難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

大学病院の補聴器外来の問題点

2008年01月27日 21時37分27秒 | 生活
080117_1105~001.jpg080110_0715~001.jpg大学病院の補聴器外来の補聴器選定の問題点

補聴器販売店で直接購入するのと違って、大学病院の補聴器外来で調整される場合、耳鼻科医の診察のもとで、補聴器の適合を受けることになる。

1.補聴器販売業者は医師の監督下にあるかどうか。
医師は診察をするが、補聴器の調整(フィッティング)や操作などの説明は業者に任せている。
A大学病院の補聴器外来は、初診を経て、担当医と聞こえの問題を説明し、補聴器の適応となれば、言語聴覚士による聴力検査を受けて、適切な補聴器を選定してもらって、一定期間の試聴後、処方される。
イヤモールドの型取りは医師が行ったが、イヤーモールドの作成は補聴器販売業者だ。補聴器販売業者が補聴器の装着や使用方法を説明する。

医師は、患者を診察し、聴力検査結果から、補聴器を選択し、販売業者に用意させる、高度難聴用ならイヤーモールドが不可欠なので耳型採取と作成等を指示する。
障害者自立支援法の機種と対象外の機種がある場合に、両方とも試聴ができるか。
A大学病院の業者は、支援法対象の機種を希望したら「試聴は出来ない、買い取りになる」と言った。補聴器の装着や説明を受けるのは診察室の隣の部屋で、医師の見えないところなので、どういう説明をしているか医師は知っているのだろうか。

支援法対象機種が自分の聴力に出力が不足しているとか騒音の中でも良く聞こえる機能がないとかという理由なら納得も出来るが、支援法の機種は利幅が少ないからという理由で試聴を断るということは、補装具の給付により障害者の自立を支援する法の趣旨にも反するし、もっと良く聞こえるようになりたい、もし合わなかったら自費で高額の補聴器を購入しなければならないという難聴者の心理や不安に付け込み、結果的に高額の補聴器の購入に追いやることになる。

2.医師はメーカーと機種をどうやって決めるか説明が不十分
大学病院には日替わりで複数の販売業者が入っている。どの補聴器メーカーの機種を選定するかは特に希望を言わなければ医師の指示によることになる。

患者は、難聴に関わる治療を受けていたり何らかの理由があって、補聴器外来を受診しているのだろうが、聴力を取り戻すために補聴器を装用すること、補聴器自体に知識がない人が大部分だろう。難聴の種類に付いても知識がないかも知れない。


3.障害者自立支援法の申請が出来ることを助言されるかどうか。
障害者自立支援法で補聴器購入の補助が受けられることは一般には知られていない。補聴器メーカーのカタログにも、「福祉法対象機種」は小さい文字で印刷されていて目立たない。
補聴器販売店でも、顧客に対して身体障害者の手帳交付を受けて申請したら良いとはしにくいのではないか。理由は、顧客自身が「身体障害者」とされることを受け入れないかも知れないからだ。
「福祉法対象機種」ではなく、「障害者自立支援法対象機種」とあった場合、我が国は障害者であることをマイナスに受け止めることが一般的なので、顧客は「断る」かも知れない。

医師は、患者に対して聴力レベルが判明した時点で、支援法の補助について説明することになっているのだろうか。病院内にはそうしたことを説明する掲示も 資料の配布もない。補装具購入の補助申請は、障害者の「権利」なので、知らされなければならないが、医師から見れば、それは行政の役割ということになるのだろうか。

障害者自立支援法対象の機種なら、市町村に医師の意見書等を付けて補助を申請することになる。同法対象機種でなくても、いまは補助なので差額を負担すれば適切な機種を選定できる。

4.補聴器販売業者の資格は明示されていない。
医師の監督のもとで、補聴器のフィッティングを行っている場合、補聴器技能者の資格とかの明示はなかった。逆に、資格を持っていなさそうな人まで白衣を 着用して、医療担当者であるかのような誤解を与えかねない。
大学病院の中の補聴器販売業者は店舗ではないので、「認定補聴器専門店」の看板を掲げることが出来ない。
http://www5.techno-aids.or.jp/nintei.php
認定店なら、適切な設備や顧客管理、他の接客している顧客との区分などが示されているが、病院の中はそうなっていない。


補聴器は元々一人一人の聞えに合わせてフィッティングして聞く商品で、薬事法でクラスⅡの管理医療機器として、販売方法が厳しく規制されている。
日本耳鼻咽咽科学会も医師の管理下で補聴器を購入されるべきことを基本方針にしている。
また補聴器販売側も業界の自主組織の認定補聴器専門店が組織され、(財)テクノエイド協会の認定補聴器技能者制度が発足し、日本補聴器販売店協会の憲章や日本補聴器工業界の倫理綱領にも難聴者の保護がうたわれている。
http://www.jhida.org/intro/kensyo.html
http://www.hochouki.com/about/code/index.html

大学病院は診療が医学と医療の発展に資するために提供されて高い公益性がある。病院と販売店、医師と業者、認定補聴器技能者との関係を明確にしないと、患者の医師と補聴器技能者に対する高い信頼を揺るがしかねない問題になる。


ラビット 記



白鵬の優勝とテレビの字幕放送

2008年01月27日 17時49分34秒 | 生活
080127_1728~001.jpg080127_1729~001.jpg大相撲の結びの一番で白鵬が朝青龍を破って、優勝した。

テレビの前で、家族は悲鳴をあげたり、拍手をして、観戦していた。

取り組みは字幕放送で解説も分かり、臨場感も増して良かった。
内閣総理大臣杯の授与のあと、土俵上で優勝力士のインタビューに、白鵬が期待に答えられて良かった、次は四連覇が目標だと力強く答えていたのが印象的だったがこれま字幕放送があったからだ。

家族は皆難聴だが、字幕放送のお陰で手に汗を握ることが出来た。


ラビット 記



人工内耳装用後初めての聴力検査

2008年01月27日 13時33分54秒 | 人工内耳
080117_1051~001.jpg080117_0934~001.jpg*人工内耳装用後初めての聴力検査

人工内耳を12月5日から装用して、1月3日で30日、1月24日で50日目。この日、装用開始後初めて聴力検査を受けた。何度も行った聴力検査室で、 純音の検査から始める。人工内耳のマップは言葉もある程度聞こえていたP4を使う(V4S12)。補聴器はSUMODM(V3.5)。
その後、人工内耳だけで単音、単語、文章と聞き取り検査を行う。左耳は人工内耳をする前、11月13日までは補聴器をしていたが、その後は人工内耳だけだ。

「あ」の後にア行のいろいろな言葉を聞き取る。「あま」、「あな」、「あは」、「あか」、「あば」、「あた」、「あさ」、「あや」、「あら」。全部似た音に聞こえるので判別しにくい。「は」、「か」、「よ」、「つ」という単音の検査をした。
「め」が「ね」にも「え」にも「へ」にも聞こえる。
文章のテストは、「今日は小学校の運動会だった」のような短文だったり、「朝から雨だったが、昼には上がりそうだ」のような複文だったりする。割と早口だ。

結果は、次回の時に分かるが、補聴器の時よりはかなり下回っているだろう。STは「期待していたほどではないと思っているかも知れないが、まだ50日目。しかも新しい補聴器と併用だから、まだ、まだ、まだ、まだ。」と言ってくれた。


この間、マップは何度も作り替えたが、1月17日は全く違うマップを使用始めた。
違うというのは、マップの設定画面でみるとそれまでのは左の22CH側は左下がりになっているが真ん中が上に盛り上がった山形のカーブを描いていたが、その新しいマップはほぼフラットになったということだ。
このマップを常時聞くにはうるさ過ぎるP3に入れ替えて聞いていた。しかし、ピーピーキキーというのは少し聞こえるが言葉の部分が何も聞こえない。
聴力検査の後、少しレベルを上げてもらったのを再度P3に入れた。会社以外は、できるだけ補聴器を切って人工内耳だけで聞いて下さいという。人工内耳で 聞くと言うのが大事で、ループで聞こうがTモードで聞こうがとにかく人工内耳で話しを聞いて脳を馴らすのが大事だということだ。人工内耳も装用して聞いていれば意識していない場合でも脳は何かを得ているのだろう。


今朝の朝日新聞のBeに興味ある記事が掲載されていた。耳→脳だけではなく、脳→耳の機能があるということだ。

「脳は私たちの意識に上らないところで、中断の前に得られた情報で次を『予測』している」、「これに対し、「脳→耳」という流れがあることが最近、脚光を浴びている。それまでに得られたいろいろな特徴を絞り込んで検討して音源等を予測するといった仕組みだ。そこでは「当面は無関係」と思われたデータはあったとしても無視される。耳に入る音の全てが聞こえる訳ではないのはこのためららしい」(朝日新聞2008年1月27日「Be」s2面)。

聴力検査でも、私が補聴器側から低い音が聞こえ人工内耳側から高い音が聞こえると言ったが、低い音も入っているとSTは言っていた。脳が音を補完している。
浜崎あゆみさんも片耳失聴でも聞こえていたときの曲の音を補完しているのかも知れない。


ラビット 記