こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

年よりの休日

2015年07月07日 19時00分19秒 | 文芸
ウォーキング三昧といきたいけれど、雨だとキャンセル。ほかに楽しむことも見当たらない高齢者の仲間。結局、加西市一番大きいイオンタウンに足を向けてしまう。そこにいけば同年輩の仲間がぞろぞろいる。その何人かとは顔なじみ。なんやかやと話が弾む。イオンの優待を利用してラウンジで無料のコーヒーを飲んで、さあまた無駄話を始める。時には食品売り場を見渡せる休憩ベンチに陣取って、行き交うお客さんの品定め?「あれおやこやな、そっくりやないか」「ほれ見てみてみ、美人さんやで」「ボクの好みやない」てなてな調子で楽しんでいる。ふと時計を見ると夜8時前。「そろそろ帰るか?テレビのドラマがあるさかい」大河ドラマファンの相手が切り出すのを潮に「ばいばい!」そこから食品売り場へ。値引きシールを貼る菓子売り場で、半額になったケーキを買い占める。まず1週間はもつぞ。てな流れが、わたしの休日の過ごし方である。年を取ると、こんなものなんですかね。
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1994年新年の誓い

2015年07月07日 17時37分30秒 | 文芸
自分の可能性確かめる年に

 施設保母として働いて来たこの3,4年は実に充実していた。昔からの“福祉の夢”がおおいに実ったとの自負もあります。
 でも、しょせん臨時保母職員、どうやら新しい年は再び働き場所を探すはめになりそうな気配です。やりがいのある福祉の現場をと望んでも、さてどうなるか、不安が先行です。
 そんなわたしを支えてくれているのが、夫と3人の子どもたち。保母の仕事で家事など、かなりおろそかになったものの、それをすすんで補ってくれた家族がありがたい存在です。
 自分が納得できる仕事をしろ、との夫のひと言が、どれほどわたしを励ましてくれるか。
 まだ32歳。やり直しがきく年齢です。若い頃からの夢である福祉の仕事を諦めるのは早すぎるけれど、家族の犠牲を考えると、思い切る時期かも知れません。それに福祉の世界にはまた戻れます。
 新しい年、ちょっと福祉の世界から離れた自分の可能性を確かめる、いいきっかけにしなければ!
(産経・1994・1・1掲載)

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郷土色豊かな応援合戦を

2015年07月07日 13時11分58秒 | 文芸
郷土色の合戦ファン倍増も

 高校野球が何を目的としているのかを明確にしない限り、高野連は応援内容の是非を問う資格を欠いている、と言えよう。
 高校野球の一環だと説明されても、越境野球留学や有名高校が野球施設にかける経費の多さなどをかいま見る限り、首をかしげざるを得ない。
 もはや教育の範疇では議論し得ない実態が先行しているのは自明の理だ。
 そんな状況下にある高校野球が、応援の自粛を求めるのは本末転倒に等しい。それに、越境野球留学が目立っていたとしても、彼らが都道府県の代表校の一員として甲子園の試合に挑むことに変わりはない。郷土色豊かな応援合戦は、むしろ喜んで取り入れられるべきなのだ。
 郷土色を押し出した応援合戦は、案外越境野球留学の風潮に対しての抑制につながるかも知れない。
 生まれ育った郷土の代表選手になって、郷土色豊かな応援を受ける栄誉が目標になれば、彼らは地元の高校で懸命に頑張る意義を見つけられるではないか。
 真剣な試合とともに、カラフルでユニークな応援合戦が伴えば、楽しみは倍加し、新たな高校野球ファンの足を球場に運ばせることにつながるかも知れないのだ。
(讀賣・1994・9・3掲載)


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働きやすい環境をごく自然に

2015年07月07日 11時34分57秒 | 文芸
働き易い環境をごく自然に

 最近は女性の管理職が誕生なんて、そう珍しくないと思われつつある。とはいっても絶対数から見ればわずかである。それにしても順調な女性の社会進出の向上と言っていいのかも知れない。
 一方、社会に出るよりも家庭におさまろうとする保守的な女性もいる。女性の能力を社会に認めさせ、男性本位の社会を改善すべく頑張っている女性をしり目に、年苑増加しているのも事実らしい。
 この相反する姿を見るにつけ、女性全体の社会での役割が一足飛びに飛躍することは、なかなかに難しい問題だと考えさせられる。それどころか、ふたつの立場がお互いを理解できず対立する状況すら考えられる。
 男の側としては、あまり積極的な介入はできないものの、仕事と家庭の両立に参加できる。もちろんそうなるためには社会的バックアップは欠かせない。わが妻は「やるべきことはやるのが当然!」と、仕事に家事雑事をそつなくこなしている。
 そんな姿を見せられては、亭主として放っておけず、家事の分担を引き受ける。こういう自然な形で女性の働き易い環境が作られていけば、最高だと思うのだが。
(産経・1988・8・3掲載)

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家庭菜園

2015年07月07日 10時39分04秒 | 文芸
家庭菜園

 家庭菜園で、初めて畝(うね)づくりをしてから2年目の夏を迎えました。
 わたしと夫が手引書“野菜の作り方”を手に、いろんな野菜に挑戦した1年目は、ため息の連続でした。
 一番簡単なはずの小松菜のたぐいですら、貧弱そのものしか出来ません。涙が出たくらいです。何とかサマになったのはカボチャでしたが、それも数個の収穫で終わり、ガックリでした。
 ところが今年は一転して豊作!ほれぼれするほど見事なレタス、ナス、ピーマン、トマト、キャベツ、白菜ができています。
 短気なわたしを補ってくれた夫の努力による土づくりが功を奏したように思えます。農薬をまかないので、黙々と野菜につく虫取りにピンセットで四苦八苦する夫も、今年はしてやったりと得意顔です。
 頑張った夫の汗と涙の成果が、わが家の菜園に満ち溢れて輝きます。収穫する夫の顔といったら、土にまみれても、ゆるみppなしでした。
(神戸・1994・7・26掲載)

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長男の初乗り

2015年07月07日 08時38分26秒 | 文芸
長男の初乗り

 今年の秋祭りは、小3の長男が祭り太鼓屋台に初乗りです。地区の男の子が少なくて1年早く回ってきた乗り子に、本人は大張り切り。1週間続いた夜遅くまでの太鼓打ちの稽古も頑張り抜きました。
 かき手に出る夫もちょっぴり興奮気味。朝早くおふろで身を清めた親子ふたりは、襦袢や法被を着込み、颯爽と足取りも軽く出かけていきました。
 初乗りを祝う地区の人たちの訪問の応対や、ごちそうづくりでてんてこ舞いのわたしも、気分は上々でウキウキしっ放しでした。
 昼過ぎにやっと太鼓屋台の練り回しの列に駆けつけました。宮入り宮出に長男の出番はなかったけれど、町内を練り回す途中に都合4回も、長男が乗り子としてバチで太鼓を打つ屋台を夫が差し上げる機会に恵まれたのだから幸運でした
「よーいやせ」「ドン!」
「よーいやせ」「ドン!」
「そら、よーいーとーせ」
 長男たちが打つ太鼓と、かき手の男衆の掛け声が盛り上がりを増幅します。そして男たちの心が一体となった瞬間、すごい力が渦巻き、金箔の海老が躍る豪華な屋台が見事に差しあげられました。その後継は輝いて見えました。
 息子が乗る祭り屋台を父親がささえ、差し上げるー夫の嬉しい心中が容易に想像できました。わたしも夫に負けない感動感激を手中にしていたのですから。
(神戸・1993・10・19掲載)

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夫婦

2015年07月07日 00時16分00秒 | 文芸
夫婦

 わが夫婦。13の年齢差、B型夫にAB型妻。となれば、日々の暮らしに欠かせないのが言葉のキャッチボール。あからさまに言えば、口げんか!
 ただ、それが夫婦の絆を紡いできたのは確か。結婚生活30年。当初は言い負かしていたのが、定年を境に形勢逆転。妻の鋭い舌鋒に、しょっちゅう返す言葉を失ってしまう。
「亭主のあげ足ばっかり取って、楽しいんかいな」
「ちゃんと頭使うて、物言わなあかんよ」
「ちょっとは亭主持ち上げても、バチ当たらんで」
「持ち上げるもん、何もあらへんやないの」
 とどめのきついひと言に、ただ、ただ絶句。
 ふてくされて横になっていると、いつの間にかそばに寄り添っている妻。
「なんや?」
「ムキになってる」
「アホ言え」
「もう子どもなんやから。カワイイ!」
 そんな調子で、もう30年。
(あと何年、続くかいな…)
 そう考えると、楽しくもあり怖くもある。
(神戸2・7掲載・63歳)

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