10日目。島根県の道の駅、むいかいち温泉の朝。新しくて大きな道の駅だ。7時に起床した。天候は晴れ。気温はひくくてフリースを羽織った。
道の駅には温泉が併設されている。できたばかりのようだから混んでいなかったが、そのうち人気になるのではなかろうか。
いっしよに車中泊をしたのは首都圏ナンバーのハイエースがおおかった。
カップめんの朝食をとり出発する。
向かったのは広島県庄原市にある倉田百三文学館である。ナビによると一般道では3時間、高速だと1時間10分とのことで、中国道でゆくことにした。朝は肌寒かったが庄原では半袖でよいほど気温は上昇した。
倉田百三は『出家とその弟子』という作品で名高い。出家とその弟子は作家が結核にかかり、死を見据えて書いた、浄土真宗の親鸞を主人公とした戯曲だ。哲学的で慈愛にみちており、感銘をうけた記憶がある。(ご興味のある方は別ブログの『出家とその弟子』をどうぞ)。
倉田百三文学館があるのは田園文化センターという建物で、図書館などといっしょになっていた。
2008年の四国・九州ツーリングの際に庄原を通りかかって文学館のことを知ったのだが、そのときは時間がなくて立ち寄れなかった。
いちばん見たかったのはフランスのノーベル賞作家のロマン・ロランからの手紙である。
ロマン・ロランはジャン・クリストフや魅せられたる魂、またベートーベン研究などで知られる、私の敬愛する作家だ。出家とその弟子を読んだロランから手紙がきて、ふたりの文通ははじまったとのこと。
倉田百三の出家とその弟子も好きだが、なによりロマン・ロランの手紙がみたかった。手紙はロランが病気との誤報で百三がおくった見舞いにたいする返事などだ。手紙はもちろん複製だが、全文ではなくて、一部しか展示されていない。すべてが読めないのが不満だった。
百三の著書。
さまざまな版の出家とその弟子。時間をかけて展示物をみた。文学館のあとで図書館をのぞいてみたが、倉田百三の本が書架になかったのが残念である。
昼食は広島なのでお好み焼きにした。庄原市役所の前にあった『ほっ』という店にはいることにする。
店内は7分の入りで、焼き台の前の特等席があいていたので、ここに腰をおろした。ご主人が調理をして奥さんがホールを担当するお店だ。ご主人は手際がよくて、奥様はとても親身な方だった。
私はここでしかたべられない、庄原焼きのネギトッピングにした。
庄原焼きはそばの代わりにお米をつかい、ソースでなくポン酢でたべるのだそうだ。米はしょう油味の焼きおにぎりとのこと。たべてみるとチャーハンのような感じだ。ポン酢をかけるとポン酢がつよくなるので、だされたままが美味しい。庄原焼きはご主人が考案したそうで、この土地の名物になっているとのこと。
家内はカキ入りの広島焼きをえらんだ。こちらはそば入りのソース味で、オーソドックなもの。
お好み焼きだけでは物足りない気がしたので焼きそばもおねがいした。焼きそばは辛口で濃い味つけ。玉子をくずすとマイルドになる。辛いけど最近食べた焼きそばでダントツだった。つぎにいったら私はまた庄原焼きと焼きそばにする。家内は広島焼きにするそうだ。料金は2280円。☆5点満点平均3点で、3、8点。