日本で法科大学院への志望者及び司法試験合格率低下が問題となり、法科大学院の淘汰が急速に進んでいるが、米国でも同様の状況が発生しているようだ。ワシントンポスト紙によれば、全米ロースクール協会が発表した今年度の認定ロースクールへの志願者は前年比13.4%も減少して55,760人となり、減少は3年連続となった。これは、リーマンショック以降、大手法律事務所が大幅な人員削減を行っているし、企業の法務部門における弁護士の需要も大幅に減少したためで、多すぎる弁護士に対して少なすぎる求人という、まったく日本と同じ状況になっている。特に、米国の場合、ロースクールの授業料を12万ドル(1200万円)以上と言われるローンに頼るケースが多く、卒業後ある程度の高給を得られないのであれば、ローンの返済もままならなくなるわけで、事態は深刻だ。
志願者の減少を受け、ジョージワシントン大学やジョージタウン大学などの有名ロースクールでも実質上定員を減らしている。そして各ロースクールでは、優秀な学生の奪い合いも起きているようだ。
米国と言えば訴訟社会であり、かつ、オバマ大統領やヒラリークリントン前国務長官など弁護士出身の政治家が多いのだが、そんな米国ですら、不況には勝てないという事だ。
なお、政治家と言えば、日本でも有力政治家の一部(仙谷、福島、横路、橋下など)が弁護士資格を有しているが、このところの彼らのエキセントリックな言動を見せつけられた結果、もはや弁護士が正義の味方、といった印象はすっかりなくなった。むしろ以前から一部悪徳弁護士が跋扈し、そんな幻想はとうに打ち破られていた米国に近づいたと言えるのかもしれない。