君島信博さんは岩見沢で盆栽をつくって、ときどきギャラリーで発表している。
貸しギャラリーで発表されるものがすべてアートとは限らないのだが、君島さんの盆栽は、まぎれもないアートに見える。
とはいえ、別に、むりやりアートの枠に収めようとしなくても、盆栽として眺めてもじゅうぶん美しい。
アートか、そうでないかなんて、どうでもいい問題なのかもしれない。
ただ、趣味で盆栽を育てている人と異なるのは、「見せ方」にかなり意を用いている点だ。
ギャラリー門馬アネックスという会場が、多くの発表者に「見せ方」を考えさせるハコであるということはまちがいないけど。
今回、君島さんは、赤く塗った木のわくを角材で自作し、会場内に配した。それぞれの高さは1.9メートル。くぐろうと思えば、可能な大きさだ。
自然の木々の中へとつながっていく通路のような会場の構造に触発されたのだろう。
赤い色については「稲荷神社を意識しました」と君島さん。
ネムノキやゴヨウマツ、ギンズといった植物が、小さな小さな器の中で生きている。
植物の持っている生命のエネルギーが、ぐっと集約されたかたちで、存在している。
昔から日本人がいつくしんできた盆栽という「わざ」を、現代的に、スタイリッシュなかたちで見せる君島さんの展覧会は、へたな絵画や現代美術よりも、よっぽどおもしろいと思うヤナイなのであった。
2010年9月12日(日)~20日(月)10:00am~6:00pm(最終日~5:00pm)
GALLERY 門馬 ANNEX(札幌市中央区旭ケ丘2)
□「草つ月」http://kusatuduki.main.jp
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