Moody'sが英国債を最上位のAaaから1段階格下げした。金融立国英国の新聞は当然のことながらこれを一面で報じている。今回の格下げは、市場に与える影響はなく、もっぱらこれまで最上位格付けをアピールしてきたオズボーン蔵相にとっての屈辱という政治的な色彩の強いものとなろう。
アメリカ、フランスがすでに最上位格付けから引き下げられていることや、どう見てもオリンピックの特需がはげた後の英国経済の停滞を考えれば、格付会社としてはただタイミングを見ていただけで、格下げそのものは来るべきものが来たというべきで、驚くには当たらない。
最近でこそ化けの皮がはがれた格好の格付会社であるが、それにしても、格付けに何の責任も負わない会社が跋扈する現代の資本市場の異形さは際立っている。このような悪弊が消えるのはいつになるのだろうか。