こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

メタボ予備軍

2015年07月02日 17時54分37秒 | 文芸
「メタボ予備軍ですね。一緒に目標を立てて頑張りましょう」
 保健所が主宰するメタボ教室に参加して、保健婦さんに計測されたお腹まわり九十四センチ。若い保健婦さんの指導で年間目標二センチ減をめざすと誓った。
 カロリーの少ない献立教室や運動など保健婦さんと連絡を取りながら頑張った。半年たって再計測。「ん?」と保健婦さんが首をかしげた。「一センチ増えてますね。どうしてかしら?」「……!」
 思い当たることがあった。最近また甘いものを口にするようになっていた。三ヶ月ぐらいまでは甘いものカットが実行できていたのに。出先で進められたケーキを、断るのも悪いと口にしたのが間違いだった。うまい!ズルズルともとの甘党に戻ってしまった。
「あと半年で二センチは減らしましょう」
「はい」
 元気よく返事したらお腹が笑った。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わが家

2015年07月02日 15時27分18秒 | 文芸
「男っちゅうのは一生に家一軒建てなあかん」
 咲き誇る向日葵がビシリと埋め尽くした畑を見下ろながら父は言った。小柄な父の背丈を二倍は上回る茎の成長ぶりに驚く。大輪の黄色い花は一斉に空を睨んでいた。
 父の思いとは裏腹に、息子の気持ちはよそを向いていた。別に自分の家を持ちたくはなかった。そこにかけるお金は、もっと他に使えば、より有意義である。住まいは借家で充分だ。
 二十数年前、実家を出て仕事に就いて以来、アパートや借間を転々とした。さほど不便はなかった。むしろ好都合だった。いちいち家に必ず戻らねばという強迫に近い義務感を持たなくてもいいのだ。いやになれば次へ引っ越せばいい。
「どないや、ここでお前の家を建ててみいひんか?」
「うん?…家はいらんわ。そんな金持ってないし無理や」
「アホ!お前ひとりやったら、それでええわい。いまのお前には大切な家族がおるんやろが。三人の子どものためにも、家を建てるんが、父親の心意気や。金なら、わしが保証人になったる。農協で貸してくれるわ」
 父の言葉は私の心にビシッと響いた。そうだ。私には家族がいた。強く意識したのは初めてだった。父の一喝は、私に父親だとはっきり自覚させるのに充分だった。
「家族のためにお前の力で出来ることは、精一杯やったらんかい。家を建てるんは並みのこっちゃない。そやけど苦労したらした分だけ、自分の家やって愛着が湧くもんじゃ」
 養子に入って苦労した父。懸命に働き、自分の家族のため遂に家を建てた父である。その言葉には千金の重みがあった。その父の子どもである。私のいまやるべきことは、自分の家族の家を建てることだった。
 
真夏。炎天下に向日葵畑に入った。雑木を刈り取る厚手の鎌を振るって、向日葵の固くなった茎を刈り取った。汗まみれの奮闘も遅々として捗らぬ作業。何度となく抛り出してラクになりたいと思った。その誘惑は、父や家族の顔を思い浮かべては振り払った。家を建てる夢の実現への一里塚に、もう迷いは微塵もなかった。
 刈り払った向日葵の山に火を放って焼くと、広々とした畑地が広がった。満足感が全身に広がる。やっと家作りが始まる。
 
敷地の造成は、ブリキ屋の父の建設仲間の土建屋が安く施工してくれた。そして建前に突っ走る。大工は従兄だった。私は彼らの手足となって駆けずり回った。土や砂を運び、丸太の皮をはぎ、製材した板や角の部材を乾燥するのに躍起となって汗を流した。壁の下地に組んだり編んだりする竹の伐り出しや加工も……仕事は私の想像を絶するほどあった。しかし、もう私の足は決して止まらなかった。
 家を建てる!それは、もう私ひとりの夢でも目標でもなかった。父の、妻の、三人の子どもたちの笑顔が、いつも共にあった。彼らの支えを強く感じた。家を建てる、家を持つ。その意味を私はようやく悟った。
 
家が完成するまで、なんと三年かかった。四季の移り変わりを見ながら、私は家が生命を得るまでの道程を共に走り続けたのだ。
 
あれから二十七年。我が家の庭には家を建てた記念に植えた桜の木が大木となって、屋根の上に枝を四方八方に広げている。春を迎えれば満開の花で埋め尽くされる。
 この家で育った子どもたちも、それぞれ巣立った。長女は結婚した。長男と次男は名古屋の方で働いている。残るは家を建てている最中に授かった末娘だけ。彼女はこの春から大学生だ。
「そろそろ、二人になる準備をしなくちゃあね。こんな広い家じゃ持て余しちゃう。リフォームして、もっとちっちゃくしようか?」
「いや。この家はこのままでいい。また子供たちが気楽に戻って来られるように……!」
 妻の言葉に、私は頭を強く振った。
 まだまだだ。この家の役割はまだ終わっていない。私の一生に一度を担ってくれた家を、可能なら私の子どもが引き継いでくれるだろう。この家が育ててくれた四人の子どもたちの誰かが、この家の主になってくれる。
 子どもらの家族が、そしてその子供らが……家はそんな私の家族を守り続けてくれるのは間違いない。そんな家を、私は建てたのだ。
(わかったな。僕の家族はきみといつまでも一緒なんだぞ。これからもよろしくな)
私は家に語り掛けた。
何も答えてくれないが、見上げる私の視界に超然と聳える、私の家…父の、私の家族たちの家は、何もかも鷹揚に包み込んでくれている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

部活動の思い出

2015年07月02日 13時51分44秒 | Weblog
高校に入ると、これまでの友だちの顔はほとんど見られなくなった。新しい友達の中でちょっと背伸びしてしまった。クラブ活動を選ぶのに、、ウンチ(運動神経オンチ)を人に知られまいとひた隠して選んだのは、なんと柔道部。新しくできた友達にくっついて、つまり金魚のフンになっての入部だった。柔軟体操や基礎鍛錬は何とかクリアしたもの、受け身や柔道技の段階になると、もうダメ。ウンチを徹底して暴露するはめになった。段取り試合で有段者の先輩の払い腰を受けて、モロに急所に衝撃を受けて失神してしまった。(もういやだ!)と逃げ出すように退部。その影響は大きかった。退部者は部員全員の乱捕り相手を津とまなければなら糸聴いて、すっかり怖気づいてしまったのだ。結局、それが中途退学につがってしまった。新たに入り直した高校は新設校。自由奔放な校風の中、わたしは同好会を作った。自分のやりたいようにできると、勇気を振り絞った。そして作ったのが、「ストーリーマンガ同好会」。最初のメンバーはわたしを含めて3人ぽっきり。それでもがんばった。学校新聞の4コマを頼まれるまでになった。しかし、それだけでは終わらなかった。次に生徒会快調に選ばれてしまったのだ。いま考えてみれば、あの聖地会活動も私には部活動だったのかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

愛の卒業式

2015年07月02日 10時33分07秒 | 文芸
夜十時前。君らが帰って来た。ホッとする。やっぱり心配だった。西宮まで遠いから、事故だけじゃない何でも起こりかねないから。
 僕らの娘の高校卒業式、どうだった?内心、僕も本当に行きたかったなあ、僕ときみが愛してやまない大切な娘の晴れの日だろう。
 そういえば昔はいつもきみと僕はいっしょだったよな。どこへ行くのにも、買物、ドライブ、子供らの入学卒業式……あの毎日は夢のように幸せだった。隣には必ず君がいた。笑っていた、時にはすねたり怒ったり泣いたり……でも、きみはちゃんといてくれた。
 定年退職後、わが家の家計を一心に担うきみに、とても無理はいえない。だからきみへの願望は心の奥深くしまった。でもきみの言葉が、いまも僕を支えていてくれる。
「あなたの命が尽きるまで傍に私がいるから」 
、十三歳違いの、僕が唯一心から愛した妻。彼女の約束は、いまも私に夢と生きがいを与え続けてくれる。ありがとう、愛してる!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

墓参で感じる戦争の悲劇

2015年07月02日 09時19分53秒 | 文芸
墓参で感じる戦争の悲しさ

 戦争の恐怖も、原爆の破壊力も、何も知らずに育ったわたしにとって、原爆が日本に落とされた日や終戦記念日が何回やって来ても、さほどの感慨がない。本屋映画、テレビなどによって与えられた知識だから、他人事でしかないのである。
 しかし、そんなわたしが戦争と言うものを身近に感じるのが、盆の墓参りの時である。
 田舎にある墓地の入り口には、立派な墓石が6基並んで建っている。村出身の戦死者の墓で、中に叔父の墓もある。『ビルマ戦線にて戦死―二十六歳没』と刻まれた銘を、毎年目にするたびに、不思議に戦争の影を感じて身震いする。
 不惑の年を迎えようとする身にとって、伯父が二十六歳で戦死の事実は悲惨そのものとしか思えない。戦争は例外なく若者の貴い命を奪う。
 戦死してどんなに理ppな墓を建てられようと、本人や家族には何の意味もない。すべてが無意味と化す戦争は二度と起こしてはならない。
(毎日・1988・8・12掲載)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

食品行政は厳格に

2015年07月02日 01時42分54秒 | Weblog
食品行政は厳格な指導を

 保育園の給食で明るみに出た病死牛肉問題はショッキングだった。わたしも飲食店をやっているので、「まさか!」の思いだ。人の口に入るものは、食品にしろ薬品にしろ、当然安全であるはずと思っているのが普通である。
安全基準が設けられているし、それを扱う側も、より慎重な姿勢が義務付けられている。
 しかし、今回の事件で、いかに営利主義が人のモラルを奪っているかを痛感せざるを得ない。利益を上げるためには、他人の健康など考えてられないというわけである。こんな身勝手極まる考えの横行は、たまったものじゃない。
 今後、自由化でどんどん外国から食品が入ってくると予想されるが、すでに残留農薬などの国による規制差が心配されている。当局は安全性の管理を強化するといっているが、今回の病死牛肉問題でも分かるように、言葉だけでは納得しようがなく、不安は募る一方である。
 国民の健康と安全のために、食品行政は今以上に厳格な業界指導と管理を考えるべきだ。
(毎日・1988・9・24掲載)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

射手座の今日

2015年07月02日 00時54分30秒 | Weblog
いて座のhce*262*の運勢は82点! (2015年07月02日)




総合:

あなた自身の考えを通すのは抑えて、今日はできるだけ周囲に気を配りましょう。相手の思っていること、求めていることは何かを意識して行動するのです。この気遣いが、あなたにとってプラスとなる展開に。年齢や性別は気にせずに誠意を持って接すれば、あなたの良き理解者、協力者となってくれそうです。服装は派手なものを避け、落ち着いた雰囲気にまとめて。きちんとした人と評価してもらえますよ。




恋愛:

恋愛に関して活動的になれ、いつも以上に実り多い日となるでしょう。異性と一緒に行動することも多くなり、自然と心通わせることができそう。気になっている人と行動をともにすると、愛を深められるはず。チャンスを生かして。




金運:

ウィンドウショッピングにツキがありそう。ただしあくまで「見るだけ」が今日は吉。




仕事:

点数稼ぎをしようと悪知恵が働きがち。でも、裏目に出る可能性大! 控えめな態度を心がけて。




ラッキーアイテム:ボディブラシ

ラッキーカラー:ピンク

ラッキースポット:ホテルのラウンジ

ラッキーレジャー:茶道、華道、書道などの体験をする 

ラッキーグルメ:まぐろのさしみ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夫の心がけも大切

2015年07月02日 00時06分27秒 | 文芸
夫の“心がけ”も大切

 20歳になるかならないかで結婚、もうすぐ7年になる。すでに二人の子どもと、おなかにもう一人いる。夫とは13違いだから、今は20代と40代。二人の年代がいちばん開く年である。
「あんな年上の人と結婚するなんて信じられない。老け急いじゃ駄目よ」なんて失礼な助言をしてくれた友人も、遅れること5年目にして、10歳上の人と結婚するんだから、どっちもどっちである。しかも、この間会ったら、彼女の方が所帯やつれしているから「ヘヘン!」だ。
「卑怯よ、あんた。なぜそんな若くいられるの?」と詰問する友人に「亭主の差じゃないの」その時の彼女の顔ったら……。でも、結婚後に若さを保つか保てないのかは、やっぱり夫の差なんだと思う。
 わが亭主は自慢じゃないが、全くの自由気まま派。もちろん女房も同じ立場においてくれる。共に働き、共に暮らし、共に子育て、共に遊ぶ。こんな便利な夫がいると若くいられるのかも……。
(讀賣・1988・9・11掲載)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする