10月。タイヤを入れ替えたのでオフロードでの走破性をたしかめるために栗原川林道にでかけた。栗原川林道は去年も走行しているのだが、群馬県にある関東で最長の林道である。
国道122号線沿いにある道の駅くろほねやまびこに近づくと雨が降ってきた。山にのぼってゆくと雨が降りだしたので、大間々の駅まで下ってやり過ごすことにする。駅の周辺はまったく雨粒は落ちていないので、局地的な降雨だった。
仕切りなおして道の駅くろほねやまびこにゆく。昼食用にカップめんを持参していて、林道のどこかで食べようと思っていたので、ここでおにぎりを2個を買い足しておいた。おばあちゃんが作った赤飯のおにぎりで漬物付きのパック入りだ。
道の駅のすぐ先で県道62号線にはいり、北上して根利にある林道の入り口の鹿避けゲートに到着した。この手前からダートがはじまるがかなり荒れている。轍がふかくて去年とは様変わりしていた。
12時半にゲートをあけて中にはいった。
ゲートの先は落ち着いた路面だ。
しかしすぐにクレパスがあらわれた。雨水で枝や落葉が流された跡がある。台風24号が通過したばかりだったのだが、都市に住んでいると風水害の被害に鈍感になってしまうのだ。
路面は荒れだした。道は流水でけずられており、大粒の石がころがっていて走りづらい。そして砂が堆積しているところもあって、フロント・タイヤをとられて何度も転びそうになった。BSのタイヤはこれまでのミシュラン・シラックよりもトレッドが深いのだが、オフでの感触はたよりなく、空気圧が高すぎるのかなと思ったりした。
5キロすすんで広場をぬけると、倒木があらわれた。しかしここは道路の端、上の画像の右を通過することができた。倒木を通過した後で振り返って撮影している。
倒木をよけてすすむ。
路面はぬかるんできた。
また倒木があらわれた。ここで下ってきた2台のバイクとすれ違う。ヤマハの古いテネレと250のオフロードで、彼らとは会釈をかわしたが、ナナハンクラスのビックオフにはきついだろうなと思ったりした。
2台のバイクが去った後で倒木をくぐりにかかる。ここは道路の右端をぬけるしかないのだが、ここがぬたっていて、バタ足ですすもうとするとリヤ・タイヤが空転するので、アクセルをもどすとエンストしてしまった。この足場のわるい場所でサイド・スタンドをだしてキックし、またバタ足でここをぬけるが、これで息があがり、大汗をかいてしまった。水をかぶ飲みする。
倒木をこえたところでフロント・タイヤの空気圧を下げ、買ってきた握り飯を思い出してリヤ・ボックスから出そうとすると、振動でバラバラになっていて、それを立ったまま食べた。このあたりで引き返せばよかったのだが、そう考えることなくすすんでいった。
先にゆくとさらに道はひどくなった。道路全体が崩壊し、川原のようになっている。ここにいたってようやく台風の被害の大きさに思い至った。ここは安易に入れないので歩いてルートを確認しにいった。
路面は流失してしまったところと、のこっている部分がある。右はきびしく、左側は走行可能だ。
川原のようなところは避けてすすめば通過できそうだ。ただし乗るのは無理で、エンジンをかけて、クラッチをつなぎながら押しでゆくことにした。上の画像で、むかって左をすすみ、真ん中のクレパスが落ち着いたところで右に移動してこの悪所をのりこえた。ホッとしているとグラストラッカーがやってきて、ライダーは乗ったままここを下っていってしまった。
この付近で2台のバイクにぬかれ、また下ってきたバイク2台とすれちがった。ライダーは何人も林道に入っていたのだ。すすむとさらにひどいところが待っていた。またしてもバイクではすぐに進入できないので歩いてようすを見にゆく。ここを上ってゆくのだが、ここも押しで突破した。
道路が決壊しているところがあったがここはバイクに乗ったまま通過することができた。
その先の沢が石をたくさん押し出したところでバイクを倒してしまった。これは渾身の力でオートバイを引き起こした後の画像である。バイクが倒れているところはとても余裕がなくて、写真はとれなかった。
左から沢が流れているのだが、それが増水して石で路面をおおったのだ。このゴロゴロ石の路面をバタ足で抜けようとしたら、左に倒れそうになってしまい、それはなんとか耐えたのだが、次に右に傾いたときにささえる体力がのこっていなくてたおしてしまった。
倒してしまった場所をふりかえる。バイクをおこすことができたが腰をいためてしまった。バタ足ではなくここも押せばよかったのだと後になって思った。
もうすすみたくはないのだが、そろそろ皇海山の登山口で、そこまでゆけば道は落ち着くのではないかと考えてすすむと、またしても道路は崩壊している。
路面の崩壊と決壊がひどい。ここもバイクをとめて歩いて路面をみている。
バイクを押す体力も、先にすすむ気力もなくなった。
それに距離はかせげず皇海山の登山口までまだ10キロはありそうだ。
こんな道を10キロ以上ゆくのはもう不可能なので、引き返すことにしたが、バイクを倒してしまったところと、ヌタヌタでエンストしたところなどをまた通ると思うと憂鬱な気分になった。
押して上ったところは同じようにバイクをおりて押しで突破した。そしてバイクを倒してしまったところに戻ると、ホンダCRFが横倒しになっていた。ベテラン・ライダーのCRF氏はこの直前にも転倒していて、そのときにバイクをおこすのに体力を使い果たしてしまい、仲間がもどってくるのを待っていた、と言う。私もここでバイクを倒してしまい、腰をいためて引き起こしたばかりなので、人事ではない。CRF氏をてつだってバイクをおこした。
CRF氏の仲間がもどってきた。ふたりにてつだってもらって押してゴロゴロ石の難所をこえた。ふたりはまだ先にすすむそうだが、CRF氏はいきたくなさそうだった。ふたりの前でエンジンをかけると、こんなでかいバイクでよくここまできたな、しかもキックか、とCRF氏がつぶやいていた。
帰りは下りなので、思ったほど苦労せずにもどることができた。
ヌタヌタもバタ足で通過する。
ゲートまでもどってきた。よく見ると通行止めの看板がでている。
今日はブーツをはいてきたが、足下をかためてきてよかった。
林道入口の目印、皇海山登山口の看板。
持参していたカップめんを県道62号線でたべた。
そして国道を走っていると、カチャンと何かがバイクからおちた。なんだろうと思ったらシフト・ペダルだ。
こんなことってある? バイクに30年以上乗っているがはじめてだ。どんだけ整備不良なんだと思われるよね。
シフト・ペダルを取り付けようとするが、かたくてセットできないので、タイヤ・レバーをつかってたたいて押し込んだ。日が暮れる直前だったので、まだよかった。暗かったらもっと苦労したはずだ。こんなおまけまでついて栗原川林道のツーリングはおわった。林道が全線で整備されるのは来年になるのではなかろうか。現在、吹き割りの滝側からは皇海山の登山口までは通れるようだ。