現在66歳、至って健康…そうに見えるが、この間の検診で再検査。なんと血管年齢80歳と言われちゃった。あれから3か月、通院し薬を飲んでいる。夏休みに再々検査の予定。せめて70代の血管年齢にと、切なる願いです。末の娘はまだ大学1年生。彼女が社会人になるまでとにかく健康でいてやりたいのだ。わたしのこの夢かなえてもらえるだろうか?
娘に貴重な体験でした
学校から帰って来た小学2年生の長女の、しゃくり上げながらの報告にわたしは驚いた。
下校中の通学路で転倒して顔を打ち、鼻血がたくさん出たという。しかし、長女の顔にそんな痕跡は見当たらない。誰かに綺麗に拭ってもらった様子。
長女の説明によると、知らない男の人が介抱してくれて、家の近くまで車で送ってもらえたらしい。
ようやく、たどたどしく要領を得ない長女の口から、その男性が通学路沿いの家の人だと聞き出した。さっそくお礼に飛んでいった。恩人は白髪の年配者だった。
「いやいや、そんな。当然のことですがな」
相手さんは笑ってあっさり言われたが、わたしと妻は感謝の思いで頭が上がらなかった。
昨今はわが身大事で他人の危難を見て見ぬふりする風潮の社会。そんな中でこんなに手厚い思いやりを見せていただけるとは、本当にありがたいことである。
長女にとっても実に幸運でいい体験になったと思います。自分が助けられた喜びは、きっと彼女に思いやりの心を育ててくれるでしょう・ありがとうございました。
(神戸・1991・4・7掲載)
学校から帰って来た小学2年生の長女の、しゃくり上げながらの報告にわたしは驚いた。
下校中の通学路で転倒して顔を打ち、鼻血がたくさん出たという。しかし、長女の顔にそんな痕跡は見当たらない。誰かに綺麗に拭ってもらった様子。
長女の説明によると、知らない男の人が介抱してくれて、家の近くまで車で送ってもらえたらしい。
ようやく、たどたどしく要領を得ない長女の口から、その男性が通学路沿いの家の人だと聞き出した。さっそくお礼に飛んでいった。恩人は白髪の年配者だった。
「いやいや、そんな。当然のことですがな」
相手さんは笑ってあっさり言われたが、わたしと妻は感謝の思いで頭が上がらなかった。
昨今はわが身大事で他人の危難を見て見ぬふりする風潮の社会。そんな中でこんなに手厚い思いやりを見せていただけるとは、本当にありがたいことである。
長女にとっても実に幸運でいい体験になったと思います。自分が助けられた喜びは、きっと彼女に思いやりの心を育ててくれるでしょう・ありがとうございました。
(神戸・1991・4・7掲載)
子どもの優しさどう育てるか
小1の長男、すっかり行動半径も広がり、虫やカニや貝やと野山を友達と走り回ってはカゴやバケツにいっぱい捕って来始めた。図鑑や絵本でタップリため込んだ関心を、ここぞとばかり晴らしている。
「これカブトムシのこまいのやで」
大得意にいちいち報告してくれる顔が輝いている。
しかし、困るのが、取って来た生き物の世話。お兄ちゃんらに教えてもらって餌や何やかやとやってはいるが、しょせん行き届かなくて死なせてしまうことが多い。
「かわいそうに。ちゃんとお墓を作ったれよ」
と一緒にお墓を作ったりはするのだが、ちょっと懐疑的にならざるを得ない。手を合わせる子どもの姿がサマになっている分なおさらだ。
小さな生命を大切にする優しさは、どうやって育つものなのだろうか?
小さな生き物への興味を満たしてやる方法との両立は……。
子どもの成長とともに親の悩みも増すばかりだ。
(神戸・1991・7・15掲載)
小1の長男、すっかり行動半径も広がり、虫やカニや貝やと野山を友達と走り回ってはカゴやバケツにいっぱい捕って来始めた。図鑑や絵本でタップリため込んだ関心を、ここぞとばかり晴らしている。
「これカブトムシのこまいのやで」
大得意にいちいち報告してくれる顔が輝いている。
しかし、困るのが、取って来た生き物の世話。お兄ちゃんらに教えてもらって餌や何やかやとやってはいるが、しょせん行き届かなくて死なせてしまうことが多い。
「かわいそうに。ちゃんとお墓を作ったれよ」
と一緒にお墓を作ったりはするのだが、ちょっと懐疑的にならざるを得ない。手を合わせる子どもの姿がサマになっている分なおさらだ。
小さな生命を大切にする優しさは、どうやって育つものなのだろうか?
小さな生き物への興味を満たしてやる方法との両立は……。
子どもの成長とともに親の悩みも増すばかりだ。
(神戸・1991・7・15掲載)
押し付け勧誘真っ平御免だ
「ビデオの買いを見に来ない?」
久しぶりに顔を見せた知人がにこやかに話しかける。何のことはない、宗教の勧誘である。相手の気を悪くさせまいと慮り、あいまいに笑いながら首を振る。
「絶対に幸福に導いて貰えるのに…」
と、まだ20歳すぎの若者なのに、もう悟りを開いたふうにのたまう。
別の知人はおもむろにパンフレットを見せながらの勧誘だ。よく聞く健康食品の会社。
「絶対にもうかる話や。この代理店のアルバイトやらへんか?」
またしても絶対である。
お次は外資系の洗剤のセールスとかで、絶対もうかるため数に制限つきだから、早く契約しないと儲け話を逃してしまうと言う。余計なお世話だ。
断りの言葉を考えながら、やはり微笑でごまかす気の弱さ。我ながら自分の性格が嫌になる。だが相手は自分本位を通す。帰り際、不思議そうに見つめて、「絶対に儲かる話なのに、残念やなあ。こんなおいしい話、もう絶対あらへんのに…」と、未練たっぷりに捨て台詞(?)を残した知人。
さらに、多くの知人友人がいろんなセールスに来る。
「絶対に損はさせない」「絶対に信じられるさかい」絶対、絶対のオンパレードだ。
世の中、絶対至上主義社会にでもなったのだろうか。それとも不確かな要素の多い現在、逆説的な効果を狙ってか。どちらにしろ、押しつけセールスは、絶対!真っ平御免だ!
(讀賣・1987・9・1掲載)
「ビデオの買いを見に来ない?」
久しぶりに顔を見せた知人がにこやかに話しかける。何のことはない、宗教の勧誘である。相手の気を悪くさせまいと慮り、あいまいに笑いながら首を振る。
「絶対に幸福に導いて貰えるのに…」
と、まだ20歳すぎの若者なのに、もう悟りを開いたふうにのたまう。
別の知人はおもむろにパンフレットを見せながらの勧誘だ。よく聞く健康食品の会社。
「絶対にもうかる話や。この代理店のアルバイトやらへんか?」
またしても絶対である。
お次は外資系の洗剤のセールスとかで、絶対もうかるため数に制限つきだから、早く契約しないと儲け話を逃してしまうと言う。余計なお世話だ。
断りの言葉を考えながら、やはり微笑でごまかす気の弱さ。我ながら自分の性格が嫌になる。だが相手は自分本位を通す。帰り際、不思議そうに見つめて、「絶対に儲かる話なのに、残念やなあ。こんなおいしい話、もう絶対あらへんのに…」と、未練たっぷりに捨て台詞(?)を残した知人。
さらに、多くの知人友人がいろんなセールスに来る。
「絶対に損はさせない」「絶対に信じられるさかい」絶対、絶対のオンパレードだ。
世の中、絶対至上主義社会にでもなったのだろうか。それとも不確かな要素の多い現在、逆説的な効果を狙ってか。どちらにしろ、押しつけセールスは、絶対!真っ平御免だ!
(讀賣・1987・9・1掲載)
価格表示は消費者を混乱
4月以降、スーパーの買い物で、ストレスをため込んでいる。
消費税増税のせいだが、腹立たしいのはスーパーを筆頭にした小売店の対応。チラシでも各店頭でも、それぞれの店が異なる値段表示をしている。本体価格のみ、税込み価格とのダブル表記、税込み価格、プラス税併記……もう頭が混乱する。
以前は、複数店の値段を簡単に比較できたのにと思うと、怒りを抑えられない。これは安いと思って買うと、レジで消費税が加算される。レシートをよくよく確かめると、他競合店より高い!
本体価格表示だけだと、消費税をプラスした計算が即座にできない。自慢じゃないが小学校以来、算数に弱いのだ。まして本体価格が増税以前の値段と同額だと、何をかいわんや値上げに他ならない。
こんな客をないがしろにした、姑息とも言える販売方法に、ただの文句すら言えない庶民の弱さを切実に考えざるを得ない毎日である。
消費税増税は必要なことは分かっている。ただ、消費者を混乱させる、価格表示の不統一は、なんとかならないものか。政府は、庶民の側に立っての利便性を考えた施策を進めてほしい。
(神戸・2014・4・24掲載)
4月以降、スーパーの買い物で、ストレスをため込んでいる。
消費税増税のせいだが、腹立たしいのはスーパーを筆頭にした小売店の対応。チラシでも各店頭でも、それぞれの店が異なる値段表示をしている。本体価格のみ、税込み価格とのダブル表記、税込み価格、プラス税併記……もう頭が混乱する。
以前は、複数店の値段を簡単に比較できたのにと思うと、怒りを抑えられない。これは安いと思って買うと、レジで消費税が加算される。レシートをよくよく確かめると、他競合店より高い!
本体価格表示だけだと、消費税をプラスした計算が即座にできない。自慢じゃないが小学校以来、算数に弱いのだ。まして本体価格が増税以前の値段と同額だと、何をかいわんや値上げに他ならない。
こんな客をないがしろにした、姑息とも言える販売方法に、ただの文句すら言えない庶民の弱さを切実に考えざるを得ない毎日である。
消費税増税は必要なことは分かっている。ただ、消費者を混乱させる、価格表示の不統一は、なんとかならないものか。政府は、庶民の側に立っての利便性を考えた施策を進めてほしい。
(神戸・2014・4・24掲載)
子どもたちに伝えたい美しい日本語
「はい、これはダイダイ色です」「違うよ、先生。オレンジじゃないか」
―保育園の保育参観に出向いたとき、目にした光景です。ほお笑ましいと言えばそれで済むのでしょうが、何となく気になります。
同じような調子で、子どもたちは続けます。モモ色はピンク、黒はブラック、粟生はブルー……赤色だけは、あかと答える子の方が多いようです。おうど色なんか、若い保母さんの方も使い慣れていないのか、ちょっと詰まったりなんか。それを観ていると、(日本語って、消える運命にあるのかn?)と、なんとなく情けなく寂しい気持ちになります。
姫路の幼稚園なんかでは、英語教育が取り入れられたりで話題になっていますが、日本語教育なんか取り入れているとこなんか、まずないでしょう。
どこかおかしいですよね。もっともっと、自分の国の言葉を正確に子どもたちに教えて身に着けさせる必要性を感じるこの頃です。
なにも英語教育が悪いとは思いませんが、母国語があまりにもないがしろにされているのではないでしょうか。
国が滅ぶのは言葉からなんてオーバーですが、世界でも最も美しいと思える日本語を、子どもたちに教え伝えたいと願うのは当然です。ほんと実利だけ求めた言葉って、味気ないですよ。
(神戸・1989・8・31掲載)
「はい、これはダイダイ色です」「違うよ、先生。オレンジじゃないか」
―保育園の保育参観に出向いたとき、目にした光景です。ほお笑ましいと言えばそれで済むのでしょうが、何となく気になります。
同じような調子で、子どもたちは続けます。モモ色はピンク、黒はブラック、粟生はブルー……赤色だけは、あかと答える子の方が多いようです。おうど色なんか、若い保母さんの方も使い慣れていないのか、ちょっと詰まったりなんか。それを観ていると、(日本語って、消える運命にあるのかn?)と、なんとなく情けなく寂しい気持ちになります。
姫路の幼稚園なんかでは、英語教育が取り入れられたりで話題になっていますが、日本語教育なんか取り入れているとこなんか、まずないでしょう。
どこかおかしいですよね。もっともっと、自分の国の言葉を正確に子どもたちに教えて身に着けさせる必要性を感じるこの頃です。
なにも英語教育が悪いとは思いませんが、母国語があまりにもないがしろにされているのではないでしょうか。
国が滅ぶのは言葉からなんてオーバーですが、世界でも最も美しいと思える日本語を、子どもたちに教え伝えたいと願うのは当然です。ほんと実利だけ求めた言葉って、味気ないですよ。
(神戸・1989・8・31掲載)
褒めるの忘れたばかなママ
4月に新1年生となった長女。入学までに字の書き方なんかをあえて教えていなかったせいか、見るに忍びないほどの乱れ字しか書けません。最初の参観日のとき、お友達の落ち着いた字を目の当たりにしました。
「しまったな。字だけでも書けるようにしといてやればよかったかな」
と、すこし後悔の念にとらわれた私でした。
だから、その後の長女が仕上げた宿題を見る際、字の汚さを注意してばかりでした。内心は「これじゃわたしも教育ママじゃないの。子ども成長は自然に見守ってやるのが一番なのに」と思っているのに、凡人の浅はかさなんですね。
そんなことを繰り返しているうちに、わたしは気付きました。あんなに見にくかった娘の字が徐々にまとまって来ています。
わずか2か月ほどしかたっていないのに雲泥の差の成長ぶり。わたしがしつこく注意してきた成果なのか、学校での先生の教えのせいなのか、と首を捻ったわたし。
結局、先生に軍配を挙げざるを得ませんでした。なぜって、ちゃんと娘がそう言ったのです。
「先生が褒めてくれるから、うんと頑張ったんだよ、わたし。褒めて貰ったら嬉しくて堪らないもん。もっと褒めて貰いたかったから、いっぱい、いっぱい頑張ったんだよ」
どうやら私は大事なことを忘れていたのです。娘の字の汚さに焦ったせいで、小言ばかり言ってしまっていたのです。
やっぱり子どもは褒めてやれば、とても素直に成長してくれるものなんだ。ごめんね、ナッちゃん。これからはお母さん、たくさん褒めてあげるからね。
(神戸・1990・6・25掲載)
4月に新1年生となった長女。入学までに字の書き方なんかをあえて教えていなかったせいか、見るに忍びないほどの乱れ字しか書けません。最初の参観日のとき、お友達の落ち着いた字を目の当たりにしました。
「しまったな。字だけでも書けるようにしといてやればよかったかな」
と、すこし後悔の念にとらわれた私でした。
だから、その後の長女が仕上げた宿題を見る際、字の汚さを注意してばかりでした。内心は「これじゃわたしも教育ママじゃないの。子ども成長は自然に見守ってやるのが一番なのに」と思っているのに、凡人の浅はかさなんですね。
そんなことを繰り返しているうちに、わたしは気付きました。あんなに見にくかった娘の字が徐々にまとまって来ています。
わずか2か月ほどしかたっていないのに雲泥の差の成長ぶり。わたしがしつこく注意してきた成果なのか、学校での先生の教えのせいなのか、と首を捻ったわたし。
結局、先生に軍配を挙げざるを得ませんでした。なぜって、ちゃんと娘がそう言ったのです。
「先生が褒めてくれるから、うんと頑張ったんだよ、わたし。褒めて貰ったら嬉しくて堪らないもん。もっと褒めて貰いたかったから、いっぱい、いっぱい頑張ったんだよ」
どうやら私は大事なことを忘れていたのです。娘の字の汚さに焦ったせいで、小言ばかり言ってしまっていたのです。
やっぱり子どもは褒めてやれば、とても素直に成長してくれるものなんだ。ごめんね、ナッちゃん。これからはお母さん、たくさん褒めてあげるからね。
(神戸・1990・6・25掲載)