さて、地下鉄東西線大通駅とバスセンター前駅間のコンコースでは「500m美術館大賞展」のほか、「冬のセンバツ」〜美術学生展〜も開かれている。
500m美術館のサイトに、展覧会の狙いが次のように書かれていた。
趣旨はすごく良いと思う。
むかし(1998年と2003年)、札幌で「腕に覚えあり」という若手アーティストのプレゼンテーション大会?があった。2003年には谷口顕一郎さんが講評する側で、山本雄基さんがプレゼンする側だったから、すごい時代の流れを感じるけど。
「冬のセンバツ」はこれまで、葛西由香さんの「きのこたけのこ戦争」(ほんとの題は「明治物語」)などが注目されてきた。
※訂正。葛西さんの「明治物語」が500m美術館に展示されたのは、冬のセンバツではなく、「500m美術館vol.19 いつかきたみち、こどもみち」でした。葛西さん、すみません。
今後、この「冬のセンバツ」が新たな「腕に覚えあり」として、あるいは、「北の五美大展」として定着し
「札幌にもアートを学ぶ若手がこんなにいるんだ」
と広く伝わる場になればうれしい。
さて、冒頭と2枚目の画像は、最優秀賞に輝いた津田光太郎さん(北海道教育大学岩見沢校)「輝かしき帰還と、日々」。
めくるめく想像力と、要素をぎっしりと詰め込んだ画面で注目されている津田さんが、これほどの大作を出したのであれば、最優秀賞をかっさらうのは当然で、いっしょに出品した他の学生には、気の毒としか言いようがない。
この絵も、人々が行き交う夜の都市が舞台という点で、従来の津田さんの世界をさらに広げている。
以下、作品タイトルなど、後ほど追加します。すみません。
遊佐あさひさん(札幌大谷大学)
「25年遅れてきた西山美なコ」といった趣で、ことしの大谷の卒展でもひそかに注目していた。
アニメ的な絵に生まれたときからどっぷり浸ってきた世代にとっては、いわば必然的に生まれる画風と言ってさしつかえあるまい。
個人的には、卒展の作品のほうが、毒のようなものが感じられて好きだった。
蓑島 福子さん(札幌市立大学)「”木は二度生きる” を繰り返す」。
学校の研究室で出た端材や不用な木材を並べたインスタレーション。
「これ、ほんとは捨てちゃうものだったのか!」
と驚いてしまうほど、それぞれの部材が美しい。
5枚目は塩島瑶子さん(CAIアートスクール)「House is a Monument」
6枚目は山崎愛彦さん(Think School)の絵画。
山崎さんは、先日SCARTSで開かれた「nameless landscape」展にも参加していた。
画面の一部をあえて空白にしたままにする画風。
7枚目は橘 雅也さん(北海道教育大学岩見沢校)「死因調査票」。
落下させるなどして壊してしまったスマートフォンを並べて、人間の過労死と関連づけた作品。
スマホ依存症気味なわれわれが、スマホを過労の状態に追いやっているのかもしれないという問題意識があるようだ。
橘さんは、昨年の「七月展」の映像作品が印象に残ってるんだよなあ。
最後は山田大揮さん(北海道教育大学岩見沢校)のインスタレーション。
大学院の空間造形研究室をこの春修了した山田さんは、たぶん道内でただ一人、「インタラクティブアート」について真剣に取り組んでいる人だと思うけど、今回は、インタラクティブというよりは、電球がもつ時間についての考察といった趣。
明滅する明かりを見ていると、宮沢賢治「春と修羅」の有名な序を思い出す。
全体的な感想を書くと、よく勉強してコンセプトをしっかりたてている学生と、これまでの美術の流れについてあまり知ることもないまま何となく制作している学生の差がかなりあるように思えた。
公式サイトによれば、出品者名は次の通り。
デザイン系の専門学校(札幌デザイナー学院、北海道芸術デザイン専門学校)や道教大札幌校からの出品がない。そういえば、道都大の学生もいないのは妙だな。
2019年1月26日(土)~3月27日(水)午前7:30~午後10:00
札幌大通地下ギャラリー500m美術館
500m美術館のサイトに、展覧会の狙いが次のように書かれていた。
6期500メーターズは考えました。札幌の街で芸術を学ぶ学生たちの新しい発表の場をつくることはできないだろうかと。札幌から新たな才能を発掘・発信していく場として500m美術館を機能させたい…これまでにない作品を生み出すのはもちろんのこと、他校の学生との出会いによる刺激を受けたり、講評会という形で作品を伝える経験を積んだりしてほしい。そして、通行する人々にとっては、この展覧会が新しい世代の思いがけない感性に触れる貴重な機会となることを望んでやみません。
趣旨はすごく良いと思う。
むかし(1998年と2003年)、札幌で「腕に覚えあり」という若手アーティストのプレゼンテーション大会?があった。2003年には谷口顕一郎さんが講評する側で、山本雄基さんがプレゼンする側だったから、すごい時代の流れを感じるけど。
※訂正。葛西さんの「明治物語」が500m美術館に展示されたのは、冬のセンバツではなく、「500m美術館vol.19 いつかきたみち、こどもみち」でした。葛西さん、すみません。
今後、この「冬のセンバツ」が新たな「腕に覚えあり」として、あるいは、「北の五美大展」として定着し
「札幌にもアートを学ぶ若手がこんなにいるんだ」
と広く伝わる場になればうれしい。
さて、冒頭と2枚目の画像は、最優秀賞に輝いた津田光太郎さん(北海道教育大学岩見沢校)「輝かしき帰還と、日々」。
めくるめく想像力と、要素をぎっしりと詰め込んだ画面で注目されている津田さんが、これほどの大作を出したのであれば、最優秀賞をかっさらうのは当然で、いっしょに出品した他の学生には、気の毒としか言いようがない。
この絵も、人々が行き交う夜の都市が舞台という点で、従来の津田さんの世界をさらに広げている。
以下、作品タイトルなど、後ほど追加します。すみません。
遊佐あさひさん(札幌大谷大学)
「25年遅れてきた西山美なコ」といった趣で、ことしの大谷の卒展でもひそかに注目していた。
アニメ的な絵に生まれたときからどっぷり浸ってきた世代にとっては、いわば必然的に生まれる画風と言ってさしつかえあるまい。
個人的には、卒展の作品のほうが、毒のようなものが感じられて好きだった。
蓑島 福子さん(札幌市立大学)「”木は二度生きる” を繰り返す」。
学校の研究室で出た端材や不用な木材を並べたインスタレーション。
「これ、ほんとは捨てちゃうものだったのか!」
と驚いてしまうほど、それぞれの部材が美しい。
5枚目は塩島瑶子さん(CAIアートスクール)「House is a Monument」
6枚目は山崎愛彦さん(Think School)の絵画。
山崎さんは、先日SCARTSで開かれた「nameless landscape」展にも参加していた。
画面の一部をあえて空白にしたままにする画風。
7枚目は橘 雅也さん(北海道教育大学岩見沢校)「死因調査票」。
落下させるなどして壊してしまったスマートフォンを並べて、人間の過労死と関連づけた作品。
スマホ依存症気味なわれわれが、スマホを過労の状態に追いやっているのかもしれないという問題意識があるようだ。
橘さんは、昨年の「七月展」の映像作品が印象に残ってるんだよなあ。
最後は山田大揮さん(北海道教育大学岩見沢校)のインスタレーション。
大学院の空間造形研究室をこの春修了した山田さんは、たぶん道内でただ一人、「インタラクティブアート」について真剣に取り組んでいる人だと思うけど、今回は、インタラクティブというよりは、電球がもつ時間についての考察といった趣。
明滅する明かりを見ていると、宮沢賢治「春と修羅」の有名な序を思い出す。
わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
全体的な感想を書くと、よく勉強してコンセプトをしっかりたてている学生と、これまでの美術の流れについてあまり知ることもないまま何となく制作している学生の差がかなりあるように思えた。
公式サイトによれば、出品者名は次の通り。
ART LABO(東海大学)/ 小神野綾香(札幌美術学園)/ 後藤瑞貴(札幌大谷大学)/ 塩島瑶子(CAI アートスクール)/橘 雅也(北海道教育大学岩見沢校)/ 津田光太郎(北海道教育大学岩見沢校)/ 中山智絵(北翔大学)/ 成田陽香・濱本遥奈(札幌市立大学)/ 藤田冴子(札幌大谷大学)/ 蓑島福子(札幌市立大学)/ 山﨑愛彦(Think School)/山田大揮(北海道教育大学岩見沢校)/ 山田モモ(北海道教育大学岩見沢校)/ 遊佐あさひ(札幌大谷大学)
デザイン系の専門学校(札幌デザイナー学院、北海道芸術デザイン専門学校)や道教大札幌校からの出品がない。そういえば、道都大の学生もいないのは妙だな。
2019年1月26日(土)~3月27日(水)午前7:30~午後10:00
札幌大通地下ギャラリー500m美術館