
老人とわかれて先にすすむと雄のキジがいた。地図があったのでバイクをとめる。この周辺は松茸採取のための止め山とある。昨日信濃沢林道が止め山となっていたのはそういうことなのだ。

その信濃沢林道にむかう。

走りやすいダートがつづく。こんな山奥にも民家があり住んでいる人がいた。

10キロでダートをでた。舗装路になった地点にセンサーがあり、ワンワンという犬の吠え声や、バンバンという発砲音、サイレンの音がしている。獣避けのようだ。ここでホンダXLR250にあった。

道なりに舗装林道をすすむと、昨日小海の町にくだった地点にでた。昨夕は左奥からやってきて、右奥にくだったのである。いまは手前からきていて左奥にすすむ。

日差しはあるが冷えてはりつめた空気のなかをゆく。

やがて昨日もやってきた変則的な交差点にでた。

やってきた方向からみて、左が通行止めだった信濃沢林道で、直進は茂来山登山口となっている。

茂来山登山口にいってみることにする。ダートをゆくとすぐに広場にでて湧水があった。道路はこのさきで通行止めになっている。清水をのませてもらうと、水が口から喉、食道ととおってゆく感触が、絶句するほどに鮮烈だ。ただつめたいのではない。山のエネルギーをとりこんだようにかんじられたのだ。のみほしておもわず、生き返った! と口をついてことばがでた。瞬間的にそうかんじたのだ。それほどうまい山水だった。2杯、3杯と湧き水をのみ、いきかえった、水よありがとう、山の神様、ありがとうございます、と頭をさげた。

すぐ先のゲートはしめられていた。

ゲートの前から清水のまえにとめたセローをみる。

変則的な交差点までもどり、今度は広域林道茂来線の2、5キロのダートをくだってゆく。昨日上ってきた道だ。

深い森の中をゆく。峠をこえてくだる。

また雄のキジがいた。

砂利のういたダートをハンドルとタイヤをとられながらゆらゆらとながしてゆく。

山の中を、オフロードバイクで1日中ほっつき歩くという孤高の行為が、最高の癒しなのである、なんておもってみたりした。

2、5キロのジャリダートをはしり舗装路にでた。これで茂来林道を走破したのだ。

小海にくだってゆくと道祖神がいらっしゃった。それとも仏様だろうか。