素人劇団が「リア王」に挑戦
20数年前の秋。故郷で兵庫県の文化行事として「ひょうご演劇祭」が開催され、市民による劇を上演することになった。
メンバーの大半は「舞台は初めて」という素人で、アマチュア劇団歴30年のわたしのもとに協力依頼が来た。
引き受けた私は、あえてシェイクスピアの「リア王」を選んだ。
「県の文化の一翼を担うんやぞ」
という意気込みを共有するために選んだ大作だった。
仕事をしながらの基礎訓練、芝居の稽古は過酷で、さらに装置や衣装、小道具も手作り。大変な半年を乗り越え、やがてメンバーに仲間意識が生まれ、地域の文化発展にこうけんするという自覚も芽生えた。
そして、千人近い観客に見守られた本番の舞台。
半年前の自信なさげな素人集団が堂々たる演技を見せた。
このとき誕生した市民劇団は、今も活動を展開し続けている。
(産経・2014・10・28掲載)
20数年前の秋。故郷で兵庫県の文化行事として「ひょうご演劇祭」が開催され、市民による劇を上演することになった。
メンバーの大半は「舞台は初めて」という素人で、アマチュア劇団歴30年のわたしのもとに協力依頼が来た。
引き受けた私は、あえてシェイクスピアの「リア王」を選んだ。
「県の文化の一翼を担うんやぞ」
という意気込みを共有するために選んだ大作だった。
仕事をしながらの基礎訓練、芝居の稽古は過酷で、さらに装置や衣装、小道具も手作り。大変な半年を乗り越え、やがてメンバーに仲間意識が生まれ、地域の文化発展にこうけんするという自覚も芽生えた。
そして、千人近い観客に見守られた本番の舞台。
半年前の自信なさげな素人集団が堂々たる演技を見せた。
このとき誕生した市民劇団は、今も活動を展開し続けている。
(産経・2014・10・28掲載)