が「渇」と題されています。

 画像中央は「渇」です。
 赤味を帯びた人物像の部分という点は、最近2度の展示の延長線上にあるといえますが、複数の人物が入り組んでいた要素がだいぶすっきりとしています。
 すっきりと言いましたが、仔細に観察すると、常識的な人体のつくりではないし、複数のパーツがふしぎな配置のされかたをしているのですが、それが目障りには感じられることはあまりありません。構図がまとまってきている―としか言いようがありません。
 また、方法論的に洗練されてきた要素として、普通の厚さの塗りで描かれた人物像の部分部分に、フォービズム的に絵の具をそのまま画布に盛り上げたようなところがあって、鮮烈な対比をなしていることが挙げられます。これは、画家が「これは単なるリアリズムではない」とばかりにメタ的な絵画を制作しているともいえるでしょうし、情熱をやみくもにではなく、あるかたちを持たせてほとばしらせているということも可能かもしれません。

 いずれにしても、新型コロナウイルスの感染防止で、3密回避がいわれたり、リモート授業やテレワークが行われたりといった世の中になって久しいわけですが、そんななかで人と人のつながりとは何かということを、原理的・絵画的に考究している作品群だという筆者の見立て・位置づけには変わりありません。
 もっと早くに見に行って、皆さんに紹介すべきでした。予測の甘さを反省しています。


2022年4月25日(月)~5月29日(日)午前10時~午後7時(最終日~4時)
ニューオータニイン札幌地下(札幌市中央区北2西1)

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