回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

持家時代の終焉ー英国の場合

2013年06月29日 07時00分22秒 | 日記

先日亡くなったサッチャー首相時代の遺産の一つに挙げられている、当時は革命とまで言われた持家政策がその終焉の危機を迎えている。英国統計局(ONS)の調査によれば、25-35歳の世代での持家は過去10年間に200万世帯から130万世帯へと急減している。これは住宅価格の高騰により、特に所帯を持ったばかりの年代にとって住宅価格が手が届かないところにいってしまったためで、英国全体では、住宅価格は平均的なケースで年収の6倍にまで達しているという。一方で、65-74歳までの高齢者世帯では持家は75%を超えているというから、問題は若年層に顕著に現れていることになる。サッチャー前首相の時代、強力な持家政策が打ち出され、持家比率が急増したのだが、特に過去10年間の政府の住宅に対する無策により、若い世代が持家をあきらめざるを得ない状況が起きている。この結果、2011年には借家住まいが830万人と、1961年以来最大となった。

持家がつまるところ個人生活と地域社会の安定をもたらすことは日本でも英国でも違いはない。公的な住宅は結局のところ労働意欲の減退や怠惰、国家依存につながることから、サッチャーは持家を強く奨励し、場合によっては弱者切り捨てとの批判もあったが、この政策によって英国の生活水準が中流階級を中心に大きく上昇したのも事実である。

最近の株価上昇、賃金上昇によって日本の地価は上昇するのか、そうだとすれば日本でも持ち家が再び見果てぬ夢になるのか、あるいは少子化により住宅の需給は緩んだままなのか、もう少し経たないと判断できないだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする