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■日本のグラス・アート (3月25日まで)

2007年04月12日 22時22分22秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 道立近代美術館が開館(1977年)以来の収集のテーマとしているガラス美術。そのうち、日本のガラスの流れに焦点を当てた展覧会だ。

 全体を
1.江戸-大正期のガラス
2.岩田藤七
3.各務鑛三(かがみこうぞう)
4.岩田久利
5.デザイナーたちの活躍
6.藤田喬平
7.多様な展開
の7つのセクションに分けている。

 冒頭の画像は、「江戸-大正期のガラス」の一角(作品の著作権は失効)。

 展示されている岩田藤七のいちばん古い作品が1935年であるから、わが国のガラスアートの歴史はたいへん新しいものであることがわかる。

 個人的な好みでいえば、「5.デザイナーたちの活躍」の、竹内伝治「コンポジション #83」がシャープな造形で目を引いた。
 また、藤田喬平の「飾筥(かざりばこ)」シリーズの6点にはため息が漏れた。これぞ日本の美、琳派の美である。華麗だが、落ち着きもある。これを見ることはなんという目の歓びだろう、と思った。
 おなじ作者の「海と太陽」は、一転してダイナミック。舟や波を思わせる造形は、アルチュール・ランボオの詩を連想させた。

 「7.多様な展開」では、おもに2003年に同館でひらかれた意欲的な特別展「遠慮のないガラス 今日の日本から」に登場した作家がめだつ。
 三宅道子、伊藤孚、瀧川嘉子、高橋禎彦、塩谷直美、イワタルリ、米原眞司、松島巖、西悦子、池本一三、家住利男、扇田克也。
 このうち米原さんは唯一の道内作家(江別)。
 真紅がまばゆい球体の作品だ。

 道財政は厳しいものがあるが、日本のガラスの最前線を追っていくためには、継続的な調査と作品購入を途中でうちきるわけにはいかない。
 ガラスはことし開館30年をむかえる道立近代美術館の宝といえると思う。
 この宝を無にしないための配慮をのぞみたいと思う。
 

2月6日(火)-3月25日(日)
道立近代美術館(中央区北1西17 地図D


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
議会の正念場 (川上@個展deスカイ)
2007-04-13 02:03:37
芸術をどのように発展させてゆくか。今の所蔵品の価値をどう評価してゆくか。
こういう分野こそが北海道の活力のひとつであるものと思います。
今期の道議会議員の皆様の真価はこういう分野にも試されています。
行政が企画したものを鵜呑みにするのではなく、自らの考えを一人ひとりの議員がきちんと表明すべきです。
これまでは、芸術分野への行政のお粗末さ無責任さが私には大いに気になります。
いや、怒って居るというのが正直なところです。
組織決定である公務員も個人責任を持てと言いたい。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2007-04-14 07:33:36
川上さん、レス遅れて申し訳ありません。

芸術振興はもちろん結構なことなのですが、政治に、あまり中味に関心を持たれても…という気がしないでもありません。

もちろん「予算の、削りやすいところから削る」として、芸術分野の足を引っ張るのは、論外ですが。
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