朝早く、森に入りクヌギの大木を目指す。甘酸っぱい匂いに、蜂やカナブンがブンブン飛んでいる。慎重に近づいて行動だ。
クヌギの音から1㍍ほど上にうろがある。樹液はたっぷりだ。もう胸が期待でドキドキ。むろを覗くと、いたいた。クワガタが木の皮に入り込んでいる。木の枝をうろに突っ込んでほじくり出す。一匹捕まえた。
「ハサミ(ノコギリクワガタ)や!」喜びの声を上げる私をしり目に兄は勢いよく木を蹴る。バサバサッと降るように落ちて来た。
「はめ(マムシ)がおるかも知れへんで」
兄の注意に、笹の茂みに手を突っ込もうとした私は動きを止めた。慎重に足で笹をかき分ける。いた!ゴソゴソしている。「なんや、ボウズけ」兄の落胆の声。カブトムシのメスだった。オスに較べて値打ちは低い。やはり角を持った王様でないと……!
夏休み。兄と一緒に毎朝カブトムシを捕まえに走り回ったのを懐かしく思い出す。
クヌギの音から1㍍ほど上にうろがある。樹液はたっぷりだ。もう胸が期待でドキドキ。むろを覗くと、いたいた。クワガタが木の皮に入り込んでいる。木の枝をうろに突っ込んでほじくり出す。一匹捕まえた。
「ハサミ(ノコギリクワガタ)や!」喜びの声を上げる私をしり目に兄は勢いよく木を蹴る。バサバサッと降るように落ちて来た。
「はめ(マムシ)がおるかも知れへんで」
兄の注意に、笹の茂みに手を突っ込もうとした私は動きを止めた。慎重に足で笹をかき分ける。いた!ゴソゴソしている。「なんや、ボウズけ」兄の落胆の声。カブトムシのメスだった。オスに較べて値打ちは低い。やはり角を持った王様でないと……!
夏休み。兄と一緒に毎朝カブトムシを捕まえに走り回ったのを懐かしく思い出す。