こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

酔っ払っちゃった

2015年07月26日 22時28分10秒 | 文芸
20代前半、まだ若さあふれる時代。勤めていた会社の忘年会があった。職種はレストランのコック。同僚やや上司はとにかく呑み助がほとんど。実は私は、どちらかと言えば下戸。タバコも酒も、ついでに女性もダメという堅物。日頃はそれを悟られまいと、同僚と飲みに行けば、件名にカッコだけつけようと頑張った。化けの皮がついにはがれたのは、その忘年会。上司や同僚が次々とすすめてくるビールや酒、焼酎を断れず、ガブガブ、しかもチャンポンで。ある瞬間に記憶がとんだ。そして気が付いたのは翌朝、自分のアパートの寝床だった。出勤したら、みんなに感心顔で盛られた。よくよく聞いてみると、宴会のさなか、私の酔っ払いマンが出現したらしい。上司にため口を聞き出すやら、同僚とは下ネタを大口でたたいたという。そして極めつけは、事務所の一番若い、そして美人の女の子にしつこく迫ったという。ふだんからあ、「いいなあ」とあこがれてはいたが、それを爆発させたのだ。もう穴があったら入りたかった。無礼講だからと上司は言ってくれたが、問題は彼女。顔を合わせるのは、とてもできなかった。結局、それが直接のりゆうではなかったが、3か月後に転職した。それまで、なんと彼女とかおを合わさずに済ませた。いや、酒は怖いと、いまさらながら思っている。

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貫け

2015年07月26日 21時09分36秒 | 文芸
うろたえずに是々非々貫け

 日米首脳会談で、米の数値目標要求に拒否の姿勢を貫いた細川首相。久々にスカーッとした思いを味わったが、その後が悪い。
 報復にも似た米の対日強硬経済姿勢が、現実的な色彩を見せ始めたとたん、政府のうろたえぶりはどうだ。
 両国の力関係をまざまざと思い知らされるようである。米の方針にNOと言えば当然予測された事態である。明確な姿勢を打ち出すためには、あらゆる事態を想定した対策が用意されていてしかるべきなのだ。
 首相のパフォーマンスのせいで、政府が泥縄式の後始末を余儀なくされている姿を見るにつけ、国際交渉の不得手な日本を改めて自覚する。
 ことここに至っては、安易な妥協は避けてほしい。
「成熟した日米関係」を確立するためにも、是々非々の立場を貫き通すべきだ。
 それが日本の新世紀への変革に、いい意味でつながっていくのではないか。
(讀賣・1994・2・26掲載)

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野菜との相性?

2015年07月26日 20時02分19秒 | 文芸
今年こそは…の野菜づくり

 昨年の夏過ぎから、野菜づくりにチャレンジしています。有機栽培を目標にしているのと、街で青だったわたしには初体験の野菜づくりと逢って、最初から試行錯誤の連続で、もう大変でした。
 とにかく虫に悩まされっ放し。無農薬を通そうと思うと当然ですが、ピンセットを持って無視との睨めっこもしょっちゅうで、夏の水やりもあって、腰や肩が凝るやら痛いやら。
 そんな苦労をして何とか育ってくれたのが、白菜と大根とにんじん、小松菜ぐらいで、カブ、レタス、キャベツ…ああ見事に失敗。そこで今年に期しているわたしなのです。
 夫の協力を得て、年間栽培計画も作り、暖かい春が来るのを待ち構えています。
 野菜づくりの本も10冊近く読んだし、畑の一部に生ごみやワラ、雑草などを積み上げて、たい肥づくりも万全。
 これで失敗するようなら、わたしは野菜との相性が余程悪いのでしょう。
 でも自信あります。今年はわが家の食卓を飾る野菜すべてを手作りで賄うのですから。
(神戸・1992・1・1掲載)

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バカにしてるの?

2015年07月26日 19時12分34秒 | 文芸
腐敗議員には合わない権利
 
金権腐敗が目立つ昨今の政治家には、不逮捕特権などふさわしくない。少しでも擬態的な容疑が出たなら逮捕されるのが一般的な道理である。
国会議員だけに特権を与えるのは本末転倒だ。むしろ議員だから厳しく対処されてしかるべきではないだろうか。
会期中に議員が逮捕されると、国会の円滑な運営に支障をきたすと言うが、それよりも疑惑の議員が出席し、決議に参加する方が問題である。
火の粉が降りかかりそうな場合や党の意志で、簡単に欠席をする議員がいることを考えれば、疑惑議員は進んで国会での権利を放棄するぐらいの潔さを見せてほしい。
 それなのに、会期中の議員の逮捕には、議員の許諾が不可欠という。
 疑惑議員の進退を議員仲間が決しようと言うのだから、これはもう笑止千万と言わざるを得ない。
(讀賣・1994・3・19掲載)



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墓参にて

2015年07月26日 10時39分37秒 | 文芸
戦争の悲惨さ墓参で新たに

 お盆の墓参りに出かけた時、何気なく入り口に立てられた立派な墓碑銘に目をやり、新しい発見に驚く。
「恒雄、26歳、ビルマ戦線にて戦死」との記載。
 母方で唯一の伯父だが、昔伯父の戦死した話は折にふれ聞いたし、仏壇の上に飾られた兵隊服姿の写真が、それを如実に語っており、戦士の文字におどきはない。
 ただショックを受けたのは26歳と言う年齢。戦後生まれのわたしがすでに40に手が届きかけている今、20代での若い死がどれだけ惜しまれるべきかは、即座に理解できる。親にとっては悲嘆極まりなかったに違いない。
「お前は恒雄にうりふたつや」
 と、成長期のわたしを特別にかわいがってくれた祖父も、もういない。
 いつも口癖に「あれはよう出来た子やった」と、目を潤ませる祖父だった。どれほどの期待をかけた跡取り息子だったか。だからこそ、戦死の知らせを受けた祖父の悲しみは容易に想像できる。
 伯父の戦死で、養子を取って家を継いだ母。それを考えると、戦争がなければ今の私の生活はないはず。祖父と家族の悲しみを礎石になりたった現在の姿なのだ。
 戦争を知る世代が消えつつある昨今。再びあの暗黒の時代の襲来をくい止めねばならないのは、肉親を奪われた悲しみを背負って生きた祖父母の姿を知るわたしたちなのかも知れない。
(朝日・1987・8・24掲載)

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さあ本番

2015年07月26日 09時16分06秒 | 文芸
さあ本番

 いよいよ僕らが参加する「ふれあいの祭典」の舞台公演の灯が迫って来た。芝居を通じて、多くの人たちと感動を共にできる日だ。ぼくらの胸は自然と高鳴っていくようだ。
 家族年にふさわしく題材として選んだのは「リア王」。そこに描かれた二組の親子関係や、老いた者の、不幸な姿は、現在に通じる問題をはらみ、劇的に心へ問い掛けて来る。
 市民劇団「おおきな木」は昨年の旗揚げ公演でともに感動を味わったメンバーたちだけに、チームワークは抜群だ。下は幼稚園児から植えは40代の会社員まで20人の大半は、昨年の舞台が初体験。
 でも、感動を作り上げる魅力を知ってしまった僕らは、芝居がもう面白くてたまらない。いっぱしの夢追い人を気取って、さらに感動を積み重ねようと、芽を輝かせるだけだ。
 芝居の魅力はいろんな人の人生を演じられることに尽きる。
 今回は老いを背負った王の悲哀とまともに向き合う。高齢化社会での家族や親子関係のひずみを、この芝居を通じて知る。愛がいかに大切かを知る。そして……。
 モノがはんらんし、心が二の次かのような世の中では味わえなくなった感動、それがナマの芝居つくりにはたっぷり詰まっている。それを観る人にもと、頑張る僕らの晴れ舞台はもう目の前だ。
(神戸・1994・11・21掲載)

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誇りに

2015年07月26日 00時07分43秒 | 文芸
生まれ育った地域を誇りに

 嘉吉の乱のころに赤松氏の居城があった、地元の旧跡・小谷城跡に登った。暑さの影響もあったが、かなり息を切らしてしまった。
 しかし、本丸跡に落ち着くと、臨む加西市の絶景に目を奪われた。地元なのに初めて見る光景に感動した。
 一帯は地域の人たちの尽力によって、きれいに整備されていた。
 旧跡を示す看板の設置もあった。NHK大河ドラマの官兵衛ブームに乗ったのかも知れないが、郷土の歴史の掘り起こしは地元ボランティアの力なくしては不可能だということを実証している。
「播磨風土記1300年祭」を推し進める市のイベントの「ウォークIN加西」に思い切って参加して幸運だった。
 これまで頭に浮かべもしなかった郷土の歴史の片りんに触れた。祖先の息吹きを身近に感じることができた。
 これからは地元の歴史的な魅力の掘り起こしに、積極的に関わっていきたい。自分が生まれ育ったふるさとの地を誇りに思えるように。
(讀賣・2014・9・26掲載)

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