3日目。3時半に船内放送が入った。小樽の天候は晴れ。気温は17℃で、船は定刻の4時半に小樽港に到着予定とのこと。向かいのベットのライダーはまだ寝ている。飲みすぎではなければよいのだが。トラック・乗用車から下船がはじまり、4時40分にフェリーをおりた。
小樽は雨上がりなのか路面がぬれている。札樽道にのると道路はかわき左に石狩湾がひろがった。胸のすくような広々とした風景だ。それを見て北海道にきたなとあらためて思った。大都会の札幌を走りぬけて輪厚PAで休憩する。北海道のPAやSAにはトイレしかなかったが、ここには店が2件もできていた。
苫小牧港のマルトマ食堂にやってきた。北海道の初日の朝食はここのホッキカレーと決めていたのだ。
しかしなんと休み。
日曜日は休業のようだ。ガッカリ。
そこで近くの市場にゆくと朝の6時前からやっているお店が1件だけあった。茶湖というラーメン屋だ。
ここにホッキカレーがあると店頭に写真がでていたので入ることにした。
でてきたホッキカレー680円。ホッキの薄いスライスが4・5片しか入っていないもの。マルトマ食堂が休みの日で客をつかむチャンスなのに、目先の利益しか考えていない、志のひくい商売をしている。これでは観光客しか利用しないだろうし、リピーターもいないだろう。これが2019年の北海道ツーリングでいちばん残念な食事だった。
日高自動車道で新冠にむかうと、道路の左手の湿地からトンボがわきだすように飛んでくる。おびただしい数のトンボたちが道を横切るので車にバチバチと衝突して、アクセルをゆるめてしまうほどだ。速度をおとしていると後続の車が追い上げてくるので、トンボのことは考えないことにした。日高自動車道から国道235号線とつないで新冠のサラブレッド銀座PAにやってきた。道道沿いにあるPAだ。
PAの前には牧場がひろがっている。新冠の市街地に道の駅もあるのだが、ここのほうが空いているだろうと考えて車をとめることにしたのだ。
バイクをおろしていると若いパパに、すごいですね、バイクを積んでるんですか、と話しかけられる。北海道はやっぱりオフロードですか、と。ハイエースの隣りのワンボックスにはリタイヤしたご夫婦がいて、昨日までは雨でこんなに青空なのは久しぶりだとおしえてくれた。おふたりは47日間北海道にいるそうだ。また新冠出身のリタイヤした女性が、私のナンバーを見て話しかけてきた。家が近いのだ。女性は年に何度か空き家になっている実家を見にくるそうだが、新冠の人はサラブレッドが誇りなのを話していて知った。私は競馬には興味がないので、馬のことなど考えもしなかった。いずれにしても車からバイクをおろしているといろいろな人に話しかけられる。ただライダーは一切よってこないんだよね。
新冠湖につづく新冠林道が今日の目的地だ。新冠湖の先にある奥新冠発電所まで片道39、5キロ、往復で79キロのダート走行ができるのだ。しかも北電が管理しているので幅広のフラット・ダートがつづくとのこと。さっそく走りだすとサラブレッドの牧場がおおい。優駿とかかれたところもあって気になるが、まず林道にむかう。しかし道をまちがえてディマシオ美術館にでてしまった。
正しいルートにもどるが、道路案内に新冠湖やイドンナップ山荘などのわかりやすい表示はない。それでまた道をまちがえて林道に入るとものすごい急坂があらわれた。
画像では急に見えないかもしれないが、この坂はすすめないと判断して停止したほどだ。
歩いて先を見にゆくと急坂がずっとつづいている。
振り返って坂の上からバイクを見る。ここは進めないと判断して引き返すことにしたが、バイクを切り返してUターンさせるのにたいへんな力が必要だった。そしてバイクの向きを変えたが、サイド・スタンドではバイクが倒れてしまうほどの急坂なので、坂が落ち着く地点までオートバイを押してゆき、そこでキックしてようやく走りだせた。ヘルメットをかぶったままなので汗をかいてしまう。いずれにしても楽しみにしていたロング・ダートがこれで終わってしまったのかと思って落胆した。
しかし北電が管理する、工事用のトラックなどが走るフラット・ダートが狭い急坂のはずがない。地元の牧場の方に道をたずね、もどって看板を確認した。上の画像では手前からきて左にすすんだのだ。右上の高い看板には農業用車道路、泉神社大森線と書かれていたので、右にゆかずに左にすすんだ。
バイクのすぐ上の看板は左がポキャップ沢方面で右は岩清水アプカシャンペ線とある。新冠湖の手前に岩清水ダムがあるのでこちらにゆくことにした。しかしこの看板にある岩清水アプカシャンペ線は、何かの上に上書きされているね。
すすむと幅広ダートがあらわれた。ゲートは開いているが先で通行止めとある。しかし行けるところまで走ってみることにした。
フラット・ダートが林の中につづく。
しかし3キロでゲートがあらわれた。
林道は二股にわかれていて、いずれも閉鎖されている。左が正しいルートのようだが建設会社名で通行禁止とあった。ゲートに鍵はかけられていないが、無断で進入するのはやめておく。帰ってからしらべてみると、新冠林道は昨年の大規模崩落で通行止めになっているようだ。開通の目途はたっていない。それで看板が上書きされていたのだろう。新冠林道はこの地点であきらめることにした。