大橋利用者も共に考えよう
瀬戸大橋は開通以来、騒音などの問題が表面化して、企業、国、自治体、そして地元住民らの間で思惑が交錯の末、紛糾に至っている。
その最中にJR四国が夏の臨時列車を瀬戸大橋線で一日最高10往復の増発を決めた。住民無視も甚だしく、反発は当然強まる。
しかし、いま表立っている問題は瀬戸大橋着工以前に当然検討されていた筈で、世紀の大プロジェクトの前にうやむやにされていただけの話だと思う。
これは過去にも新幹線や空港建設などの折りに見られた。国民多数の利便性、国際化への対応と言う大義名分の前には、地元住民の声は無きにも等しいのだ。
考えてみれば、JRと言う大企業の前で犠牲になろうとしている住民たちも、瀬戸大橋線を利用する人々も同じ弱者である。
一方を見捨て、自分たちだけが便利では心も落ち着きはしまい。
ここは相互助け合いの精神が必要だ。地元住民だけの力では対抗できなくても、利用者が足並みをそろえれば、企業側も無視できなくなるはずである。
ひとりの幸福を守ることが、万人の幸福を求めることになる。
今こそ「われ関せず」の態度を改めて、共に考え幸せを求める姿勢を作り上げる、言い機械ではないだろうか。
(朝日・1988・6・16掲載)
瀬戸大橋は開通以来、騒音などの問題が表面化して、企業、国、自治体、そして地元住民らの間で思惑が交錯の末、紛糾に至っている。
その最中にJR四国が夏の臨時列車を瀬戸大橋線で一日最高10往復の増発を決めた。住民無視も甚だしく、反発は当然強まる。
しかし、いま表立っている問題は瀬戸大橋着工以前に当然検討されていた筈で、世紀の大プロジェクトの前にうやむやにされていただけの話だと思う。
これは過去にも新幹線や空港建設などの折りに見られた。国民多数の利便性、国際化への対応と言う大義名分の前には、地元住民の声は無きにも等しいのだ。
考えてみれば、JRと言う大企業の前で犠牲になろうとしている住民たちも、瀬戸大橋線を利用する人々も同じ弱者である。
一方を見捨て、自分たちだけが便利では心も落ち着きはしまい。
ここは相互助け合いの精神が必要だ。地元住民だけの力では対抗できなくても、利用者が足並みをそろえれば、企業側も無視できなくなるはずである。
ひとりの幸福を守ることが、万人の幸福を求めることになる。
今こそ「われ関せず」の態度を改めて、共に考え幸せを求める姿勢を作り上げる、言い機械ではないだろうか。
(朝日・1988・6・16掲載)