難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

アメリカの難聴児への多角的な支援(エンパワメント)

2007年11月27日 22時52分24秒 | エンパワメント
071127_2226~002.jpg071127_1520~001.jpgサンフランシスコの風さんが、ハワイに移住して、初めてのメールが届いた。

引っ越したばかりで始めたのが、難聴の中学生の男子に個人教師をするという。
こちらも来年の始めに、難聴学級の先生と親に対して講演を頼まれているが、権利条約のインクルーシブな教育の方向は難聴児の場合、どういうもになるのか具体的なイメージが浮かばないこともあり、何を話すべきか迷っていることを伝えたら、早速返事がきた。

個人教室と言っても、自宅で教えるのではなく、難聴児の通う中学校で普通教科の先生や特別クラスの先生と個人別教育計画の策定に加わり、教室内で特別指導もするという、補助教員のようなかなり幅のある役割を持つらしい。

こうした対応が取れるアメリカの教育システムは、その資格や費用の負担はどうなっているのだろう。
聴覚障害者に対するカウンセリングの資格を持っている彼女にはぴったりたが。
我が国の難聴児教育はろう教育と違って当事者団体の関与はないに等しい。
我が国ではかなり重度の難聴児のみ難聴学級のクラスに編成され、聴覚活用だけを強いられて、難聴者としてのロールモデルを与えられていないような気もしている。


ラビット 記

…………………
ラビットさん
私の仮の仕事は内容によってはカナダバンクーバー大会まで続くかも知れません。

私が個人教師をするのは中学生6年生(アメリカの中学は6、7、8年の3年間)の男の子で、去年までは小学5年にいたので担任も授業も皆同じでクラスの規模も小さかったのでそんなに遅れが見られなかったのですが、今年に入って様々な専門教科とその数いる教師、クラスのたびにかわるクラスメートと教室、といった変化が原
因なのか、学力が急に落ち込んでいるのです。
先週と今日見学したところ、上記のような要因もさることながら、休み時間やお昼休みに友達と一緒にいないでぽつんとクラスにいるところを見ると、どうも難聴のため仲間から疎外されている?感じなのです。
それか、本人がうつ状態になっている可能性もあります。

いずれにしても私の仕事というのは、専門教科の先生方と協力して、彼のためにさらに補助チューターとして手話を使ったり、専門教科の先生にどういう風に話したら難聴児が聞き取りやすいかとか、補聴援助装置の正しい使い方とかを説明したり、場合によってはその子を教室の隅に呼び出して苦手科目のところを特訓してあげたり
、手話を教えたりとかなりフレキシブルな業務内容です。

特殊学級にも通っている子なのでそこの先生とも話し合って彼の特別プログラムをこれから考えるところです。

なお、これは日本でも最近始まった特別支援教育?だったか、そういう個人別教育プログラムと大いに関係しています。
その子のために年に最低一回は関わる教員すべてによる(それと親)個人教育計画ミーテイングがあります。私はそれにも参加して難聴者の立場から意見を言うことになります。

そうですね、小さいお子さんの場合、親がまず障害をどう受け止めているかでその子の受けられるプログラムがかなり決まってくる場合が多いです。

私が働く学校はかなり僻地なので、その子の親が難聴児学級の或る都会へ通わせたくないのです。何しろ片道バスで2時間かかるので。
ということで普通学級の中でなんとかがんばってくれという親の希望なのです。
障害が恥ずかしいとかそういうことではないのですが、ただでさえ気難しい12歳前後の中学生のことなのでどうなりますやら。

音入れのレポートして下さい。

ハワイの風より




【人工内耳】「ちょっと入院しています」と「勤務に復帰しました」

2007年11月27日 12時29分08秒 | 人工内耳
071113_1149~001.jpg人工内耳の手術に当たって、勤務先に以下のようなメールで説明をした。
あまり話す機会もない人も含めて、この際、説明文を送ったのは、手術後の正しい理解につながることを期待している。

シクラメンは、ある女子社員が面倒を見てくれていた。
クリスマス・プレゼントをしないと。


ラビット
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いつも、難聴の私にいろいろ気を使っていただき、ありがとうございます。
今日から、22日くらいまで入院しています。
人工内耳という聴覚器官の蝸牛内に電極を挿入して、音を鼓膜やあぶみ骨
などを経由しないで直接聴神経を電気信号で伝える装置を耳の後ろに埋め込む
手術を受けます。
入院は電極を埋め込むだけで、これに音の信号を加えるのは傷が治った後で
12月初めに予定しています。
補聴器と違って、微弱な電流で音を伝えるので、きちんと聞こえるようになる
まで1年から2年かかるそうです。
右の補聴器はそのまま使い、左側に人工内耳をするのです。

人工内耳による聞こえの仕組みのアニメーションがあります。
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難聴になると、有毛細胞が少なくなって、音の信号が弱くなっている様子が分
かります。
http://www.youtube.com/v/SmNpP2fr57A&rel=1
http://www.youtube.com/v/M_ADR9LpMmU&rel=1
http://www.youtube.com/v/ej3WYhQEuLY&rel=1
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入院中は、大変ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
窓際のミニシクラメン枯れないように時々お水をお願いします。

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おはようございます。

今日から出社していますので、よろしくお願いします。
術後の経過は良好で、予定より3日早く退院しました。
来月4日、5日に、音を処理するコンピュータ装置を接続して
聞こえを調整していくことになります。
数百ヘルツから1万ヘルツ以上の聴覚を22本の電極で補うので
すぐに聞こえるというわけには行かず、1年くらいのリハビリが
必要になります。
いろいろな音や会話を聞くということがリハビリになりますので、
その節はよろしくお願いします。





人工内耳の総合的開発の推進

2007年11月27日 08時19分48秒 | 人工内耳
070716_0715~001.jpg070819_1206~002.jpg人工内耳の総合的開発を呼びかける論文を見つけた。人工内耳はまだ開発途上であり、医学、工学、情報処理、福祉、教育の分野のエキスパートが集まって総合研究センターを設置して推進する構想だ。
この研究開発は海外の拠点とも連携する必要があることから国内に限らないとある。
非常に良い構想だが、2002年の執筆時から設置される方向になったのかは聞かない。ぜひ、実現して欲しいものだ。
http://www.star.t.u-tokyo.ac.jp/vr-lab/symposium/6th/kado.pdf


人工内耳は、総務省のe-japan計画にも出てくる。「新しい産業領域の開拓」の部分だ。人工網膜と同じような知覚的な聴覚構造を持ったデバイスでも開発するのだろうか。
http://www8.cao.go.jp/cstp/project/export/ITPT-A/ITPT2/shiryo.2-2.pdf


人工内耳装用者は「健常人よりも視覚情報を頼りに会話を理解することに長けていて、聴覚情報も組み合わせて会話を理解する能力も健常人より長けている」
という記述のあるブログに、それは知人を見ても実感している、今度は自分に興味があるとコメントしたら、すぐ返事があった。
http://blog.livedoor.jp/brain_network/archives/50757319.html


脳機能、言語部門の研究もある。装用者の積極的なデータ提供が不可欠だ。


ラビット 記





今日は人工内耳埋め込み後初めての診察

2007年11月27日 08時15分14秒 | 人工内耳
071113_1049~001.jpg071115_1746~001.jpg今日は、11月14日の人工内耳埋め込みから初めての診察日だ。
音入れは、来月4日から一泊で行う予定だ。


現在の手術後の状況は、左耳に耳鳴りが発生することと、舌の先の真ん中あたりがかすかにしびれていることだ。

左耳の耳鳴りはこれまで感じたことがなかったが、キーンという音やゴロゴロという音が聞こえるようになった。手術後はそんなに意識しなかったが、最近は毎日しょっちゅう感じる。長期にわたる麻酔の影響があるのかわからないが、麻酔の効果が消えるにつれ、耳の機能が活性化して来たのかもしれない。

味覚は、甘い、辛い、酸っぱい、しょっぱいなど感じることが出来るが、全体的に薄いかも知れない。舌の先の金属の味がそれらの味覚を妨げているかも知れない。

よく聞くめまいについては、余り感じない。車の運転も近距離だが普通に出来ている。音を入れた後はどうなるか分からない。

人工内耳を埋め込んだ部分は触ることが出来るようになった。耳の上部が少し膨らんでいる。触ってみると頭の他の骨の部分と感触は変わらない。ここだと思うが、今日確認しよう。

勤務先では、もう手術終わったのかとか聞こえるようになったのかとか聞かれるが、体内の装置を埋め込んだだけでこれから外部の音声処理装置を付けて、調整する等と説明する。

「病院から追い出されちゃったんですって」とすれちがった女子社員から声をかけられたので、えっどうして知っているのと思ったら、相変わらず声が大きいから部屋の端で他の人に話したことがみんなに聞こえていることが分かった。


体重は入院前は67.5Kgだったが65.0Kgだ。


ラビット 記