回顧と展望

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ドイツ教育相の辞任

2013年02月10日 14時43分27秒 | 日記

Annette Schavan ドイツ教育相が、彼女の1980年の博士論文に盗用があったとして博士号の取り消されたことを受け辞任した。30年も前の博士論文の盗用疑惑が湧き上がったのは匿名によるインターネットのブログでの告発による。Schavan氏は盗用を全面否定しているが、一個人としてはともかく、教育相としてはかかるスキャンダルが発生すること自体憂慮すべきことで、政治的には辞任は避けられないものだった。ドイツでの同様の事案では2年前、当時の国防相が博士論文での盗用が表面化して博士号をはく奪され辞任している。Schavan教育相はMerkel首相とも親しく、今年夏の選挙を考えれば、Merkel首相としても早期に事態を収拾させる必要があった。盗用をしてまで取得したいとすることは、ドイツにおいては博士号の持つ意味が依然として大きいという事の表れでもある。

一方、果たして本当に盗用があったのか、ドイツ語の分からない自分に判断することはできないが、もしSchavan氏が意図的に(博士号をはく奪したDusseldorfのHaine大学は意図的と判断したのだろう)行ったのであれば、本人は随分と長い時間、自身の学問的良心に苛まれ続けてきたことだろう。あるいは、政治家として成功した彼女にはそんな倫理観など備わっていなかったのか・・・。あるいは中国などのいわゆるパクリ(知的財産侵害)の常態化をみて、世界が模倣に対して寛容になってきているとでも考えたのか。

話は変わるが、個人的には音楽等でいう「カバー」というのは好きではない。そもそも独創性を第一とする音楽などでは、模倣をよしとしない高度な自己規律が必要だ。かつての名曲を歌えば、原曲を知らない世代の人にはある程度受けるのは間違いないだろう。そこに付け入るようなさもしさが寂しい。芸術や学問においては、機械や工業デザインの模倣よりははるかに高い倫理性が求められるべきではないかと思う。

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