難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

難聴児の教育について

2007年11月30日 21時05分30秒 | エンパワメント
071111_1839~001.jpgハワイの風さんからの便りです

「成功する難聴者が持つ4つの特徴」というのは刺激的だ。
自分の体験を振り返っても、難聴は特別な障害でないこと、努力が必要なことは教わったが自信を持つこと、努力の具体的な方法は教えられなかった。

ろう者と違い、ピア・メンターやロールモデルになる難聴者との交流はない場合がほとんどだ。
中には血涙を絞るような努力をして、社会の一線にいる難聴青年もいなくはないが、コミュニケーション支援制度など社会資源の利用、開拓をせず、コミュニケーション・スキルの低いままでいる難聴青年の方が多いだろう。

普通に、社会の中で力を発揮できるように学校の中で力を身につけてもらいたい。エンパワメントで難聴者は力を発揮できる。


ラビット
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ラビットさん

昨日から明日まで、6年生のフィールドトリップで近くのキラウエア山へハイキングに毎日行っています。ハイキングコースがたくさんあるのです。一度ぜひいらしてください。


例の私が関わっている難聴の男の子のことです。

> アメリカの難聴の子供でも個人教授があるのですか?
難聴の為に学習が遅れてしまう点もあると思いますが、彼の場合、変な発音を笑われて以来友達ができずいつもポツねんとしています。休み時間なども一人でいることが多いです。
もしかしたら軽い欝か情緒障害があるかもしれません。授業にも身が入っていない様子。本当の学力はあると思いますが、勉強する気がでていない様子です。
難聴のために学習が遅れることは直接はないと思いますが、疎外感からやる気を失って徐々に学力低下、というコースは大いに考えられます。

私の役目はとにかく、私も難聴であるけど、情報保障さえちゃんとしてもらえば普通社会でちゃんとやっていけることを彼に伝えることだと思っています。

情報保障の一つとしての手話も言語の一つとして把握し誇りに思ってもらいます。クラスメートにも手話に関心を持ってもらうためいつでも手話を使っています。

勉強への意欲はこうした環境を整えてから初めて起こることです。聞こえないことをノーマライズする。
つまり聞こえなくても人間としての価値は減らない、ということを彼自身を含め周りのピアにも理解させること、が私の役目です。もちろん勉強も手伝いますが。


難聴児の親や先生方への講演会ではぜひ、上記のようなことに加えてセルフエステイーム 、ピアサポート、メンター、ロールモデルなど心理的側面についてもお話ください。

私も聴講(参加)してもいいですか。


先日送信されて来たHLAAのニューズレターに、今年のHLAAオクラホマ大会であったシンポジウムの記録がでていまして、それはまさに、一般社会にうまく適応し成功している難聴者の条件は何か、といったテーマでした。
パネラーの一人、クリコス博士の発言によれば、適応能力があって成功する難聴者には大別して次の4つの特徴があるといいます。

1)自覚と認識ーー自分が難聴であること、難聴がもたらすチャレンジ(障壁)の両方を認識している。

2)問題解決への責任を負うーー難聴になったのは自分のせいではないが、難聴であることから起こる問題に対しては自分に解決する義務があるという姿勢。
周りのせいにしない。問題解決への所有責任を持つ。

3)必要で適切な援助を周囲に求めるーー問題解決のために行動を起こす。つまり、周囲(カウンセラー、友人、家族など)にヘルプを求めたり、新しい知識を学ぶ(本、後援会
> 、ピアサポートグループなどに参加する)。

4)外交的、楽観的、リラックスしているーー難聴だからといって人間としての価値は減らないという自尊感情(セルフエステイーム)を持っている。心配したり悲観ばかりしない。

クリコス博士がいうには、上記の4要素を持っているかどうかは聴覚障害の軽重に全く関係ない、ということです。
難聴の度合いが軽くても悲観的で落ち込む人はいるし、重度の聾者でも立派に社会で適応できている人がいるのを見れば明らかですね。


こういった4条件を備えるには、障害の程度よりも性格と難聴になった年齢がむしろ関係しているといいます。そして、積極的な家族や友人のサポートがある難聴者の方がより適応能力が優れている、ということです。

ということは!!!難聴児には明るい未来がもう開けているのです。若いうちから難聴なのでそれだけで適応能力が備わっている、ということです。
それに、両親や周りの人の難聴に対する態度次第(周りのサポート)ではいくらでも楽観的、積極的な大人になれるということです。

いまから悲観しているご両親へは叱咤激励をしてあげなければなりません。
難聴児にいくら優れた積極的な資質があっても親がそれを潰してしまうようじゃ元も子もありません。

ロールモデル、メンター、親の積極的楽観的な態度、サポートすべて必要です。
そういう社会環境を小さいときから作ってあげることが親としての最大の責務と思います。


おっしゃるとおりで日本の難聴児教育はいまだに補聴器のフィッティング、人工内耳、スピーチ訓練ばかり科学的な面ばかる強調していて片手落ちです。
心理的社会的側面を取り入れたバランスのとれた教育システム、養育環境を確立することが急務です。


ハワイの風




JDF国連障害者の権利条約セミナー

2007年11月30日 16時21分52秒 | 権利
070716_0742~001.jpgJDFセミナーの案内が来たので紹介する。


ラビット 記
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■1.12月5日、JDFセミナー開催
<JDFからの案内>
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日時 :2007年12月5日(水)10:00~16:00
場所 :中野サンプラザ コスモルーム
http://www.sunplaza.jp/access/
(中野区中野4-1-1TEL:03-3388-1151)
定員 :200名
参加費:1,000円(介助者は無料)

テーマ「障害者権利条約と国内法整備」
~批准に向けた各分野の課題はなにか? 教育・労働を中心に~

 昨年12月13日に国連総会において障害者の権利条約が採択され、日本も今年9月28日に署名を行いました。
現在政府では、批准に向けて関連する分野の国内法の整備を進めていますが、我々は権利条約の理念がどのような形で国内法に反映されるのか非常に大きな関心を持っています。
 今回のセミナーでは、教育と労働の分野を中心に、権利条約の理念を国内法に反映させ、真に差別のない社会を実現させるための方法について、参加者とともに考えて行きたいと思います。

・申込方法 下記ホームページから参加申込みができます。
または文末の事務局にお問い合わせください。
http://www.normanet.ne.jp/~jdf/1205/

・プログラム(敬称略)
10:00 開会挨拶 小川 榮一(JDF代表)
10:05 基調報告 森 祐司 (JDF政策委員長)

10:30 特別講演 厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課長
         文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長

12:00 ~ 昼休み ~
13:00 パネルディスカッション
     コーディネータ 藤井 克徳 (JDF幹事会議長)
  パネリスト  厚生労働省障害者雇用対策課
           関係省庁より(依頼中)
           大曽根 寛 (放送大学教授)
          平野 みどり(熊本県議会議員/DPI日本会議副議長)
            大久保 常明(全日本手をつなぐ育成会常務理事)
  コメンテータ  東 俊裕  (JDF権利条約小委員会委員長/
元権利条約特別委員会政府代表団顧問)
     指定発言あり

16:00 閉会
 *プログラムは変更することがあります

・申込先・問合せ
  JDF事務局 原田、松田
  電話: 03-5292-7628 Fax: 03-5292-7630
  E-mail: jdf_info@dinf.ne.jp
  http://www.normanet.ne.jp/~jdf/1205/
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●高岡理事長のメッセージ

 JDF国連障害者権利条約のセミナーに参加をしましょう。
12月5日、日本障害フォーラムJDF主催の障害者権利条約に関するセミナーが開かれます。

 日本政府は、9月28日にニューヨーク国連本部で昨年12月13日に採択された「国連障害者の権利条約」に署名しました。

このことの意義の1番目は、普通の人と同じ基本的人権を持つこと、人間としての尊厳が守られるべきことが条約(国際法)として明確に打ち出されたことです。この障害者の権利条約は高い理念を示すとともにそれを実現するための国と社会の義務も示しています。また、障害は身体的、知的、精神的障害を持つ人と社会の理解と障
壁との相互作用により発生することを打ち出しています。

 2番目の意義は、我が国の障害者の基本的権利を実現する法的な礎がおかれたことです。難聴者、中途失聴者にとっても、難聴者等の利用するあらゆる手段、様式がコミュニケーションとして定義されたこと、合理的配慮の否定が差別になること、情報などアクセシビリティの保障などの条項は、教育、就労、文化等生活全般にわた
る私たちの権利を実現するためにも重要なものです。

 3番目の意義は、コミュニケーションを含む難聴者問題が国、行政、一般社会、障害者組織等に理解され、解決されるきっかけになるということです。今後、難聴という障害の国際生活機能分類ICFによる定義をすることを通じて、社会に正しく認識してもらうことと関係機関、関係団体等と難聴者の権利を守る具体的な施策を打
ち出す必要があります。

 4番目に、この条約は世界の障害者運動と各国の努力によって結実されたことです。
全難聴と国際難聴者連盟は短期間ながら集中した力を合わせることで難聴者等のニーズを条約に反映させることが出来ました。

 今後、この条約の画期的な内容と署名の意義を一人でも多くの会員にそして社会、行政に説明して行く必要があります。社会の理解こそ、私たちの権利実現の基礎です。

 この権利条約の内容をよく理解するために、各協会は参加をお願いします。
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観光ツアーの難聴者の情報保障

2007年11月30日 08時14分26秒 | バリアフリー
071127_1518~002.jpgJTBが難聴者向けのツアーの企画を発表した。
少し、遅きに失した感があるが、高齢化社会の中で大きなニーズがあると思う。

全国の難聴者協会は、会員の旅行を実施する場合には、添乗員と要約筆記者と協力して、ガイドの内容や集合時間等の連絡はホワイトボードなどを使って伝え
ることはもちろん宴会の場での要約筆記も手配したりしている。
各地では多彩なノウハウがある。例えば、移動するバスの中でホワイトボードに筆記するのは困難なので事前に紙に書いておいたりするが、OHC(オーバ
ヘッドカメラ)を使って、平らな場所で筆記したものをバス内のテレビに映す方法やあらかじめ書いたものを字幕としてビデオに収録してガイドとともにバス
内のテレビに映す等の方法も実際に行われている。
また、磁気ループを車内に設置することも行われており、一部の観光バスには磁気ループがついたものがある。

全難聴が行った国際難聴者会議の観光ツアーで好評だったのはワイワレスガイドだ。ガイドが話した声を無線で参加者に聞くのだが、イヤホンの代わりに首に
かけるループで聞く方法だ。これは、大きな声を出さなくてすむし、離れていても聞こえるので最近は普通の観光ガイドでも使われている。

今後は、普通の企画のツアーに難聴者が一人で参加した場合も、情報保障を行うだけでなく、参加者からも協力がが得られるように、ツアー会社が社会と参加
者に啓発することとも必要だ。


ラビット 記
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> -JTBバリアフリープラザ、ハーモニー補聴器と共同商品を発表-
> ふくしチャンネル (会員登録)
> 手話通訳を必要としない中度・軽度難聴者向けのツアー企画は初めて。
> 補聴器を使用している人々は現在全国で200万人前後いると言われている。その多くは高齢などの理由により聴力が落ちるなどで、音を補うために補聴器
> をつけそれを頼りに生活をしている人々が中心。 ...
> http://www.fukushi.com/news/2007/11/071102-a.html>





早稲田大学の聴覚障がい学生への支援

2007年11月30日 08時14分13秒 | バリアフリー
071123_1530~001.jpg早稲田大学の障がい学生支援室のwebを見た。
http://www.waseda.jp/student/shienshitsu/chishiki/chokakusyougai/index.html

聴覚障害を持つ学生に様々な支援がある。
ノートテイクの説明に、「記録として書くのではなく、「今、何が話されているのか」を書きます。」と同時性を目的とした情報保障の手段であることが説明
されている。記録や音声教材の文字起こしは別の支援手段として整理されている。
これは、東大の場合も同じだ。手書きとパソコンによる文字化は別に考えられている、また別途テープ起こしをしたものを提供すると言う。

要約筆記は、その場の情報保障をするための「通訳」として機能しているものだ。要約筆記に、より多くの文字を表示するとか固有名詞もとか話しの趣旨に関
わらない要求をすることは「通訳」として機能しなくなる。要約筆記は要約筆記なので、記録や音声の文字表示の要求は別途考える必要がある。
要約筆記は文字通訳であり、話し言葉の文字化は字幕制作や文字表記とでもいう情報「保障」手段だ。


ラビット 記
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> 多くの参加者でにぎわった。「ダイバーシティ・カフェ」 (ICC国際コミュニティセンター)
> 早稲田ウィークリー
> 例えば、補聴器具を使用している場合でも、器具はすべての音を同じに増幅させるので、雑音が入ると先生の声が聞き取りにくくなってしまう。つまり、私たちが発する何気ない私語や足音によって授業に困難が生じているのである。
> 先日ICC(国際コミュニティセンター)で ...
> http://www.waseda.jp/student/weekly/contents/2007b/140h.html