英インデペンデント紙が特集として報じている最新のシリア情勢。これによれば、イランは新大統領の選挙前に、シリアに義勇軍4000人を派遣することを決め、アサド政権を支援するという。それでなくとも敗退を続ける反政府勢力は壊滅寸前であり、化学兵器使用と言う、ブッシュのイラクでの大量破壊兵器確認と同じくらい信用性に乏しい理由で米国が介入したのは、反政府側、すなわちスンニ派諸国(実際、シリア、イラク、イラン以外はスンニ派が多数)からの派遣要請を断りきれなくなったためである。しかし、反政府側に対する新型兵器が、壊滅寸前の反政府軍のから過激派の手に渡るには何の苦労もない。それが、今後の自爆テロはもちろんのこと、2001年の同時多発テロの再現に使用される可能性はいくらでもある。
7世紀のムハンマドの後継者争いに端を発するシーア派とスンニ派の抗争に米国が巻き込まれたら大変な泥沼に入り込みかねない。イラクでは不名誉な撤退、アフガニスタンからもやっと手を引く米国にとって、ここまで深い宗教抗争に関わることは大変な負担であり、チェチンゲリラに悩まされてきたプーチンの言う事にもそれなりの理由がある。さらに、スンニ派の超過激テロ集団ハマスがシリアから追い出されたことも、それ最も警戒するイスラエルが実はアサド転覆を望んではいないということにもつながってくる。
中東とはまさに歴史の皮肉の集大成だ。