シリア西部の要衝Qusairをヒズボラゲリラの支援を受けたシリア政府軍が昨夜奪回した模様で、反政府軍は敗走を続けている。Qusairを支配する者はシリアの中心部を支配し、中心部を支配する者はシリア全土を支配する、と言われるほどの重要な拠点で、過去1年間、反政府軍の支配下にあったが、あっけなく退却したようだ。今回の戦闘では改めてレバノンから派遣されたヒズボラゲリラの戦闘能力の高さを示すとともに、反政府軍の脆弱さが浮き彫りとなった。すでに死者が8万人を超えたといわれるこの内戦、ロシアからの追加的な武器輸出も相まって、事態はますます混迷して来た。
先般、クリントン前米国務長官がアサド政権の余命はもはや尽きかけている、といったのとは裏腹にアサドはいまだ健在で、かつ、世界政治の縮図がここにある。100万人以上に上る難民に加え、トルコでも政情が不安定になってきてアラブの春の第3章が幕を明けたのかもしれない。その役者はイラン、レバノンそしてイラクシーア派と、中東全域に分布していて、相当にスケール大きなものだ。